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第11話 小瓶の事を聞かれる
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ノックしてから扉を開けて中に入る。
メイドにお茶をお願いしてから、扉を閉めると同時に、アズールは座っていたソファから立ち上がると、挨拶もなく叫んだ。
「あなた、タカナシさんにあの小瓶を渡していないの?!」
「ごきげんよう。人の家に何の連絡もなしに押しかけてきて、その態度はないんじゃない?」
入口付近に立ったままで胸の前で腕を組んで言うと、茶色の髪を左右で三編みにしたアズール男爵令嬢は、驚きの表情を浮かべた。
ちなみにタカナシって誰よ?
日本人の名字に近いし、親近感を感じるわね。
「な、何か、様子がおかしくない? そんなキャラクターじゃなかったでしょう?」
あら、気付くのが早いわね。
まあ、当たり前か。
髪もサッパリ切ったし、態度もかなりデカくなってるだろうから。
「ちょっとイメチェンしてみようと思っただけよ。それより、何の用?」
テーブルをはさんだ彼女の向かい側に座り、ソファのクッションにもたれかかりながら、驚いた顔をして立ったまま私を見下ろしているアズール男爵令嬢に尋ねる。
「とぼけないで! タカナシさんに渡せって言ったでしょ!?」
渡せ、といっているという事はタカナシはノアの名字かしら?
ノア・タカナシという事かしら?
「あなたが言ってるのは小瓶のこと?」
「そうよ!」
この子がアリスに小瓶を渡したみたいね。
ちょっと聞いてみましょうか。
「ねえ」
「何よ!」
「あなたは、あの小瓶の中身が何か知ってるの?」
私の質問にアズール男爵令嬢はびくりと身体をふるわせた。
さあ、返答次第では彼女も敵認定しなければならない。
彼女の名前はアリスの日記には書かれていなかったから常習的にいじめに関わっていたわけではなさそうだけど、本人はあの小瓶のせいで死んでしまったんだから。
アリスの両親から聞いた話では、アリスはとても大人しく物腰柔らかな大人しい少女だったらしい。
だからか、アズール男爵令嬢は彼女が知っているアリスと今の私との違いに、だいぶ戸惑っている様子で、中々返答が返ってこないので急かしてみる。
「ねえ、どうなの?」
「く、詳しくは知らないわ。お腹を壊すくらいって聞いただけよ」
「それは誰から聞いたの?」
「そんな事、言う必要ある?! あなただって言う事をきかないと何をされるかよくわかってるはずじゃない!」
今にも泣き出しそうな表情でアズール男爵令嬢は訴えてくる。
この子は関わってはいるけど、何かあったらすぐに尻尾を切られるタイプで、詳しい話は聞かされてない感じね。
まだ、数分しか話をしてないけど、この子には人殺しをするような度胸もなさそうに見える。
彼女、自分の身を守ることに必死だけど、アリスに私が転生してなければ、どうなってたのかしら。
死んでしまっているアリスが見つかるわけだから、この子は殺人犯にされてたかもしれないわね。
その時、扉がノックされ、メイドがお茶を運んできてくれたので、テーブルに置いてもらう。
「とりあえず座ったら?」
冷静に促すと、アズール嬢は我に返ったのか、口をへの字にまげて無言でソファに座った。
そして、メイドが出て行ってから話し始める。
「……わかっているのよ、良くない事をしているんだろうなって事くらい。でも、そうしなければ私は…」
「……誰に頼まれたの」
アズール男爵令嬢は彼女に出されていた紅茶が入ったカップに手を触れたけれど、やはり手を引っ込めて私を見た。
「……わかるでしょう?」
残念。
私はアリスじゃないからわからない。
だから、首を横に振る。
「わからないわ。だから教えてほしいの」
「名前を口に出せって言うの? 無理よ。大体、同じクラスなんだからわかるでしょ」
ふーん。
犯人は同じクラスの誰かなわけね。
あとは、ノアっていう子をよく思わない人間というのが当てはまる条件かしら?
「わかったわ。だけど、ごめんね。もう、あの小瓶の中身はないの」
「……どういう事?」
「誰かさんに伝えておいて? 中身は私が飲んだからって」
「嘘でしょ…」
にっこり笑ったつもりだったけど、どうやら上手く笑えていなかったみたいで、私の笑顔を見たアズール男爵令嬢は表情を強張らせた。
その後は特に話すこともなかったので、彼女は出されたお茶を一口も口にせずに逃げるように帰っていった。
ちょっとしか会話していないけど、自分でも気付かない内に緊張していたのか、どっと疲れが押し寄せてきた。
それにしても、身体は毒でやられたはずなのに、どうしてこの身体は動くのかしら。
この国の神様が肉体だけ生き返らせて、私の魂をここに放り込んだという感じ?
答えが出そうにもない事を考えながら、自分の部屋には向かわず、アズール男爵令嬢との話をする為に哲平の部屋へ向かった。
ノックをすると、すぐに返事が返ってきたので、扉を開けて彼の部屋の中に入った。
メイドにお茶をお願いしてから、扉を閉めると同時に、アズールは座っていたソファから立ち上がると、挨拶もなく叫んだ。
「あなた、タカナシさんにあの小瓶を渡していないの?!」
「ごきげんよう。人の家に何の連絡もなしに押しかけてきて、その態度はないんじゃない?」
入口付近に立ったままで胸の前で腕を組んで言うと、茶色の髪を左右で三編みにしたアズール男爵令嬢は、驚きの表情を浮かべた。
ちなみにタカナシって誰よ?
日本人の名字に近いし、親近感を感じるわね。
「な、何か、様子がおかしくない? そんなキャラクターじゃなかったでしょう?」
あら、気付くのが早いわね。
まあ、当たり前か。
髪もサッパリ切ったし、態度もかなりデカくなってるだろうから。
「ちょっとイメチェンしてみようと思っただけよ。それより、何の用?」
テーブルをはさんだ彼女の向かい側に座り、ソファのクッションにもたれかかりながら、驚いた顔をして立ったまま私を見下ろしているアズール男爵令嬢に尋ねる。
「とぼけないで! タカナシさんに渡せって言ったでしょ!?」
渡せ、といっているという事はタカナシはノアの名字かしら?
ノア・タカナシという事かしら?
「あなたが言ってるのは小瓶のこと?」
「そうよ!」
この子がアリスに小瓶を渡したみたいね。
ちょっと聞いてみましょうか。
「ねえ」
「何よ!」
「あなたは、あの小瓶の中身が何か知ってるの?」
私の質問にアズール男爵令嬢はびくりと身体をふるわせた。
さあ、返答次第では彼女も敵認定しなければならない。
彼女の名前はアリスの日記には書かれていなかったから常習的にいじめに関わっていたわけではなさそうだけど、本人はあの小瓶のせいで死んでしまったんだから。
アリスの両親から聞いた話では、アリスはとても大人しく物腰柔らかな大人しい少女だったらしい。
だからか、アズール男爵令嬢は彼女が知っているアリスと今の私との違いに、だいぶ戸惑っている様子で、中々返答が返ってこないので急かしてみる。
「ねえ、どうなの?」
「く、詳しくは知らないわ。お腹を壊すくらいって聞いただけよ」
「それは誰から聞いたの?」
「そんな事、言う必要ある?! あなただって言う事をきかないと何をされるかよくわかってるはずじゃない!」
今にも泣き出しそうな表情でアズール男爵令嬢は訴えてくる。
この子は関わってはいるけど、何かあったらすぐに尻尾を切られるタイプで、詳しい話は聞かされてない感じね。
まだ、数分しか話をしてないけど、この子には人殺しをするような度胸もなさそうに見える。
彼女、自分の身を守ることに必死だけど、アリスに私が転生してなければ、どうなってたのかしら。
死んでしまっているアリスが見つかるわけだから、この子は殺人犯にされてたかもしれないわね。
その時、扉がノックされ、メイドがお茶を運んできてくれたので、テーブルに置いてもらう。
「とりあえず座ったら?」
冷静に促すと、アズール嬢は我に返ったのか、口をへの字にまげて無言でソファに座った。
そして、メイドが出て行ってから話し始める。
「……わかっているのよ、良くない事をしているんだろうなって事くらい。でも、そうしなければ私は…」
「……誰に頼まれたの」
アズール男爵令嬢は彼女に出されていた紅茶が入ったカップに手を触れたけれど、やはり手を引っ込めて私を見た。
「……わかるでしょう?」
残念。
私はアリスじゃないからわからない。
だから、首を横に振る。
「わからないわ。だから教えてほしいの」
「名前を口に出せって言うの? 無理よ。大体、同じクラスなんだからわかるでしょ」
ふーん。
犯人は同じクラスの誰かなわけね。
あとは、ノアっていう子をよく思わない人間というのが当てはまる条件かしら?
「わかったわ。だけど、ごめんね。もう、あの小瓶の中身はないの」
「……どういう事?」
「誰かさんに伝えておいて? 中身は私が飲んだからって」
「嘘でしょ…」
にっこり笑ったつもりだったけど、どうやら上手く笑えていなかったみたいで、私の笑顔を見たアズール男爵令嬢は表情を強張らせた。
その後は特に話すこともなかったので、彼女は出されたお茶を一口も口にせずに逃げるように帰っていった。
ちょっとしか会話していないけど、自分でも気付かない内に緊張していたのか、どっと疲れが押し寄せてきた。
それにしても、身体は毒でやられたはずなのに、どうしてこの身体は動くのかしら。
この国の神様が肉体だけ生き返らせて、私の魂をここに放り込んだという感じ?
答えが出そうにもない事を考えながら、自分の部屋には向かわず、アズール男爵令嬢との話をする為に哲平の部屋へ向かった。
ノックをすると、すぐに返事が返ってきたので、扉を開けて彼の部屋の中に入った。
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