お飾りの聖女がやる気を出しても碌なことにならないなんてわかっていたでしょうに。

補佐である私は、仕事を丸投げしてくる聖女に辟易としていた。
お飾りでしかないというのに、聖女は高慢で悪辣だ。それに何より、私の仕事を邪魔してくる。正直言って、目ざわりでしかなかった。

しかしそれでも、彼女は高貴な地位にある人間だ。国王様が支持している限り、私は彼女の代わりに仕事をこなすしかない。
優れた魔法使いとして、この国の平和と発展に寄与する。それだけを支えとして、私は影として務めてきた。それによって、国はなんとか安定していたのである。

だがある時、それは崩れ去ることになった。
聖女が変なやる気を出して、仕事にあたったからだ。

それによって私は、第一王子のハルメルト殿下とともに事態を収拾にあたることになった。
お飾りの聖女が余計なことをしたせいで、王国は危機に瀕してしまったのである。
24h.ポイント 63pt
0
小説 14,255 位 / 184,208件 恋愛 6,544 位 / 56,030件