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霧の鬼編
(136)ジャックの反発
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~紗彩目線~
「さて…………とりあえず二人にはしばらくの間外出を自粛してほしい」
「待ってください!!」
「え?」
シヴァさんの言葉と共に、焦りと恐怖を織り交ぜたような声が私の隣から聞こえてきた。
それに驚きながら隣を見れば、焦った表情を浮かべたジャックさんがシヴァさんを見ていた。
…………どうしたんだ、ジャックさん。
「俺は、まだできます!! 俺は、まだ戦えます!!」
「…………え?」
「戦える・戦えないの問題じゃない。お前たちは、しばらくの間外出自粛だ。本来なら禁止だが、自粛にしているんだ」
焦った声音で早口でまくし立てるジャックさん。
でも、その内容は見当違いのことを言っていた。
たぶん、外出自粛は切り裂きジャックのことだろう。
私もジャックさんも顔を見られているから、今回なんとかなって今後何らかの危険に晒される可能性があるからって事だろう。
そう思っていると、シヴァさんが真剣な表情でジャックさんに言う。
え、シヴァさん冷静すぎない?
「なんでですか!? 俺は、まだやれます!! 失敗もしません!! 反省しました!! だから」
「反省と言いますが、何を反省したのですか? それを簡潔に言いなさい」
再び大きな声で叫ぶジャックさんに、アルさんも冷静にそう切り返す。
簡潔に言いなさいって、なんだか学生時代にあったテストの問題を思い出す。
あの、~文字以内っていう問題。
あれ、嫌いだったんだよな。
「そんな何文字以内なんて、時間が限られているテスト中に数えられるか!」っていう感じで。
そう思っていると、ジャックさんが小さな声でボソリと言った。
「……S級の犯罪者に無謀にも攻撃したから」
「それをしなければ、サーヤが危険でしたよ」
ジャックさんの言葉に、アルさんが静かな声で言う。
たぶん、攻撃と言うのはボールを切り裂きジャックにぶつけたことだろう。
確かに、騎士団内のルールではよほどのS級の敵に対しての攻撃はあまり推奨されていない。
その理由は、激昂されてどんな行動を取られるかが予想できないから。
まあ、あのおかげで切り裂きジャックに隙ができたんだけどね。
「……サーヤの道具に頼ったから」
「もともと彼女の道具は、そのためにあるような物でしょう? 彼女本人も、その用途のために制作していますし」
「…………」
ジャックさんが再び言うと、アルさんもそう言い返す。
まあ私が作る道具と言うのはそのために作っているから、逆にそれ以外の用途で作ってくれって言われたら困るんだけど。
そう思っていると、ジャックさんがうつむきながら黙り込んでしまった。
「ジャック、理解していないのに軽々しく『反省しました』と言う言葉を使ってはいけませんよ。この言葉は、自身の行いの悪い部分を理解し改めようと誓った者が言う言葉です。反省するだけ行動しなくては、成長にもつながりませんからね」
「…………とにかく、ジャック。お前は、しばらくの間頭を冷やせ。その状態で動いても、他の奴らの迷惑にしかならないぞ」
「…………だからですか?」
アルさんが困ったように言うと、シヴァさんもため息を吐きながらそう言った。
そんな彼らに、ジャックさんがボソリと小さな声で何かを言った。
「俺の個有スキルが…………役立たずだからですか?」
「お前の個有スキルは、関係ないだろう」
「…………すみません」
ジャックさんはそう言うと、うなだれたまま部屋を出て行った。
そんな彼の姿に放っておけず、私も二人に頭を下げて部屋から出た。
「さて…………とりあえず二人にはしばらくの間外出を自粛してほしい」
「待ってください!!」
「え?」
シヴァさんの言葉と共に、焦りと恐怖を織り交ぜたような声が私の隣から聞こえてきた。
それに驚きながら隣を見れば、焦った表情を浮かべたジャックさんがシヴァさんを見ていた。
…………どうしたんだ、ジャックさん。
「俺は、まだできます!! 俺は、まだ戦えます!!」
「…………え?」
「戦える・戦えないの問題じゃない。お前たちは、しばらくの間外出自粛だ。本来なら禁止だが、自粛にしているんだ」
焦った声音で早口でまくし立てるジャックさん。
でも、その内容は見当違いのことを言っていた。
たぶん、外出自粛は切り裂きジャックのことだろう。
私もジャックさんも顔を見られているから、今回なんとかなって今後何らかの危険に晒される可能性があるからって事だろう。
そう思っていると、シヴァさんが真剣な表情でジャックさんに言う。
え、シヴァさん冷静すぎない?
「なんでですか!? 俺は、まだやれます!! 失敗もしません!! 反省しました!! だから」
「反省と言いますが、何を反省したのですか? それを簡潔に言いなさい」
再び大きな声で叫ぶジャックさんに、アルさんも冷静にそう切り返す。
簡潔に言いなさいって、なんだか学生時代にあったテストの問題を思い出す。
あの、~文字以内っていう問題。
あれ、嫌いだったんだよな。
「そんな何文字以内なんて、時間が限られているテスト中に数えられるか!」っていう感じで。
そう思っていると、ジャックさんが小さな声でボソリと言った。
「……S級の犯罪者に無謀にも攻撃したから」
「それをしなければ、サーヤが危険でしたよ」
ジャックさんの言葉に、アルさんが静かな声で言う。
たぶん、攻撃と言うのはボールを切り裂きジャックにぶつけたことだろう。
確かに、騎士団内のルールではよほどのS級の敵に対しての攻撃はあまり推奨されていない。
その理由は、激昂されてどんな行動を取られるかが予想できないから。
まあ、あのおかげで切り裂きジャックに隙ができたんだけどね。
「……サーヤの道具に頼ったから」
「もともと彼女の道具は、そのためにあるような物でしょう? 彼女本人も、その用途のために制作していますし」
「…………」
ジャックさんが再び言うと、アルさんもそう言い返す。
まあ私が作る道具と言うのはそのために作っているから、逆にそれ以外の用途で作ってくれって言われたら困るんだけど。
そう思っていると、ジャックさんがうつむきながら黙り込んでしまった。
「ジャック、理解していないのに軽々しく『反省しました』と言う言葉を使ってはいけませんよ。この言葉は、自身の行いの悪い部分を理解し改めようと誓った者が言う言葉です。反省するだけ行動しなくては、成長にもつながりませんからね」
「…………とにかく、ジャック。お前は、しばらくの間頭を冷やせ。その状態で動いても、他の奴らの迷惑にしかならないぞ」
「…………だからですか?」
アルさんが困ったように言うと、シヴァさんもため息を吐きながらそう言った。
そんな彼らに、ジャックさんがボソリと小さな声で何かを言った。
「俺の個有スキルが…………役立たずだからですか?」
「お前の個有スキルは、関係ないだろう」
「…………すみません」
ジャックさんはそう言うと、うなだれたまま部屋を出て行った。
そんな彼の姿に放っておけず、私も二人に頭を下げて部屋から出た。
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