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呼び出し

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「ええ、構いませんよ。ですが僕は「僕たちみたいな存在が、高貴な身分のエドモン様や学年一優秀なヴィヴィ様たちと食事など恐れ多い」と言う意味で申したのですけれど」
「屁理屈か」
「いえいえ滅相もございません。本音ですよ」
「しかしお前だって、学年一優秀ではないか」
「ですが周りからの信頼はありませんし、貴方たちよりずっと劣っているかと」
「そんなことはありません!」

 突然否定して来たヴィヴィに、ロバートは「ミーちゃんを悪者に仕立て上げている張本人が何を言うんだか」と言う気持ちを覚える。

「いえいえヴィヴィさんに比べたら。ヴィヴィさんは学園一の人気者ですし、嫌われ者の俺らと比べたらそんな」
「そんなに自分を卑下しないで下さい!」
「いえ、僕たちといると、貴方たちの評判まで下がってしまいそうで怖くて……」

 ロバートは口が上手い。スラスラと思ってもないことを出していく。
 その度に否定してくるヴィヴィだけれど、ロバートは卑下をやめない。

「それにこれ以上あなた方の貴重な時間を割いてしまうのは偲ばれるので、もう去りますね。行こう、エミーヌ」
「アイツらを相手にすんな、ヴィー」
「そんなっ、駄目だよエドモン!仲良くしないと」
「ヴィーは優しすぎるんだよ」

 エミーヌの背中から空っぽの会話が聞こえてくるが、エミーヌはそんなことは気にせず、自分を引っ張ってくれるロバートの頼もしさに心が温かくなるのを感じた。




 それからも、ヴィヴィは何かにつけてロバートとエミーヌを食事や勉強会に誘って来た。
 その度にロバートが機転を利かせて断るけれど、そのしつこさは異常だ。
 第二王子は忌々しそうにこちらを見ているので、どうやら毎回ヴィヴィの独断でこちらへ来ているようだ。

 そんなある日エミーヌは父に呼び出された。
 嫌なことが起こると自覚しながら父の書斎に入ると、案の定そこには険しい顔をした父がいた。

「……ヴィヴィから話は聞いている。あの子は隠したがっていたが、どうやらお前、ヴィヴィに嫌がらせをしているようじゃないか」
「断じてそんなことなどしておりませんが」
「黙れ、嘘つきが。ヴィヴィが元平民だからと、やたらとヴィヴィを遠ざけるそうじゃないか。しかもロバート君まで巻き込んで」

 好きなように解釈されているなと思いながらエミーヌは話を聞く。すると今度は父の隣に立っていた義母が口を開いた。

「エミーヌちゃん、確かに私は平民出身だけれど、あの子は貴族の血も入っているの。それに私たち家族じゃない。私のことは母親だと思わなくても良いけれど、あの子のことは大事にしてあげて欲しいの」
「俺は以前お前に言ったはずだ。二人を傷つける奴はたとえお前だろうと許さないと。しかしお前は俺との約束を破った。ヴィヴィとベルチェの寛大さに免じて今回だけは許してやるが、次はないぞ」

 エミーヌは何も言わなかった。
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