復讐なんて意味がない? そんなのやってみないと分からないよね

ももがぶ

文字の大きさ
6 / 20
第1章 始まり

第6話 野望はそれぞれ

しおりを挟む
「おぉ! ここは正に異世界でござる!」
「小田殿、拙者は興奮しているでござる!」
「我輩も同じでござる! まさか、本当に生きている内に異世界に来られるとは、まだ夢かと疑ってしまうでござる!」

 ござるござると興奮しっぱなしのオタクグループは移転先の森の中で見たこともない植生を目にして自分達が本当に異世界に来たことを実感し胸を熱くする。だが、ここは異世界の森の中であることを思い出した小田が最初に覚醒する。

「はっ! 初めての異世界に興奮している場合ではないでござる!」
「そうでござるな。だが、これからどう動くのか何かよい計画でもあるのでござるか?」
「ふふふ……ない」
「ないのでござるか」
「うむ、計画はないが我には野望があるでござるよ」
「それなら、拙者にもあるでござるよ」
「我輩も!」

 優太に異世界へと連れて来てもらったことに感謝した小田正人おだまさとがいち早くここが異世界であることを自覚し一緒に転移してきた山本拓也やまもとたくや森二郎もりじろうに対し注意を促すが、小田はとりあえずの計画はないが野望はあると話せば他の二人も野望は持っていると言う。

「では、互いの野望の為にも安全な場所に移動するでござる」
「うむ、確かに。では、人里へ行くでござる」
「いや、それは待った方がよいでござる」
「小田殿、それは何故でござるか?」
「そうでござる。こんな場所からとっとと逃げ出して町に行くでござるよ!」
「だから、それは待つでござる。意見はあると思うが、我々の容姿をよく見るでござるよ」

 小田の野望に対し他の二人も自分達にも野望はあると分かったところで、その野望の為にも危険な森の中から早く出ようと提案するが、小田から止められる。そして、自分達の容姿をちゃんと見ろと言われ困惑しながらも自分達の身体を確認するがどこも変わったところはないと山本が答える。

「……いつもと変わらぬ豊満なダイナマイトボディでござるよ」
「うむ、我輩も同じでござる」
「だから、それが問題なのでござる!」
「……何が言いたいのでござるか?」
「ここは異世界でござる」
「それは分かっているでござる」
「今さら、何を言うでござるか?」
「言いたくはないし、認めたくもないのでござるが我々の容姿は異世界で言う所のオークと間違われても仕方の無い容姿でござる」
「「……」」

 小田に言われ自分達の容姿を再確認した二人だが、転移して一時間も経っていないので容姿が急激に変わることもなく日本にいたころと同じのボンボンボンのダイナマイトボディであることを言えば、小田はそれじゃマズいと、今の容姿のまま異世界人と会ってしまえば下手すればオークと間違えられ討伐されかねないと訴える。

「なので、初めての異世界人に会う前にシュッとした身体になりたいでござる!」
「「おぉ!」」
「ちなみに我の野望はケモミミ少女に会いたいでござる!」
「小生はチッパイエルフ……出来ればエロフに会いたいでござる」
「我輩はのじゃロリばばぁに会いたいでござる! ……な、なんでそんな目で見るのでござるか?」
「ま、まあ……野望は人それぞれ、趣味も人それぞれでござるから」
「そうであるな。小生のチッパイも同じでござるな」
「理解してもらえたでござる!」

 小田は異世界人に会う前にオークに間違えられない程度に痩せたいと話し、ついでに野望と言うかケモミミ少女に会いたいと願望を話でば、山本達も互いの願望を話し互いの願望を理解する。

「では、我の言ったことも理解してもらえたのであれば、スキルを確認しあいたいでござるがよろしいか?」
「うむ、これから異世界で共闘するのであれば当然でござる」
「ちなみに我輩のスキルは記録でござる。そして、こういう派生スキルもあるでござる」
「「おぉ!」」

 森は自分の派生スキルを小田達に紹介するに辺り、小田と山本の手を握ると「これが派生スキルの共有でござる」とさっき、見せられたクズ担任と太田由梨の絡みを見せる。

「ち、知識の共有は大事でござるな」
「うむ、ですが拙者としてはもう少しボリュームが控え目の方が好みでござる」
「「……」」
「勘違いしないでいただきたいでござる。拙者は幼女趣味はないでござる! それを疑うなら、森殿でござろう!」
「いや、我輩には十分な豊満さなのでござるよ」
「う……」

「そういった趣味の話しは後回しにするでござるよ。今は少しでも安全な場所に向かうでござる」と小田が言い、森の共有スキルで中断されていた互いのスキルを確認し合う。

「我のスキルは工作である。派生スキルには武具作成などもあるのでござる」
「小生はレンジャーでござる。派生スキルには索敵に罠作成にマップ作成などもあるでござるよ。ちなみにこの辺りのマップを作成したところ、ここから少し先に開けた土地があるでござる。近くに水辺もあるのでしばらくはそこを拠点として生活することを提案するでござる」
「「おぉ!」」

 山本のスキルに小田と森が感嘆し「では、急ぐでござる」と山本の先導で場所を移動する。

 やがて開けた場所に辿り着き、近くに川が流れており、水質としても安全だと山本がスキルを使用した結果を告げれば、小田が率先して工作スキルを使い暗くなる前に簡易的な寝床を作成する。

「取り敢えずは今晩はこれで凌げるでござる」
「食糧は拙者が」
「では、我輩も着いていき今後の為に記録するでござる」
「ならば、我はもう少しだけ、この拠点を充実させるでござる」

 三人のオタクグループはそれぞれの役割を確認し合うと、自分達に割り当てられた役割をこなすのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。

聖女召喚

胸の轟
ファンタジー
召喚は不幸しか生まないので止めましょう。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ
ファンタジー
 僕は十年程闘病の末、あの世に。  そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?  幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。   ※画像はAI作成しました。 ※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。

処理中です...