異端の聖女

温暖で穏やかな海に浮かぶ島国・アウレル国。
面積はわずか1.15平方キロメートル、人口約3000人。古くから信仰されるアウレル教が国民の生活と精神を支え続けてきた。

アウレル教には神の力を宿す二対の聖者が存在する。
人々の傷や病を癒やす力を持つ「太陽の聖者」。
そして、次代の聖者をこの世に産み落とす「月の聖女」。
最高神たるアウレル神と、聖者がもたらす光によって、アウレル国は長く平和と繁栄を享受してきた。

ソレイユは「太陽の聖者」の中で、唯一の女性である。
本来、太陽の聖者は“男性しか生まれない”はずのもの。女性でありながら太陽の力を授かったソレイユは、神意に背く存在とされ、「異端の聖女」と揶揄され続けてきた。

そんなある日、付き人であり幼馴染でもあるディールスが「神の依り代」に選ばれた。
依り代となった者は、自我を神に侵食され、やがて命を落とす運命にある。
しかもディールスが選ばれたのは偶然ではなく、教団が予てより仕組んでいたことだった。

大切な幼馴染を奪う教団、太陽の力の恩恵に預かりながらもソレイユを嘲る国民たち。ソレイユの胸に積もり続けていた怒りがついに決壊する。

ソレイユはディールスのため、そして己のために、アウレル教を滅ぼすことを決意した。



※この物語はフィクションです。実際の人物、団体、事件などには一切関係ありません。
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※一部暴力的表現、流血表現がございます。苦手な方はご注意ください。
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