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第9話 軽音楽部です!
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田宮部長も交えて話をしていると、ぽつぽつと部室に部員が集まってきた。
うちの高校の軽音楽部は来るのも帰るのも自由で、フリーダムな環境なんだそうだ。
だから人が集まるのも結構ゆっくり。今日なんかは特に、部室の使い方の説明と新入部員との顔合わせがあるから集まる時間がゆっくり目に伝えてあるんだって。
私は聞いてなかったけれど、フライング入部したから顧問の先生が伝え忘れたのかな?
「一応決まりはあるんだけどね。その辺の説明は集まってからまとめて話そうか」
ショートホームルーム終わりから1時間ぐらいは経ったかな。
ようやく全員が集まったってことで、円形に椅子を並べて着席した。
私と同じ新入部員は固まってますが、私はちゃっかり御園先輩の隣に陣取ってます!
別に固まれなんて言われてないんだから良いよね?空気読めって言われそうだけどさ。
「よし、それじゃあ始めようか。既に全員知ってると思うけれど、俺が軽音楽部の部長、田宮です」
「知らねーぞー」
「自意識過剰ー」
「誰だっけ?」
「誰だっけは酷くない!?」
田宮部長の発言に野次が飛んでツッコむっていう、内輪ノリの笑いのパターンが展開されてる。
だけど新入部員にもそこそこウケてるね。ちょいウケからややウケぐらいかな?
「さ、いつもの冗談も決まったところでね。軽音楽部のルールから説明したいと思います。
我々軽音楽部は、基本的にはフリーダムな部活です。部員が20人弱いるけれど、活動内容は愛好会みたいなイメージかな。
一応、秋に行われる学園祭のライブに全員出場するって目標はあるんだけど、これも強制ではないから好きにしてくれて大丈夫」
なるほど、凄いゆるゆるな部活なんだなってことはわかった。
部活って一つの目標に向かって皆が力を合わせる、みたいな熱いイメージがあったんだけど、ここは違うみたいだね。
「真面君が部活はもっと熱いイメージがあったみたいな顔をしているから補足しておくね」
「表情から考えていることが読まれた!?」
「読まれた読まれた。丸分かりだよ」
そう言って笑った田宮部長の補足が始まる。
「一昨年までいた顧問の先生は元バンドマンだったから、先生が教えてくれて皆で課題曲を練習したりしてたんだけどね。
その先生が寿退社しちゃって、今の顧問は楽器を触ったこともない人なんだよ。
時々は顔を出すけれど、基本的には放任主義って感じだ。
それでも先輩とか俺とか経験者の御園さんで教えようと思ってたんだけど、御園さんの指導方法がさ…」
「見て覚えて」
「それは昔気質な頑固職人のやり口なのよ…」
私は是非とも見て覚えたいです!ガッツリ見る機会を与えてくれるなんて涎の濁流が止まりません!
「そういう訳で、今の軽音楽部はフリーダムになってます。
楽器やったりバンドやったりって結構お金が掛かるから、アルバイトしてる部員もいるからね。
それでもルールはあって、部室に来るのは自由だけれど、ドラムとアンプは30分ごとの予約制になってます。
予約が入ってない時間は使いたい人が順番で使う。3人いれば10分ずつって感じで分けてね。
バンドで使いたい場合はセッションの時間が別枠で取られてるから、これも予約して取ってね。
予約が出来るのは1日につき1人1枠までね。結構埋まらなかったりするから、沢山使いたい人は毎日顔を出してみるといいよ」
アンプを使うなら予約か。私がアンプを予約するのは当分先かなぁ。
田宮部長の説明が終わって、次は自己紹介が始まった。
「御園友里亜。よろしく」
御園先輩のぶっきらぼうで迫力のある自己紹介。
他の新入部員、めっちゃビビってるね。
こんなに格好良くて憧れしか抱けないのに、どうしてそんなに怖がるのか不思議でならないよ。
自己紹介は田宮部長から時計回りで回ってるから、先輩達に混ざって新入部員の私がやる流れになってしまった。
こっそり御園先輩の横顔を観察してたり、クンカクンカして隣の席を満喫してたから後悔は無い。
これは私の業が齎した状況なのだから、甘んじて自己紹介に勤しもう。
「今年からこちらにお世話になります真面莉子です。よろしくお願いします」
「眼鏡ちゃん」
世界一無難な自己紹介を終わらせようとしたら、御園先輩の声が聞こえた。
そちらを見ると目を細めた素敵なお顔の先輩と目があってしまった。
私にはわかる。このアイコンタクトはもう、あれだ。そういうことだ。
「眼鏡ちゃんと呼んで下さい」
「ぷふっ」
おいぃぃ!どうして笑うんだい!御園先輩はつけてくれた素敵な愛称でしょうがぁぁ!
なんて言える筈もないので、ややスベリ気味で私は自己紹介を終えた。
眼鏡ちゃんの浸透率は凄かったよ。自由時間になってから、先輩も同学年も皆に話掛けられたからね!
皆うっすら笑いながら眼鏡ちゃんって呼ぶのは気になったけれど、一瞬で顔と名前を覚えて貰えたんだから、御園先輩には感謝しかないよ。
嗚呼、素晴らしきかな御園先輩。
顔よりも眼鏡を覚えられたのではないかって疑惑については、ここでは不問とする。
うちの高校の軽音楽部は来るのも帰るのも自由で、フリーダムな環境なんだそうだ。
だから人が集まるのも結構ゆっくり。今日なんかは特に、部室の使い方の説明と新入部員との顔合わせがあるから集まる時間がゆっくり目に伝えてあるんだって。
私は聞いてなかったけれど、フライング入部したから顧問の先生が伝え忘れたのかな?
「一応決まりはあるんだけどね。その辺の説明は集まってからまとめて話そうか」
ショートホームルーム終わりから1時間ぐらいは経ったかな。
ようやく全員が集まったってことで、円形に椅子を並べて着席した。
私と同じ新入部員は固まってますが、私はちゃっかり御園先輩の隣に陣取ってます!
別に固まれなんて言われてないんだから良いよね?空気読めって言われそうだけどさ。
「よし、それじゃあ始めようか。既に全員知ってると思うけれど、俺が軽音楽部の部長、田宮です」
「知らねーぞー」
「自意識過剰ー」
「誰だっけ?」
「誰だっけは酷くない!?」
田宮部長の発言に野次が飛んでツッコむっていう、内輪ノリの笑いのパターンが展開されてる。
だけど新入部員にもそこそこウケてるね。ちょいウケからややウケぐらいかな?
「さ、いつもの冗談も決まったところでね。軽音楽部のルールから説明したいと思います。
我々軽音楽部は、基本的にはフリーダムな部活です。部員が20人弱いるけれど、活動内容は愛好会みたいなイメージかな。
一応、秋に行われる学園祭のライブに全員出場するって目標はあるんだけど、これも強制ではないから好きにしてくれて大丈夫」
なるほど、凄いゆるゆるな部活なんだなってことはわかった。
部活って一つの目標に向かって皆が力を合わせる、みたいな熱いイメージがあったんだけど、ここは違うみたいだね。
「真面君が部活はもっと熱いイメージがあったみたいな顔をしているから補足しておくね」
「表情から考えていることが読まれた!?」
「読まれた読まれた。丸分かりだよ」
そう言って笑った田宮部長の補足が始まる。
「一昨年までいた顧問の先生は元バンドマンだったから、先生が教えてくれて皆で課題曲を練習したりしてたんだけどね。
その先生が寿退社しちゃって、今の顧問は楽器を触ったこともない人なんだよ。
時々は顔を出すけれど、基本的には放任主義って感じだ。
それでも先輩とか俺とか経験者の御園さんで教えようと思ってたんだけど、御園さんの指導方法がさ…」
「見て覚えて」
「それは昔気質な頑固職人のやり口なのよ…」
私は是非とも見て覚えたいです!ガッツリ見る機会を与えてくれるなんて涎の濁流が止まりません!
「そういう訳で、今の軽音楽部はフリーダムになってます。
楽器やったりバンドやったりって結構お金が掛かるから、アルバイトしてる部員もいるからね。
それでもルールはあって、部室に来るのは自由だけれど、ドラムとアンプは30分ごとの予約制になってます。
予約が入ってない時間は使いたい人が順番で使う。3人いれば10分ずつって感じで分けてね。
バンドで使いたい場合はセッションの時間が別枠で取られてるから、これも予約して取ってね。
予約が出来るのは1日につき1人1枠までね。結構埋まらなかったりするから、沢山使いたい人は毎日顔を出してみるといいよ」
アンプを使うなら予約か。私がアンプを予約するのは当分先かなぁ。
田宮部長の説明が終わって、次は自己紹介が始まった。
「御園友里亜。よろしく」
御園先輩のぶっきらぼうで迫力のある自己紹介。
他の新入部員、めっちゃビビってるね。
こんなに格好良くて憧れしか抱けないのに、どうしてそんなに怖がるのか不思議でならないよ。
自己紹介は田宮部長から時計回りで回ってるから、先輩達に混ざって新入部員の私がやる流れになってしまった。
こっそり御園先輩の横顔を観察してたり、クンカクンカして隣の席を満喫してたから後悔は無い。
これは私の業が齎した状況なのだから、甘んじて自己紹介に勤しもう。
「今年からこちらにお世話になります真面莉子です。よろしくお願いします」
「眼鏡ちゃん」
世界一無難な自己紹介を終わらせようとしたら、御園先輩の声が聞こえた。
そちらを見ると目を細めた素敵なお顔の先輩と目があってしまった。
私にはわかる。このアイコンタクトはもう、あれだ。そういうことだ。
「眼鏡ちゃんと呼んで下さい」
「ぷふっ」
おいぃぃ!どうして笑うんだい!御園先輩はつけてくれた素敵な愛称でしょうがぁぁ!
なんて言える筈もないので、ややスベリ気味で私は自己紹介を終えた。
眼鏡ちゃんの浸透率は凄かったよ。自由時間になってから、先輩も同学年も皆に話掛けられたからね!
皆うっすら笑いながら眼鏡ちゃんって呼ぶのは気になったけれど、一瞬で顔と名前を覚えて貰えたんだから、御園先輩には感謝しかないよ。
嗚呼、素晴らしきかな御園先輩。
顔よりも眼鏡を覚えられたのではないかって疑惑については、ここでは不問とする。
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