ラスト・ニル


 一年に一度、「大いなるもの」は楽園へ民を誘う。
 しかし楽園へ招かれる民はごく一部であり、「大いなるもの」は楽園への招待として世界に聖戦を起こす。

 世界に四つある国——北、東、西、南の国はそれぞれの目的を持って楽園への到達を目指す。
 「大いなるもの」に指をさされた国は楽園への到達を夢見て、「大いなるもの」が遣わす軍勢と戦い、その勇猛を、善性を、己の価値を「大いなるもの」に示す。
 しかしその輝きによって楽園へ招かれるものは僅かであり、多くはただ死して朽ちる。

 死してなお楽園に招かれなかった民は、世界に四つある国のうちの一つ「死の国」へ向かう。
 妄念に駆られ化け物にならぬため、疲れ果てた我が身を癒すため、不条理な楽園への憧れを慰めるためにその足は「死の国」へ進む。

 偉大な盟主が治める無人の国——死が待つテスティードへ、しかし訪れるのはこの世に生まれ、この世に生きたものだけではない。
 他の世界より漂流してきた「漂流者」。多くが生命の危機に瀕して「不可解ななにか」の手によってこちらへ連れられる。

 謂れのない罪で火刑に処されようとしていたエルリア・グスコープは死の間際、不可解な音と共に意識を失った。
 そして目覚めると、エクエスと名乗る青年が笑顔と共に告げた。

「ようこそ、漂流者のお嬢さん」
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