【R18】黒曜帝の甘い檻

古森きり

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第30話

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 話が逸れる、とクォドが軌道修正をしつつ、おろおろしたヒオリに向き直らせる。
 今頃布の下のは嗜虐的な笑みを浮かべている事だろう。
 舌舐めずりをしながらゆっくりヒオリに顔を近づける。

「……へ、陛下も……」
「はい。大変立派な一物でございました。それはそれは逞しく、硬く、奥の奥まで抉り穿ってくるのです。ああ、羨ましいくらいです。ヒオリ様はもうすぐアレを独占されるのでしょう?」
「っ?」

 困惑しながら見上げた。
 ルゥイギーが布の下で笑っている気配を、ヒオリも感じる。
 嘲笑う感じではない。
 恍惚とした、あの達する直前のような表情を思い出した。
 きっとあんな顔だろう。
 胸がバクバクと鳴る。

「ご自分でもお気づきのくせに」
「…………」

 耳元で囁かれ、背が粟立つようだった。
 溢れるように「なにを」と聞き返す。
 クォドまで布越しに笑っているような気がした。
 もしかしたら二人はヒオリの気持ちに気づいているのだろうか?
 吐きそうなほどに甘ったるい空気。
 しかし張り詰めたような重々しい空気でもある。

「ヒオリ様が望まれるのならきっと陛下はいつでもくださいますよ」
「……、……で、も……」
「んっ」

 とろりと漏れる声。
 クォドがルゥイギーの尻を布越しに撫でている。
 まさか、ここでこのまま始める気では、と目を見開いた。
 胸がドクドク凄まじい音を立てる。

「さて、私は明日からの戦支度の一環で、はあ……兵たちの慰安をせねばなりません」
「? え? へ、兵たちの慰安……?」
「陛下は町の女に手を出す事を兵たちに禁じております。今のヒオリ様ならお分かりでしょう……男というのは欲を吐き出せないとととても苦しいのです」
「…………」

 否定は出来ない。
 とてもよく分かる。
 いくら自慰をしても、一番満たされたいところは満たされない。
 我に帰ってから、虚しくなるばかり。
 ルゥイギーはその事を言っているのだろう。
 目を逸らす。
 しかし……意を決してもう一度見上げた。
 クォドの指がくい、と曲げられ、ルゥイギーの下着とズボンを下ろす。
 尻の間に顔を埋め、布を白い双丘に垂らしたままくちゅ、と音を立てた。
 舐めている。
 ヒオリの体がカッと熱を持つ。

「ついでに兵たちに、性行為の極意も少し伝授しましょう。全員まとめて躾けて参りますので……あっ、そこ……」
「怖い怖い……ふふふ。……ですので我らは明日、暇を頂きたいのです」
「あ、ぁっ! いきなりそんな深いところぉ……!」
「兵たちに預けると明日の朝まで貪られてしまうでしょうし……いや、逆かな? まあ、なんにせよ、俺は監視役として側にいた方がよいと思いまして……」
「あっ、あっ、そこ……! は、はぁ……!」

 二人の言葉を、困惑する頭の中で必死に整理する。
 兵たちの、慰安。
 東の国に入る前に。
 そのあと過酷な戦いの日々が待っているから、その前に彼らの欲を処理すると、そういう意味に受け取った。
 しかし、それはルゥイギーがすべき事なのだろうか?
 確かに奴隷の女性にさせるのには、少々抵抗を感じる。
 しかしそのための女奴隷でもある。
 指で解しながら、クォドがまたよだれを垂らしてルゥイギーの尻穴を『準備』していく。
 艶のある声が馬車の中に響き、肩が跳ねるルゥイギーを凝視した。
 こんなに側で彼の乱れゆくところを見たのは初めてだ。
 側から見るとヒオリもこのようにいやらしく乱れていくのだろうか?
 ヒオリをそんな風にしていくのは、黒曜帝ただ一人。
 ルゥイギーは今から、この一団に参加している兵士たちを……。

「そ、そんな身が持たないのでは……」
「なにも一晩に全員など相手にはしますまい。東の国に着くまでの間です。それに、調整と管理は俺がしますよ」
「…………」

 そのために二人で一緒に暇を欲しいと言ってきたのか。
 納得はしたが、しかしやはり心配が上回る。
 二人の直属の『主人』はヒオリだ。
 ヒオリがダメだと言えばルゥイギーはそんな事をせず、明日も穏やかにヒオリに仕えてくれるだろう。
 だがここ数日のクォドとの性行為が、全てこのための準備に過ぎないのだとしたら……。

「ふ、二人は、付き合っているのでは……こ、恋人なのでは、ないの?」

 恋人なら、相手が大切ならそんな事をするだろうか?
 クォドに問う。
 どれだけの兵を連れてきているのか、ヒオリは聞かされていない。
 しかし、決して百や二百などではないはずだ。
 途中の町でも合流しているのも知っている。
 なにしろ『魔窟』を破壊しに行くのだ。
 援軍として向かうのだから、兵の数は今、数万に届くだろう。
 それを、などと……。

「ふふふ……」

 だが笑い飛ばされた。
 笑ったのはルゥイギーだ。
 笑うところではないと思うのだが。

「……ヒオリ様は優しいですね。でも、男というのは単純で……やり方を教えてあげるとすぅぐ試したくなるのですよ」
「?」
「大丈夫、あっという間にみんなアホのようにまぐわうようになるでしょう。まあ、最低限のやり方とマナーはちゃあんと教えます。次はヒオリ様ですよ。陛下のあの硬くて太くて熱くてながぁい逞しい一物を、その愛らしいお尻でしっかり咥え込んで……うんと気持ちよくしてもらってください。そして、ヒオリ様のお尻で陛下をうんと気持ちよくして差し上げるのです」
「…………」


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