汐風の向こうに ー波を愛した友へー
昭和五十七年。映画『ビッグ・ウェンズデー』に魅せられた福岡の青年・健司は、サーフィンを求めて宮崎総合大学へ進学する。同じ頃、木崎浜のそばで育った地元の中学生・隆も、波に乗る喜びを知り、プロを夢見るようになる。そして東京で働く三十八歳の誠は、出張で訪れた宮崎の水平線に心を奪われ、十六年勤めた会社を辞めて移住を決意する。三人はそれぞれの道で木崎浜に引き寄せられ、誠が営む小さな珈琲店「汐風」で出会う。年齢も出身も異なる三人をつないだのは、ただ一つ——南からうねりが来て、砂底できれいに崩れる、木崎浜の波だった。
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