来世もお迎えに参ります。

しろみ

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《次のニュースです。勤務先の高校にて、男子生徒のわいせつな画像や動画を所持していた元教師の初公判が開かれました。元教師は「間違いありません」と述べ、起訴された内容を認めており―》


「…だってよ。『次回は来月に開かれる』って…裁判って何回かあるんだっけ?」
「ああ。でも担任は実刑は免れないだろって言ってた」
「寮の中、隠し撮りしてたんだろ?…きっも。一生社会に出てきて欲しくないわ」
「だなー」


 俺は食堂に朝食をとりにやって来た。すでに座って朝食をとる2人の生徒は食堂に設置されたテレビを見ながら、そんな会話を繰り広げている。

 その一人は俺に気付いて「おう洸太、はよ!」と片手を上げた。


「おはよ」
「今アイツのニュースやってたぞ。自分がやったこと認めたって。…お前も災難だったよな。こんな外道に濡れ衣着せられてさ……」
「……」


 松尾は高校を退職した。

 あの後、全校生徒が集められ、校長から松尾の説明がされた。『被害に遭った生徒の名前は伏せるが』と切り出されたが、皆、内心察していたはずだ。松尾は湊の寮部屋に何個もの隠しカメラを設置していた。松尾のパソコンからは、湊のあられもない姿を映した写真や映像が何枚も見つかったらしい。
 そのフォルダの中には、俺のメアドで拡散された映像も含まれていた。松尾は情報の教師であり、学校のデータベース管理権限を持っていた。それを悪用して、俺のメアドを使用したらしい。そう校長から説明された瞬間、俺は周りから同情の目が向けられた。



「……でもなんであの動画を松尾が持ってたんだ…?湊の携帯で撮ったんじゃ…」
「え?」


 居心地の悪い食堂を早々に後にして、俺は自分の部屋に戻っていた。ここ最近立て続けに色々あり、俺はおかしくなってしまったようだ。あんなに走ることが好きな俺だが、今は陸上をする気分になれず朝練をサボってしまった。
 1限目まで少し時間があるな、と考えながら俺はベッドで横になる。隣には湊もいる。俺と同じく横になり、俺の胸に抱きついていた。


「―……まあいいか。終わったことだ」


 湊は被害者だ。被害者の前であれこれ言ってはデリカシーがない。あんな気色の悪いことをされた憐れみもあり、俺は湊を片手で抱き寄せた。

 そうすれば湊は嬉しそうに擦り寄ってくる。


「先輩…手、大丈夫ですか?」
「ああ。もう傷は塞がったよ。てか包帯外すか」


 ここ数日、片手に包帯を巻いてることが普通になっていたので、取り外すのを忘れていた。はらはらと包帯を解けば、薄く傷口が残る手のひらが露わになった。
 手を閉じて開いてみる。痛みは全くない。もう包帯は必要なさそうだ。

 すると、湊はその手をそっと両手で包んで目を伏せた。


「先輩、ごめんなさい…、僕のせいで…先輩の綺麗な手に、傷をつけてしまいました…」
「湊のせいじゃねぇよ」
「僕のせい、です、…んっ」


 形の良い唇から真っ赤な舌が現れる。

 湊は傷口を癒すように、舌を動かす。傷口を舐めた舌は、手のひら全体をペロリと舐め上げ、やがて指の一本一本まで丁寧に舐め上げていく。


「…っ、みなと…くすぐったい」
「先輩、僕、頭おかしいかもしれません…」
「ん…?」


 赤子のようにちゅぱちゅぱと俺の親指を喰む湊は、その手を自身の胸に当てた。


「心臓…ドキドキしてる…先輩の傷舐めたら…興奮してきちゃいました」
「……」


 胸に当たった手を少しずらす。指の先に当たったのは、湊の乳首だ。薄い白のロンTを持ち上げるように、そこはツンと勃ち上がっていた。


「僕、変態なんです…。あの男に、押し倒されたとき…、乳首ビンビンになっていたのは、先輩が、僕を助けに来てくれたからなんです…」
「…俺?」
「…はい。先輩が、僕のために、必死になってる姿…、すごく興奮しました、この傷も、僕を守ってくれた証で、興奮します…」


 俺はつい「ふっ」と笑ってしまった。大きな瞳には涙が溜まり始めている。そんな顔で「僕は変態です」と告白をする湊がおかしかった。


「お前ってS?」
「…うう…分かんないです…。でも、僕のことで頭いっぱいになってる先輩を見るのは好きです…」
「ふうん」


 スッと目を細めて見下ろせば、湊は顔を真っ赤にする。そしてモジモジと下半身を擦り付けてきた。


「…先輩、ここ、おっきくなってます……」
「知ってる」
「ど、どうして…ですか…?」
「湊のほうが詳しいんじゃない?」


 湊の顎を掬い上げる。そのまま唇を包むようにキスをした。


「んっぅ…」
「…ん」


 湊は線が細い。少し力を込めれば壊れてしまいそうだ。だから湊の後頭部と腰に手を当てて、優しく仰向けにする。その上に俺は跨った。


「嫌なら俺のこと思いっきり噛んでいいから」


 そう言って着ていたTシャツを脱ぎ捨てれば、湊の瞳はぽおっと蕩ける。


「嫌、なわけ、ありません…。先輩…。好き。好き。好き。……先輩、来て?」


 湊は両手を伸ばす。俺はそれを受け入れるように、湊に顔を寄せて、首に手をまわすようにさせた。







 遠くから1限目が始まるチャイムが聞こえる。


「ぁっ、あっ、またイっちゃ…」
「ナカ擦るたびにイってんな」
「ぁんっ、ごめっ、ごめんなさっ…せんぱいのおちんちん挿れただけで何回もイっちゃう淫乱で、ごめんなさいっ…」
「…ぁ、ナカきっつ…」


 窓を開けていない部屋は、生々しい匂いが充満していた。


「せんぱいっ、ちくび、さびしいよぉっ…」
「…はいはい」


 俺は湊と一つになった。

 ただでさえ女と性行為をしたことない俺は男同士で出来るものかと不安だったが杞憂だった。湊が事前にあれこれ用意していて、“俺がその気になった時のために”、と常にローションが入った小瓶を持ち歩き、常に尻の孔を綺麗に洗っていたからだ。

 …俺のこと、どこでも盛る動物とでも思ってんのか

 少々解せないが、助けられたのは事実である。

 湊は待ち望んでいたと言わんばかりに、俺の肉棒を尻の孔で咥え込んだ。その時の声と表情は、最上級の快感が与えられたように蕩けていた。


「ぁっ、んッ…」
「またイった?ほんと乳首好きだな」
「すきぃ…っ、せんぱいの指で、ぐりぐりされて、せんぱいの、きれいなお口と舌で、ぐちゅぐちゅっていじめられるの、だいすきぃ、乳首だけでイっちゃうよぉ…っ」


 ベッドの上には、至る所に精液が飛び散る。そのほとんどが湊のものだ。

 基本的に男は股間にぶら下がるモノを擦り上げて射精するものだと思ってたが、湊は乳首を弄るほうが感じやすいらしい。

 先程まで騎乗位の状態だった。小さいながらも反り返る棒には一切さわらずに、腰を振って自らの指で胸を弄り射精する湊は、かなり目に毒だった。


「…っ、俺も、ちょっと限界…」
「ふあ、ぁぁ、ぁっ……」
「一回イかせて」


 湊の腰を掴み、ぐちゅっぐちゅっ…と挿入を深めた。すると、湊は奥を突くたびに軽くイってるのか、ビクンビクンと背を仰け反らせる。
 ナカは俺のを搾り取らんと締まり、つい「ぁ…」と声を漏らせば、湊はうっとりと吐息を零す。


「せんぱい…、ぎゅうっ、したい、です…」
「…んっ」


 湊の首に手をまわす。そうすれば、同じように自分の首にも湊の手がまわる。
 その瞬間、ばちゅばちゅッと叩きつけるような淫音が鳴り響いた。


「はぁっ、ん、せんぱい、はげしいよぉっ」
「…っ、ごめっ、腰止まんない…っ」
「あはっ…、うれしい、止まらないでっ、くださいっ、せんぱいのおちんちん、あつくて、きもちい、ぼく、ずっと、せんぱいと繋がっていたい、ですっ、ずっと一緒、です、せんぱい、すき、ぁ、んあっ…」
「…ッ……ぁ、出る」


 射精感が押し寄せる。

 あれだけ準備の良い湊だがコンドームまでは用意していなかったようで、俺は生で挿入している。さすがにナカで出すわけにはいかない。湊から出て行こうとする。しかしその瞬間、湊は「やだぁ!」と叫んだ。


「なんっ、なんで、外に出そうと、するんですかっ…、嫌、です…。せんぱいの精液、ぼくのものです、ぼくに注いで、ください…っ」


 腰にまわった脚がぴったりと絡まり、逃がさないと言うように、ぐっぐっと押さえ込まれる。こうされては湊から抜けることができない。


「…ん、ッ」


 その刺激がトドメになった。俺は湊のナカで飛沫をあげてしまった。びゅくびゅくと先端から欲望が溢れていく。

 途端、喘ぎ混じりの湊の声が上がる。


「ぁあんッ…あは…っ、あぁっ…、せんぱい、すごい…っ、せんぱいの、いっぱい流れてくる…、おなか、あったかいよぉ…」
「…ぅ、ぐ…っ」


 本能的なものか。イったあともしばらく腰を振り、ナカに放ったものを擦り付けるように動いてしまう。湊はそんな俺を恍惚とした表情で見つめていた。


「はっ、はっ…」


 そうしてようやく衝動から解放された。

 その瞬間、射精後特有の倦怠感に襲われ、どさりと湊の上に覆い被さる。そして物欲しそうな湊と目が合い、柔らかい唇を奪った。


「んっ…せんぱい…」
「…っ?」
「せん、ぱいっ、…きもちよかった、ですか…?ぼくのナカ、よかった…?」
「うん…」


 口付けを交わしながら頷く。

 そうすれば湊はへにゃりと笑った。


「えへへ、僕、うれしい。せんぱいに中出しされちゃった。おっきいおちんちんで、奥すりすり、いっぱいされて、まだ中ヒクヒクしてます。すごく、気持ちよかった…。でも、まだ足りません。もっと、せんぱいの精液ください…。せんぱいと、もっともっとえっちなことしたいです…」
「……」


 俺は静かに圧倒されていた。湊は清純な雰囲気を持つ美少年だ。そんな美少年が天使のような笑顔を浮かべて、中のものを愛でるように自らの腹をさすり、卑猥な言葉を放つ。

 その様子は天使とは言い難い。

 “小悪魔”という言葉が脳裏をよぎった。

 …さすが、校内の殆どの人間を自分の信者にした魔性の少年だ。この美少年は自分の魅力を分かっていて、こういう事を言っているのか。

 …校内の奴らが見たら鼻血を出して倒れそうだ。

 …まあ、見せないけど。

 自分の心の声に苦笑した。

 存外、俺は独占欲が強いらしい。


「…せんぱい?」
「もっとえっちなことって何すんの?」


 わずかに悪戯心が湧いた。そう質問を投げ掛ければ、湊は顔を真っ赤にして、モジモジと言葉を紡ぐ。


「…僕…せんぱいとする時のために、えっちな服いっぱい買ってたんです…それ着て…『可愛い』って言われながら…中出しされたい、です」
「……ああ、そういうの好きなんだ」


 所謂コスプレだろう。ちょっと意外で笑うと、「笑わないでください」と胸に額を押し付けられてしまった。


「いいよ。今度持って来て」
「っ、いいんですか…!」


 パァッと美しい顔に喜色が浮かぶ。この反応は相当コスプレをしたかったんだろう。大人びた少年かと思えば、こんな子供っぽい一面もある。湊の反応がおかしくてクスクス笑ってしまった。


「約束、ですよ。絶対です」
「うん、分かった」
「先輩には、かっこいいの用意してます」
「…あ、俺も着るんだ」


 …なんもしなくても「可愛い」と言うのに。…なんて言ったらキザと笑われるだろうか。

 そんな事を考えながら、湊の瞼にキスをした。

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