竜国の王子 邂逅克服編
広大な砂漠の果てに突如として現れる、巨大なオアシス、この世の楽園とも称される「エラメドル竜国」。
この国は代々、『竜族』と呼ばれる、竜種の血が混じった人外の力を持つ王族によって治められていた。彼等は皆決まって、人にはあらざる不思議な髪色をしており、その色には引き継いだ竜種の血が反映されているという。竜族と、この地に座した神々の結界によって、このエラメドル竜国はあらゆる天災から護られている。だが、人災には無力なその結界の隙を突いて、最近は悪辣な盗賊が暗躍しており、街はどこか不穏な空気に包まれていた。
さて、観光がてらに立ち寄ったこの国をいたく気に入った、昼行燈の吟遊詩人ジェントゥル・クノア。歳若く見える顔と纏う深緋の服が鮮やかな彼は、夜の町で酒を鱈腹飲みいたく御満悦であった。機嫌良く宿屋へ向かっていたその帰り道、彼は何かから逃げて来た子どもとぶつかってしまう。
身を隠す布を取り払ったその子どもは、齢十歳ほど。
そして、月が地に落ちたかと錯覚するほどの、美しい白銀の髪を持っていた──
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