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連載
苦い思い
アンセムが聞いてもいいが、それをソアリスは許さない。だが、聞くのが怖いのは、自分のことではないからである。
いつも強気なソアリスだが、このような事件や虐待や暴力の時は、自分も少なからず受けていたのに辛いという。いや、自分も受けていたからこそ、痛みが分かる分、辛いのかもしれない。
「今日はゆっくり休んでもらおう。もし、子どもでも孕まされていたら……その子を愛せるだろうか」
侍女たちはその言葉に、下を向いたり、目を瞑ったり、苦しい面持ちになった。
「可能性があるのか?」
「いや、お腹が大きかったわけではない」
「そうか……」
見ていないために、お腹が既に大きかったのではないかと、アンセムは鼓動が早くなっていた。
「だが、医師は確認をすると言っていた」
「そうか……」
現状から考えると、監禁されていたと思われる。若い男性と若い女性、子どもができるような行為をしていたのではないかと考えるのは、当然だろう。
それでもソアリスが口にしたのは初めてであった。
見付かったということは、これから現実に向き合っていかないといけないという覚悟のためだろう。
「食事や洗濯はどうしていたのだろうか」
「洗濯は聞いていないが、ルックペペリオの食事は別邸に運ばれて、冷蔵庫にも色々入っていたそうだ」
「そうか」
「骨と皮などにはなっていなかったことは確かだ。骨と皮だったら殴りつけていただろうな」
「ああ……」
王太子妃時代に、ある男爵家で餓死寸前だった子どもが見付かったことがあり、その子は当主が外で作った娘で、骨と皮であった。
ソアリスはその子を見てから、部屋で一人で絶叫していた。
子どもは母親が亡くなって引き取られることになったが、夫人にとっては面白くなく、食事をほとんど与えられていなかった。
入ったばかりのメイドは、食事を与えなくてもいいと言われ、こっそり与えることも人目があってできず、どうなってもいいという思いで、騎士団に駆け込んだ。
騎士団長は当時、マッドリー前侯爵で、メイドの泣きながらこのままでは死ぬという言葉に私が全責任を負うからと、すぐに騎士団員を動かした。
ソアリスは夫人とその子の前で、その当主を振りかぶって殴り飛ばし、『お前は人間か?人は食べなければ死ぬ!お前も同じ目に遭え!クソ野郎!』と吐き捨てた。
そして、夫人は吹っ飛んだ夫に次は自分だと、恐怖で腰が抜けた。だが、そんなことでソアリスが許すはずがない。
胸ぐらを掴んで、力ずくで立ち上がらせて、『諸悪は夫だろう!だがな、殺していいわけではない!殺すならお前の夫だろう!嫌なら、孤児院なり何なりあっただろう!お前は命を何だと思っている!』と投げ捨てた。
殴られなかったのは、邸に引き取ると決めたのは当主であったからである。
騎士団員もさすがに殴りはしなかったが、皆、ソアリスと同じ思いであった。
この男爵家は、その件でなくなったわけではなかったが、じりじり締め付けられ、既にクロンデール王国から消えている。
子どもは暴挙に驚いたが、ソアリスは自分を虐待した者が罰を受けるところを見せなくては、恐怖を感じ続けるかもしれないという考えであった。
だが、子どもはそれ以上に、ソアリスが怒ってくれたことが何よりも嬉しかった。
ソアリスは感謝をされても、助けたのはメイドだと伝えた。メイドにも感謝したが、自分のために怒ってくれる人がいたことで、自分がいてはいけない存在と思っており、怒っていいのだと得難い存在となった。
その子どもがこの前、荷物について話を聞いたライサである。保護された後、孤児院で育ち、ソアリスのそばで働きたいと、メイドになったのである。
「医師に話だけは聞いて来る……」
「ああ、よろしく頼む」
いつも強気なソアリスだが、このような事件や虐待や暴力の時は、自分も少なからず受けていたのに辛いという。いや、自分も受けていたからこそ、痛みが分かる分、辛いのかもしれない。
「今日はゆっくり休んでもらおう。もし、子どもでも孕まされていたら……その子を愛せるだろうか」
侍女たちはその言葉に、下を向いたり、目を瞑ったり、苦しい面持ちになった。
「可能性があるのか?」
「いや、お腹が大きかったわけではない」
「そうか……」
見ていないために、お腹が既に大きかったのではないかと、アンセムは鼓動が早くなっていた。
「だが、医師は確認をすると言っていた」
「そうか……」
現状から考えると、監禁されていたと思われる。若い男性と若い女性、子どもができるような行為をしていたのではないかと考えるのは、当然だろう。
それでもソアリスが口にしたのは初めてであった。
見付かったということは、これから現実に向き合っていかないといけないという覚悟のためだろう。
「食事や洗濯はどうしていたのだろうか」
「洗濯は聞いていないが、ルックペペリオの食事は別邸に運ばれて、冷蔵庫にも色々入っていたそうだ」
「そうか」
「骨と皮などにはなっていなかったことは確かだ。骨と皮だったら殴りつけていただろうな」
「ああ……」
王太子妃時代に、ある男爵家で餓死寸前だった子どもが見付かったことがあり、その子は当主が外で作った娘で、骨と皮であった。
ソアリスはその子を見てから、部屋で一人で絶叫していた。
子どもは母親が亡くなって引き取られることになったが、夫人にとっては面白くなく、食事をほとんど与えられていなかった。
入ったばかりのメイドは、食事を与えなくてもいいと言われ、こっそり与えることも人目があってできず、どうなってもいいという思いで、騎士団に駆け込んだ。
騎士団長は当時、マッドリー前侯爵で、メイドの泣きながらこのままでは死ぬという言葉に私が全責任を負うからと、すぐに騎士団員を動かした。
ソアリスは夫人とその子の前で、その当主を振りかぶって殴り飛ばし、『お前は人間か?人は食べなければ死ぬ!お前も同じ目に遭え!クソ野郎!』と吐き捨てた。
そして、夫人は吹っ飛んだ夫に次は自分だと、恐怖で腰が抜けた。だが、そんなことでソアリスが許すはずがない。
胸ぐらを掴んで、力ずくで立ち上がらせて、『諸悪は夫だろう!だがな、殺していいわけではない!殺すならお前の夫だろう!嫌なら、孤児院なり何なりあっただろう!お前は命を何だと思っている!』と投げ捨てた。
殴られなかったのは、邸に引き取ると決めたのは当主であったからである。
騎士団員もさすがに殴りはしなかったが、皆、ソアリスと同じ思いであった。
この男爵家は、その件でなくなったわけではなかったが、じりじり締め付けられ、既にクロンデール王国から消えている。
子どもは暴挙に驚いたが、ソアリスは自分を虐待した者が罰を受けるところを見せなくては、恐怖を感じ続けるかもしれないという考えであった。
だが、子どもはそれ以上に、ソアリスが怒ってくれたことが何よりも嬉しかった。
ソアリスは感謝をされても、助けたのはメイドだと伝えた。メイドにも感謝したが、自分のために怒ってくれる人がいたことで、自分がいてはいけない存在と思っており、怒っていいのだと得難い存在となった。
その子どもがこの前、荷物について話を聞いたライサである。保護された後、孤児院で育ち、ソアリスのそばで働きたいと、メイドになったのである。
「医師に話だけは聞いて来る……」
「ああ、よろしく頼む」
感想
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