一億五千年のキオク。

 ――俺、入れ替わってる!?
 俺、瀬戸和樹は、ある日起きたら、見知らぬ女性のなかにいた。
 見知らぬ……!? いや、知ってる。これ、母さんの身体だ。それも22年前の。
 1999年の年末。俺は、そこで母さんになっていた。
 ちょうどその時期は、母さんが俺を妊娠する時期で。ってことは、ここには俺の知らない父さんがいるわけで。
 誰が俺の父さんなんだ? んでもって、いつになったら元に戻るんだ?
 母さんとして過ごす日々。母さんと仲のいい男性たち。俺の知らない母さんの過去。今さら父さんが恋しい歳でもないけど……やっぱり気になる、父さんのこと。
 母さんと縁があるのは、幼なじみの「ヤマト」と「タカヒロ」。このどちらかが父さんなんだろうけど。
 ヤマトは研究のためアメリカに旅立つし、残るはタカヒロか? タカヒロが俺の父さんなのか?
 そんな時、ヤマトが倒れたと知らせが入る。病におかされた彼の生命はそう長くない。
 死ぬ間際の人間だからか。ヤマトは、母さんのなかにいた俺を見つけてくれた。
 そして。
 ―-生まれてくれてありがとう、と。

 これは、俺が「俺」を知るための物語。
 俺が、父さんと母さんから受け取ったものを未来へと繋いでいく物語。
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