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第二部
第6話 静かに見送る
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「実は今の婚約者の浮気癖にまいってたんだ。でも、そのおかげで僕はこの店にやって来て、運命の人が君だという事を再確認できた」
……運命の人?
ホットラードを殴らないといけない運命の人だと言われたら納得できるかもしれないけど、こいつが言ってるのはそういう意味じゃないわよね?
「浮気してんのはお前も一緒だろ」
「イッシュバルド卿、彼女は友人です。誤解しないで下さい」
哲平の言葉を聞いて、ホットラードはA子を見たあと、首を横に振って否定した。
「私はお二人はお似合いだと思います?」
A子の方に向かってにっこり微笑んだけど、私に言われても嬉しくなかったようで、ふんと鼻を鳴らす。
何なのよ。
イライラしてきた。
なんか、頭突きしたい。
「ああ、妬かないでおくれよ、アリス。僕は君となら今度こそ真実の愛を見つけられたと思うんだ」
いつ?
どこで?
妄想の中で?
普通の人が相手なら絶対に言わない言葉を、ホットラードには伝える事にする。
「気持ち悪い」
「拗ねないでおくれ」
「気持ち悪い」
人にそんな言葉を吐いてはいけない事は、本当にわかってる。
だけど、おさえられなかった。
2回も気持ち悪いと言ってるのに、なぜかホットラードは私に向かって手を伸ばしてきたので、その手を叩いてやろうと思ったら、哲平が立ち上がり、ホットラードの腕をつかんでひねり上げ、狭いスペースの床にうつ伏せにさせると、ホットラードの背中を自分の膝でおさえつけた。
いつの間にそんな芸当覚えたの。
ラス様に護身術として習ったのかしら?
「痛い! 何をするんだ! はなせ! はなしてくれ!」
わめくホットラードがうるさくて、耳をふさぎながらA子を見ると、なぜか哲平の方を見て「素敵」と呟いた。
いやいや、素敵とか言ってる場合じゃないでしょ。
あんたの連れ、床に顔をつけさせられてるけど?
ああ。
それよりも、このままじゃパフェのアイスが溶けるわね。
アイスを優先させなくちゃ。
「テツ様!」
店内が騒がしくなったからか、外で待ってくれていた護衛騎士の人が店の中に入って来て、哲平の名を呼んだ。
哲平はホットラードをおさえつけたまま、顔を上げて言う。
「ありすに手を出そうとした。連れ出してくれ」
「かしこまりました」
店内をうるさくしてしまったので、パフェを食べる手を時折休めて、周りに「お騒がせしてごめんなさい」と、会釈して謝る。
ホットラードは騎士に連れて行かれながら叫ぶ。
「アリス! 連絡するから!」
いらん。
とりあえず無視する。
「アリスー!」
「迷惑です!」
うるさいし、他の人の迷惑になるから、人の名前を大きな声で何度も叫ぶな。
騎士の人に両腕をつかまれて店の外へ連行されていくホットラードの姿が見えなくなった後、呆然としているA子に哲平が話しかける。
「悪いな。ここは払っておくから君は帰ってくれ。帰りの足がないなら用意させる」
するとA子は哲平を見つめて、口を開いた。
「あの、このあと、よろしければ、私と一緒に」
「断る」
彼女が言い終わる前に、哲平は彼女のお誘いを断った。
A子とホットラードの関係性が未だにわからないままなんだけど。
なんなの、お互い遊びだったみたいな感じ?
気になるけど聞いたら負けな気がするのよね。
それにしても、ホットラードが浮気されてるっていうのは本当の事なのかしら?
結局、哲平に対して駄々をこねるA子も騎士の人に連れて行かれ、やっと静かになった所で礼を言う。
「ありがとう、哲平。カッコ良かったわよ?」
「お、おう」
照れたのか視線をそらす哲平に、笑顔で続ける。
「だから残ったパフェ、食べてくれる?」
「そっちかよ」
哲平は呟いてから席に座り、私の手からスプーンとパフェを奪い取ると、黙って食べ始めてくれた。
別に食べてもらうために、褒めたわけじゃないんだけど。
まあ、いいか。
にしても、今回は終始、あいつのペースになってしまったから、あいつに何かやり返す時は、ちゃんと策を練っていかないと駄目ね…。
……運命の人?
ホットラードを殴らないといけない運命の人だと言われたら納得できるかもしれないけど、こいつが言ってるのはそういう意味じゃないわよね?
「浮気してんのはお前も一緒だろ」
「イッシュバルド卿、彼女は友人です。誤解しないで下さい」
哲平の言葉を聞いて、ホットラードはA子を見たあと、首を横に振って否定した。
「私はお二人はお似合いだと思います?」
A子の方に向かってにっこり微笑んだけど、私に言われても嬉しくなかったようで、ふんと鼻を鳴らす。
何なのよ。
イライラしてきた。
なんか、頭突きしたい。
「ああ、妬かないでおくれよ、アリス。僕は君となら今度こそ真実の愛を見つけられたと思うんだ」
いつ?
どこで?
妄想の中で?
普通の人が相手なら絶対に言わない言葉を、ホットラードには伝える事にする。
「気持ち悪い」
「拗ねないでおくれ」
「気持ち悪い」
人にそんな言葉を吐いてはいけない事は、本当にわかってる。
だけど、おさえられなかった。
2回も気持ち悪いと言ってるのに、なぜかホットラードは私に向かって手を伸ばしてきたので、その手を叩いてやろうと思ったら、哲平が立ち上がり、ホットラードの腕をつかんでひねり上げ、狭いスペースの床にうつ伏せにさせると、ホットラードの背中を自分の膝でおさえつけた。
いつの間にそんな芸当覚えたの。
ラス様に護身術として習ったのかしら?
「痛い! 何をするんだ! はなせ! はなしてくれ!」
わめくホットラードがうるさくて、耳をふさぎながらA子を見ると、なぜか哲平の方を見て「素敵」と呟いた。
いやいや、素敵とか言ってる場合じゃないでしょ。
あんたの連れ、床に顔をつけさせられてるけど?
ああ。
それよりも、このままじゃパフェのアイスが溶けるわね。
アイスを優先させなくちゃ。
「テツ様!」
店内が騒がしくなったからか、外で待ってくれていた護衛騎士の人が店の中に入って来て、哲平の名を呼んだ。
哲平はホットラードをおさえつけたまま、顔を上げて言う。
「ありすに手を出そうとした。連れ出してくれ」
「かしこまりました」
店内をうるさくしてしまったので、パフェを食べる手を時折休めて、周りに「お騒がせしてごめんなさい」と、会釈して謝る。
ホットラードは騎士に連れて行かれながら叫ぶ。
「アリス! 連絡するから!」
いらん。
とりあえず無視する。
「アリスー!」
「迷惑です!」
うるさいし、他の人の迷惑になるから、人の名前を大きな声で何度も叫ぶな。
騎士の人に両腕をつかまれて店の外へ連行されていくホットラードの姿が見えなくなった後、呆然としているA子に哲平が話しかける。
「悪いな。ここは払っておくから君は帰ってくれ。帰りの足がないなら用意させる」
するとA子は哲平を見つめて、口を開いた。
「あの、このあと、よろしければ、私と一緒に」
「断る」
彼女が言い終わる前に、哲平は彼女のお誘いを断った。
A子とホットラードの関係性が未だにわからないままなんだけど。
なんなの、お互い遊びだったみたいな感じ?
気になるけど聞いたら負けな気がするのよね。
それにしても、ホットラードが浮気されてるっていうのは本当の事なのかしら?
結局、哲平に対して駄々をこねるA子も騎士の人に連れて行かれ、やっと静かになった所で礼を言う。
「ありがとう、哲平。カッコ良かったわよ?」
「お、おう」
照れたのか視線をそらす哲平に、笑顔で続ける。
「だから残ったパフェ、食べてくれる?」
「そっちかよ」
哲平は呟いてから席に座り、私の手からスプーンとパフェを奪い取ると、黙って食べ始めてくれた。
別に食べてもらうために、褒めたわけじゃないんだけど。
まあ、いいか。
にしても、今回は終始、あいつのペースになってしまったから、あいつに何かやり返す時は、ちゃんと策を練っていかないと駄目ね…。
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