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第18話

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数日後、ローレンスからの報告で、母の情緒不安定さを目の当たりにすることになった。

「まさか…これ、本当?」
私は報告書を前に頭を抱えた。

「『金の切れ目が縁の切れ目』とは良く言ったものだと思いますが、どうもそれだけではなさそうで……」
ローレンスは少し声を落とした。

報告書には母がなりふり構わずにラルフにすがっている姿や、ライバルのご婦人への小さな嫌がらせの数々が書き込まれていた。色んな所で小競り合いを起こしているようだが、今のところ、私の方へと苦情は上がってきていない。
……元執事が私に報告せず握りつぶしているのかもしれないな……と私は考えた。

「それだけではないって……どういう事?」
私はこれ以上の事を聞きたくないと思いながらも、ローレンスに訊ねた。

「どうも、ラルフ自身がご婦人達と少し距離を取り始めたようですね。食事に出掛けたりは付き合い程度にこなしているようですが、体の関係は……」
とローレンスは言葉を濁した。

ラルフ自身が枕営業を辞めた、という事の様だ。今まではお金次第で……といった様子だったのに。

「では、母とはもう?」

「お母様は少し前から、お金での支援が乏しくなっていましたから、回数は減っていたと思いますが……今は全然でしょう。食事にも殆んど行けていないようです」
と言ってラルフは首を横に振った。

「正直、ラルフ自身には興味はないし、どんな理由で彼が変わったのかにも興味はないけれど、これがジュリエッタと無関係なのか……そこが問題ね」

「タイミング的にですねぇ。無いとははっきり言えませんが、あると言える確証もありません」

ローレンスがお話を聞いたご婦人の中にも、ラルフの事情を知っている者は居なかったという。
ラルフがジュリエッタに恋心を抱いている事は間違いないようだが、ジュリエッタは彼とは一定の距離を置いているようだ。
恋をする女性が出来た事で、他のご婦人の相手をする事が苦痛になる事は想像できる。
それは男も女も同じだろう。

私は何となくモヤモヤした気持ちを抱えながら、ローレンスの報告を聞き終えた。
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