君の時間は六歳で、僕の夏は十六歳で。

「さよならじゃないよ。しおは、みんなの『こころ』のなかに、かくれているからね」

十年前の夏、一人の少女が川の濁流に消えた。
彼女の名前は、栞(しおり)。
僕たちの物語は、あの日、パタンと閉じられたはずだった。

十六歳になった僕の前に現れたのは、あの日と同じ、六歳の姿のままの「しお」だった。
透き通る体、イタズラな笑顔。
彼女は、止まってしまった物語をもう一度開くために、天国から「かくれんぼ」をしにやってきたんだ。

「抱きしめた瞬間だけ、僕たちはあの日の六歳に戻れる」

期間限定の、二十六日間の再会。
かつての幼馴染たちと過ごす、やり直しの夏休み。
おばあちゃんの駄菓子屋、ひまわり畑の匂い、そしてひらがなで綴られた最後の手紙。

これは、僕が大人になるために、そして彼女がただの女の子に還るために必要な、世界で一番切なくて温かい「かくれんぼ」の記録。

閉じられた物語に栞を挟み、もう一度、あの夏のページから始めよう。
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