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第8話 部長さんです!
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「おいっすー!2人とも早いね!」
何だか凄い高いテンションで部室に入ってきたのは、田宮部長。
見た目は地味なこちら側っぽいのに、喋り方とかはあちら側っぽいんだよね。
要するにあれだ…隠れ陽キャだ。
「密室に2人きりで何やってたの?教えてよ。俺、百合とか好きなんだよね」
この部長、新入部員にいきなり百合好きカミングアウトするとか、どういう神経してるんだろうか…。
「死ね」
御園先輩の死ね入りましたー!これは正直言って、言われても仕方のない死ねだと思うよ。
「きっくぅぅ!ナイス死ね!」
そして、全然効いてないなこの人…。
御園先輩が鋭い眼光で繰り出す“死ね”は、ヘビー級のハードパンチャーが繰り出すボディーブロウ並の破壊力だと思うんだけどね。
笑顔を見せて右手でグッドを作ってるから、効いていないどころか喜んでいる気すらする。
これはいかんぞ。御園先輩の危機だ。
「昨日買ったギターの調整をしてくれてたんです」
「ほう。そう言えば2人で真面君のギターを買いに行ったんだったね。どれどれ」
私がそう言うと、田宮部長が机の上に置かれた石ナンデスをジロジロと見始めた。
ギターの周りをグルグルしながらすんごい見てるんだけど、決して触ろうとはしない。
うん、私としては御園先輩の手垢が付いた石ナンデスに触れて欲しくないから、ありがたいんだけどね。
それにしても、すんごい見るな。この人。
「これ、御園さんの趣味で選んだでしょ」
見ただけで御園先輩に選んで貰ったのを言い当てたね。
「20000円以内で買える最高のギターがそれだったってだけ」
御園先輩はそっけなく、こともなげに返す。
「え?いくらだったの?」
「15800円」
「安いね!それは良い買い物をしたと思うよ!真面君、掘り出し物に出会えて良かったね!」
「あ、ありがとうございます。良かったです」
田宮部長も言うくらいだから、やっぱりお値段以上なのかな?
御園先輩が勧めてくれるなら、私はゴミ捨て場に落ちてるギターだって構わず買ってたんだけれど、御園先輩が選んでくれた私の石ナンデスが褒められるのは嬉しいね。
「ちょっと音を鳴らしてみてよ」
そう言われたので石ナンデスを持って椅子に座り、必殺のCコードを披露する。
正直言ってCコードに自信ネキだよ。今の私は。
アンプに繋がってるから家で弾くよりも大きくて煌びやかな音が響いた。
「ジャパビンだねぇ。ところで真面君はギター弾けたの?自分のギターを持ってないなら初心者だと思ってたんだけど」
田宮部長が不思議そうな顔で確認するけれど、どうしたんだろう?
「いえ、昨日生まれて初めてギターを弾きました」
そう返事をすると、田宮部長が興味深げに私の目を見た。
どうせ見られるなら御園先輩が良いので、ちょっとみないで貰って良いですかね。
「それにしてはちゃんと鳴ってるんじゃない?」
そういうことか。初心者ならコードなんて知らないし、弾けたとしても開放弦を鳴らして弾けた気になってるぐらいが普通なのかな?
しかし、私は溢れる才能でCコードをマスターしているんですよ!さあ、私を褒め称えてください!
「完徹して練習した成果ですかね。あははー」
なんて言える筈もないから、普通に返事をしたんだけれど、何故だか田宮部長が驚いた表情でこちらを見ている?
「初心者が完徹でギター弾いてたの!?指大丈夫!?」
「左手見せて」
きゃぁぁぁああ!御園先輩のお手々が私のお手々に触れて、左の掌をじっと見られているぅぅ!
大丈夫かな!?私今日、手相のコンディション大丈夫かな!?エロ線とか出ちゃってないかな!?
そんな心配をよそに、御園先輩の視線は掌じゃなくて指先をじっと見ている。
「これ、痛いでしょ。やる気があるのは良いことだけど無理はしないようにね」
「あはは。御園さんが他人の心配するって珍しいから、忠告は素直に聞いた方が良いよ」
確かに指の皮が剥けてフライデーナイトの父ぐらいベロンベロンになってるけど、痛くても我慢して弾ける範囲なんだけどな。
あ、父のベロンベロンとは趣旨が違うか。あっちは何と言うかろくでもないし。
今はそんなことよりもお手々とお手々が触れ合ってることの方が重大で重要だし!
だけど、御園先輩に心配されるのは嬉しいし、忠告にもちゃんと応えたい。
「わかりました。今後は1.5徹にします」
「2日に一度は徹夜するって方針!?冗談だよね!?」
田宮部長からツッコミが入ったけれど、冗談ではないんですけどね。
これまでもスマホゲームやってたら朝になってたなんてことが沢山あったし、それがギターに変わるんだったら、随分と有意義になるんじゃないかって思うんだよね。
御園先輩も無理してないなら良いんじゃないって言ってくれてるし、私のモチベーションは川登りしてる鮭よりも高いよ!
何だか凄い高いテンションで部室に入ってきたのは、田宮部長。
見た目は地味なこちら側っぽいのに、喋り方とかはあちら側っぽいんだよね。
要するにあれだ…隠れ陽キャだ。
「密室に2人きりで何やってたの?教えてよ。俺、百合とか好きなんだよね」
この部長、新入部員にいきなり百合好きカミングアウトするとか、どういう神経してるんだろうか…。
「死ね」
御園先輩の死ね入りましたー!これは正直言って、言われても仕方のない死ねだと思うよ。
「きっくぅぅ!ナイス死ね!」
そして、全然効いてないなこの人…。
御園先輩が鋭い眼光で繰り出す“死ね”は、ヘビー級のハードパンチャーが繰り出すボディーブロウ並の破壊力だと思うんだけどね。
笑顔を見せて右手でグッドを作ってるから、効いていないどころか喜んでいる気すらする。
これはいかんぞ。御園先輩の危機だ。
「昨日買ったギターの調整をしてくれてたんです」
「ほう。そう言えば2人で真面君のギターを買いに行ったんだったね。どれどれ」
私がそう言うと、田宮部長が机の上に置かれた石ナンデスをジロジロと見始めた。
ギターの周りをグルグルしながらすんごい見てるんだけど、決して触ろうとはしない。
うん、私としては御園先輩の手垢が付いた石ナンデスに触れて欲しくないから、ありがたいんだけどね。
それにしても、すんごい見るな。この人。
「これ、御園さんの趣味で選んだでしょ」
見ただけで御園先輩に選んで貰ったのを言い当てたね。
「20000円以内で買える最高のギターがそれだったってだけ」
御園先輩はそっけなく、こともなげに返す。
「え?いくらだったの?」
「15800円」
「安いね!それは良い買い物をしたと思うよ!真面君、掘り出し物に出会えて良かったね!」
「あ、ありがとうございます。良かったです」
田宮部長も言うくらいだから、やっぱりお値段以上なのかな?
御園先輩が勧めてくれるなら、私はゴミ捨て場に落ちてるギターだって構わず買ってたんだけれど、御園先輩が選んでくれた私の石ナンデスが褒められるのは嬉しいね。
「ちょっと音を鳴らしてみてよ」
そう言われたので石ナンデスを持って椅子に座り、必殺のCコードを披露する。
正直言ってCコードに自信ネキだよ。今の私は。
アンプに繋がってるから家で弾くよりも大きくて煌びやかな音が響いた。
「ジャパビンだねぇ。ところで真面君はギター弾けたの?自分のギターを持ってないなら初心者だと思ってたんだけど」
田宮部長が不思議そうな顔で確認するけれど、どうしたんだろう?
「いえ、昨日生まれて初めてギターを弾きました」
そう返事をすると、田宮部長が興味深げに私の目を見た。
どうせ見られるなら御園先輩が良いので、ちょっとみないで貰って良いですかね。
「それにしてはちゃんと鳴ってるんじゃない?」
そういうことか。初心者ならコードなんて知らないし、弾けたとしても開放弦を鳴らして弾けた気になってるぐらいが普通なのかな?
しかし、私は溢れる才能でCコードをマスターしているんですよ!さあ、私を褒め称えてください!
「完徹して練習した成果ですかね。あははー」
なんて言える筈もないから、普通に返事をしたんだけれど、何故だか田宮部長が驚いた表情でこちらを見ている?
「初心者が完徹でギター弾いてたの!?指大丈夫!?」
「左手見せて」
きゃぁぁぁああ!御園先輩のお手々が私のお手々に触れて、左の掌をじっと見られているぅぅ!
大丈夫かな!?私今日、手相のコンディション大丈夫かな!?エロ線とか出ちゃってないかな!?
そんな心配をよそに、御園先輩の視線は掌じゃなくて指先をじっと見ている。
「これ、痛いでしょ。やる気があるのは良いことだけど無理はしないようにね」
「あはは。御園さんが他人の心配するって珍しいから、忠告は素直に聞いた方が良いよ」
確かに指の皮が剥けてフライデーナイトの父ぐらいベロンベロンになってるけど、痛くても我慢して弾ける範囲なんだけどな。
あ、父のベロンベロンとは趣旨が違うか。あっちは何と言うかろくでもないし。
今はそんなことよりもお手々とお手々が触れ合ってることの方が重大で重要だし!
だけど、御園先輩に心配されるのは嬉しいし、忠告にもちゃんと応えたい。
「わかりました。今後は1.5徹にします」
「2日に一度は徹夜するって方針!?冗談だよね!?」
田宮部長からツッコミが入ったけれど、冗談ではないんですけどね。
これまでもスマホゲームやってたら朝になってたなんてことが沢山あったし、それがギターに変わるんだったら、随分と有意義になるんじゃないかって思うんだよね。
御園先輩も無理してないなら良いんじゃないって言ってくれてるし、私のモチベーションは川登りしてる鮭よりも高いよ!
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