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第二部
第1話 仲間がいた事を知る
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お客様であるキースを応接間ではなく、哲平の部屋に案内して、彼の部屋にあるティーテーブルを囲んで、お茶を飲みながら、キースから話を聞く事になった。
「ノアは10年ほど前に俺が召喚したんだ。で、ノアの出身地はニホンって国らしい」
「はあ!? 召喚!?」
キースの言葉に、私と哲平は声を揃えて聞き返した。
召喚、というのはあれよね。
小説や漫画でよく読んだりしてたやつよね。
という事は…。
「ノアは聖女だったの?」
「は?」
私の質問に対してキースが眉間にシワを寄せるから、拳を握りしめて答える。
「私達の国の読み物には召喚される様な子って、聖女だったりするのよ! だからノアも聖女か何かなのかなって思ったんだけど違うの?」
ノアは顔も可愛いし、性格も良い子だから、聖女であってもおかしくない。
「残念ながら違う」
キースは目を伏せて首を横に振り、否定してから続ける。
「その、なんつーか、召喚された理由は俺に関することなんだよ。願いっつーか」
「何よ。まさか、可愛い彼女が欲しいとか願ったんじゃないでしょうね」
「……うっ」
キースが唸るから、飲もうとして手に取ったカップをソーサーに戻してから尋ねる。
「何よ、その反応?! まさか、本当にそうなんじゃないでしょうね!? そうだったらかなり迷惑な奴なんだけど!?」
「あながち、間違ってない」
「はあ!?」
納得し難い返事が返ってきたので、またもや哲平と声を揃えて聞き返す事になった。
キースに詳しい説明を求めると、彼が7歳の時に願いを叶えてくれる本というものを見つけたらしい。
そんな怪しい本なんてあるの?
と、ツッコミたくはなるけれど、私にとってこの国自体がファンタジーの世界だから、その辺の胡散臭さには目をつぶっておく。
何より、7歳なら子供だし。
キースはその本に「運命の人と出会いたい」なんて可愛いお願いをしたら、ノアとノアの両親達が召喚されてしまったという、なんとも本当に運命的といえば運命的なものだった。
だけど運命の人なら、いつか出会うにしたって、召喚されないと出会わなかったってことよね。
という事は、キースが願いを叶える本とであった事も必然だった、って事になるのかしら。
にしても、私や哲平といい、何かの意図が働いてるんじゃないかというくらいに、日本人ばかりが集まっている気がする。
「……アリス?」
「どうした?」
考え込んでしまって無言になってしまっていた私の顔をキースと哲平が不思議そうに覗き込んできたので、我に返って言う。
「ノアが良い子で良かったわね。私だったら、私の人生なんだと思ってるんだって、ぶん殴るかもしれないわね」
「いや、それがその事をノアに言えてなくて」
「はあ!?」
「なんで言ってねぇの?」
哲平が呆れた顔でテーブルに片肘をつき、彼の向かいに座るキースに問うと、キースは頭を抱えながら答える。
「小さい頃は半信半疑だったから言えなくて、今の段階になると恥ずかしさと申し訳なさで言えんくなった」
「へたれが」
私と哲平の声が重なった。
そして、私は言葉を続ける。
「申し訳無さはわからないでもないけど、恥ずかしさはないでしょ! 誰かにとられる前にとっとと、せめて好きくらい言いなさいよ! 運命の相手だって言いにくいのはわかるわ! なんなら私が言ってあげようか?」
「お前はおかんか」
ぺしりと、頭を哲平に殴られたけど気にしない。
ノアはかなり純粋な子だし、変な男と付き合うよりか、何かあった時に容赦なくぶん殴れるキースがいいわ。
「キース、おかんはあんたの味方だからね」
「おかん、ってなんだ?」
がっしりとキースの両手をつかんで言うと、彼は不思議そうな顔をする。
あ、おかん、って、この国では言わないのかな。
もしくは貴族の間では言わないだけかしら?
「お母さんのことよ! あ、それから、ノアには私の話はまだしないでね? 話すなら自分で話すから」
「わかった。一応、お前らもノアの話は本人から聞くまで知らないフリしといてくれ」
「了解」
「わかった。じゃあ今日はもういいだろ。事情はわかったし、あんまり遅いと家の人が心配すんぞ。あと、伯爵令嬢の事もあるしな」
哲平はキースにそう言うと、私の腕をつかむなり、キースの手からはなさせた。
すると、キースが何か意味ありげな視線を送ってくる。
え?
何なの?
哲平の機嫌を取れって事?
しょうがないわね。
「はい、よちよち、テツくん、ごめんねぇ。テツくんのキースくんなのに、手をつかんじゃったね、ごめんごめん。もうしないからねぇ?」
べしん。
悪ふざけしたら、哲平だけじゃなくキースにまで頭を軽く叩かれてしまった。
大して痛くないからいいけれど、心が傷付いたという事で2人からお金を取る事ができるかしら…?
そう思って慰謝料を要求したけれど却下された。
後日談として、ミラベル伯爵令嬢は、次の日、私が学園に行っている間にキュレル家まで両親と一緒に謝罪に来ていたらしい。
キースがお父さんである辺境伯に、私の家から帰宅してすぐに魔石を渡して判断を仰いだんだそう。
内容を聴いた辺境伯はいじめに対しての常習性を疑い、学園側に連絡をいれたらしい。
なんと、学園の創業者がキースの家系で、キースのお父さんのお祖父さんに当たる事もあり、すぐに学園側はミラベル伯爵令嬢を退学処分にする事に決めたけれど、彼女の処分への最終的な決定権は、最終的にキュレル家に委ねられたため、ミラベル伯爵達は無かったことにしてほしい、とお願いにきていたらしい。
もちろん、お父様達はそれを断った為、彼女の姿を学園内で見かけることはなくなったのだった。
激怒したミラベル伯爵に縁を切られて、修道院に行ったという噂もあり、彼女とは二度と会う事はなかった。
「ノアは10年ほど前に俺が召喚したんだ。で、ノアの出身地はニホンって国らしい」
「はあ!? 召喚!?」
キースの言葉に、私と哲平は声を揃えて聞き返した。
召喚、というのはあれよね。
小説や漫画でよく読んだりしてたやつよね。
という事は…。
「ノアは聖女だったの?」
「は?」
私の質問に対してキースが眉間にシワを寄せるから、拳を握りしめて答える。
「私達の国の読み物には召喚される様な子って、聖女だったりするのよ! だからノアも聖女か何かなのかなって思ったんだけど違うの?」
ノアは顔も可愛いし、性格も良い子だから、聖女であってもおかしくない。
「残念ながら違う」
キースは目を伏せて首を横に振り、否定してから続ける。
「その、なんつーか、召喚された理由は俺に関することなんだよ。願いっつーか」
「何よ。まさか、可愛い彼女が欲しいとか願ったんじゃないでしょうね」
「……うっ」
キースが唸るから、飲もうとして手に取ったカップをソーサーに戻してから尋ねる。
「何よ、その反応?! まさか、本当にそうなんじゃないでしょうね!? そうだったらかなり迷惑な奴なんだけど!?」
「あながち、間違ってない」
「はあ!?」
納得し難い返事が返ってきたので、またもや哲平と声を揃えて聞き返す事になった。
キースに詳しい説明を求めると、彼が7歳の時に願いを叶えてくれる本というものを見つけたらしい。
そんな怪しい本なんてあるの?
と、ツッコミたくはなるけれど、私にとってこの国自体がファンタジーの世界だから、その辺の胡散臭さには目をつぶっておく。
何より、7歳なら子供だし。
キースはその本に「運命の人と出会いたい」なんて可愛いお願いをしたら、ノアとノアの両親達が召喚されてしまったという、なんとも本当に運命的といえば運命的なものだった。
だけど運命の人なら、いつか出会うにしたって、召喚されないと出会わなかったってことよね。
という事は、キースが願いを叶える本とであった事も必然だった、って事になるのかしら。
にしても、私や哲平といい、何かの意図が働いてるんじゃないかというくらいに、日本人ばかりが集まっている気がする。
「……アリス?」
「どうした?」
考え込んでしまって無言になってしまっていた私の顔をキースと哲平が不思議そうに覗き込んできたので、我に返って言う。
「ノアが良い子で良かったわね。私だったら、私の人生なんだと思ってるんだって、ぶん殴るかもしれないわね」
「いや、それがその事をノアに言えてなくて」
「はあ!?」
「なんで言ってねぇの?」
哲平が呆れた顔でテーブルに片肘をつき、彼の向かいに座るキースに問うと、キースは頭を抱えながら答える。
「小さい頃は半信半疑だったから言えなくて、今の段階になると恥ずかしさと申し訳なさで言えんくなった」
「へたれが」
私と哲平の声が重なった。
そして、私は言葉を続ける。
「申し訳無さはわからないでもないけど、恥ずかしさはないでしょ! 誰かにとられる前にとっとと、せめて好きくらい言いなさいよ! 運命の相手だって言いにくいのはわかるわ! なんなら私が言ってあげようか?」
「お前はおかんか」
ぺしりと、頭を哲平に殴られたけど気にしない。
ノアはかなり純粋な子だし、変な男と付き合うよりか、何かあった時に容赦なくぶん殴れるキースがいいわ。
「キース、おかんはあんたの味方だからね」
「おかん、ってなんだ?」
がっしりとキースの両手をつかんで言うと、彼は不思議そうな顔をする。
あ、おかん、って、この国では言わないのかな。
もしくは貴族の間では言わないだけかしら?
「お母さんのことよ! あ、それから、ノアには私の話はまだしないでね? 話すなら自分で話すから」
「わかった。一応、お前らもノアの話は本人から聞くまで知らないフリしといてくれ」
「了解」
「わかった。じゃあ今日はもういいだろ。事情はわかったし、あんまり遅いと家の人が心配すんぞ。あと、伯爵令嬢の事もあるしな」
哲平はキースにそう言うと、私の腕をつかむなり、キースの手からはなさせた。
すると、キースが何か意味ありげな視線を送ってくる。
え?
何なの?
哲平の機嫌を取れって事?
しょうがないわね。
「はい、よちよち、テツくん、ごめんねぇ。テツくんのキースくんなのに、手をつかんじゃったね、ごめんごめん。もうしないからねぇ?」
べしん。
悪ふざけしたら、哲平だけじゃなくキースにまで頭を軽く叩かれてしまった。
大して痛くないからいいけれど、心が傷付いたという事で2人からお金を取る事ができるかしら…?
そう思って慰謝料を要求したけれど却下された。
後日談として、ミラベル伯爵令嬢は、次の日、私が学園に行っている間にキュレル家まで両親と一緒に謝罪に来ていたらしい。
キースがお父さんである辺境伯に、私の家から帰宅してすぐに魔石を渡して判断を仰いだんだそう。
内容を聴いた辺境伯はいじめに対しての常習性を疑い、学園側に連絡をいれたらしい。
なんと、学園の創業者がキースの家系で、キースのお父さんのお祖父さんに当たる事もあり、すぐに学園側はミラベル伯爵令嬢を退学処分にする事に決めたけれど、彼女の処分への最終的な決定権は、最終的にキュレル家に委ねられたため、ミラベル伯爵達は無かったことにしてほしい、とお願いにきていたらしい。
もちろん、お父様達はそれを断った為、彼女の姿を学園内で見かけることはなくなったのだった。
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