錬金術師の決闘
握った拳の中に光が生まれる。透けた光は拳を紅く染め、なお余る光は指の隙間から逃げ出そうとする。その光を握り潰すかのように、僕はいっそう手に力を込めた。
だんだんと強くなる光の中に何か押し返すものを感じる。
それを確かなものにするために握った手の中に、ひやりとしたドス黒い鉄の棒が現れた。
「よしっ、きたっ! 」
「チッ、面倒だ。」
隙を与えまいと、『Mark.5』は奇声とともに間髪いれず殴り続けてくる。
なんとか、右手に握った黒鉄の棒で弾くものの、その長身が生み出すポテンシャルは、拳の一発一発に重みを与える。
「形態変化:盾! 」
残像を残しながら、くるくると棒をまわす。再び、光に包まれた棒はグニャリと潰れて盾に姿を変えた。
その盾をお構い無しに殴ったヤツの拳は、不快な音を立てて潰れる。
「うぅ、やったな…………よくも、やってくれたなぁぁ! 」
目を血走らせながら、拳の潰れた右腕の肩を掴む。そのまま、力任せに腕を引きちぎった。
「あぁぁぁぁぁぉぁ! 」
投げ捨てられた腕が、足元に転がってきて動かなくなる。
僕はその光景を目の当たりにして動けずにいた。
「精製錬金! ブラッディィスティールゥウ! 」
血の滴る腕の付け根が蒼白に発光すると、体内にあった鉄の塊が腕の付け根から溢れ出るようにして金属を錬成していく。名の通り精製錬金は不純物のない上等金属を創り出す。
光沢のある金属でできたいくつもの立方体がひしめき合って一つの『腕』を形成している。
「吹き飛べぇぇぇ! 」
Mark.5はその腕を腰から振りかぶって、投げつけるように振り下ろした。
とっさに出来たのは、覚えたばかりの形態変化で創った下等な盾をかざす事だけだった。
盾などそこになかったかのように狂いのない弧を描いた腕は、僕の体を後ろへと吹き飛ばした。だが僕は決死の思いで踏ん張る。ここで倒れたら次の一撃をモロに食らってあの世行きだからだ。
抉れた土を蹴り、飛び出しながら僕は空いた両手に劔を創り出した。
次の一撃を喰らわないための一心で、壊れるはずのない腕に何度も何度も切りかかった。
「壊れろ! 壊れろ! 壊れろ! 壊れろ! 壊れろ! 壊れろよ! 壊れてくれよぉぉぉぉ! 」
右の劔が砕けては、左の劔を叩きつける。その間にまた、右手に劔を錬成する。
幾度となくそれを続けた。やめてしまったらそこで殺される。
恐怖に駆られ狂気を糧に劔を振り続ける。
「醜いなぁ……失せろ。」
輝く彼の右手の中に新たな光ができる。
「精製錬金:ラスターゴウルム」
その手に握られた同じ光沢を放つその劔は腕の延長と錯覚させる。
あぁ、綺麗だなぁ。
これが最後の感動だった。
「死ね。」
金属が骨を砕く鈍い音だけがその場に残っていた。
だんだんと強くなる光の中に何か押し返すものを感じる。
それを確かなものにするために握った手の中に、ひやりとしたドス黒い鉄の棒が現れた。
「よしっ、きたっ! 」
「チッ、面倒だ。」
隙を与えまいと、『Mark.5』は奇声とともに間髪いれず殴り続けてくる。
なんとか、右手に握った黒鉄の棒で弾くものの、その長身が生み出すポテンシャルは、拳の一発一発に重みを与える。
「形態変化:盾! 」
残像を残しながら、くるくると棒をまわす。再び、光に包まれた棒はグニャリと潰れて盾に姿を変えた。
その盾をお構い無しに殴ったヤツの拳は、不快な音を立てて潰れる。
「うぅ、やったな…………よくも、やってくれたなぁぁ! 」
目を血走らせながら、拳の潰れた右腕の肩を掴む。そのまま、力任せに腕を引きちぎった。
「あぁぁぁぁぁぉぁ! 」
投げ捨てられた腕が、足元に転がってきて動かなくなる。
僕はその光景を目の当たりにして動けずにいた。
「精製錬金! ブラッディィスティールゥウ! 」
血の滴る腕の付け根が蒼白に発光すると、体内にあった鉄の塊が腕の付け根から溢れ出るようにして金属を錬成していく。名の通り精製錬金は不純物のない上等金属を創り出す。
光沢のある金属でできたいくつもの立方体がひしめき合って一つの『腕』を形成している。
「吹き飛べぇぇぇ! 」
Mark.5はその腕を腰から振りかぶって、投げつけるように振り下ろした。
とっさに出来たのは、覚えたばかりの形態変化で創った下等な盾をかざす事だけだった。
盾などそこになかったかのように狂いのない弧を描いた腕は、僕の体を後ろへと吹き飛ばした。だが僕は決死の思いで踏ん張る。ここで倒れたら次の一撃をモロに食らってあの世行きだからだ。
抉れた土を蹴り、飛び出しながら僕は空いた両手に劔を創り出した。
次の一撃を喰らわないための一心で、壊れるはずのない腕に何度も何度も切りかかった。
「壊れろ! 壊れろ! 壊れろ! 壊れろ! 壊れろ! 壊れろよ! 壊れてくれよぉぉぉぉ! 」
右の劔が砕けては、左の劔を叩きつける。その間にまた、右手に劔を錬成する。
幾度となくそれを続けた。やめてしまったらそこで殺される。
恐怖に駆られ狂気を糧に劔を振り続ける。
「醜いなぁ……失せろ。」
輝く彼の右手の中に新たな光ができる。
「精製錬金:ラスターゴウルム」
その手に握られた同じ光沢を放つその劔は腕の延長と錯覚させる。
あぁ、綺麗だなぁ。
これが最後の感動だった。
「死ね。」
金属が骨を砕く鈍い音だけがその場に残っていた。
目次
感想
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
聖女じゃない私たち
あんど もあ
ファンタジー
異世界転移してしまった女子高生二人。王太子によって、片方は「聖女」として王宮に迎えられ、片方は「ただの異世界人」と地方の男爵に押し付けられた。だが、その判断に納得する二人ではなく……。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる