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2章
2章44話(145話)
しおりを挟む翌日にはディアの体調はすっかりと良くなったみたいで、ホッとした。
アミュレットを作るための宝石は、その日から三日後に届いた。純度の高い宝石を探していたから少し遅くなってしまったことをカインに詫びられたけど、私は首を横に振ってその宝石を受け取った。
そして、すぐにレイチェル様に連絡を取った。今日の夜にアミュレットを作る予定です、と。
すると、すぐに彼女から「今日の夜にお邪魔するよ」と返って来た。ジーンとイヴォンにそのことを伝えると、二人とも快くうなずいてくれた。
そんなわけで、今日の夜にディア用のアミュレットを作ることになったのだけど……、その前にしっかりとご飯を食べないと。
入学してからまだ一週間も経っていないなんて不思議なくらい、濃い時間を過ごしているような気がする……。
授業が終わり、夕食を終えた夜、レイチェル様が私たちの部屋を訪ねてきた。しっかりとお泊り道具を手にして。
「ごきげんよう、お邪魔するね」
「ごきげんよう、レイチェル様。どうぞ」
イヴォンがレイチェル様を招き入れて、ジーンがお茶を用意する。私はソルとルーナと一緒に、どんな効果のあるアミュレットにするのかを話し合っていた。マジックバリアはそのうち使えるようになるだろうから、悪意ある魔力や洗脳系の魔力を遮断する効果にしようという結論になった。
「これがその宝石?」
「はい。綺麗でしょう?」
ひょいとレイチェル様がどんな宝石なのかを覗き込んできた。
「ローズクォーツか」
「はい。ディアにピッタリでしょう?」
ディアの髪色はストロベリーブロンドだから、きっとこの色が似合うハズ。淡いピンク色の、綺麗な宝石。
アミュレットを作る前に、ジーンの淹れてくれたお茶を飲んでリラックス。飲み終えてから深呼吸をして、宝石に向き合う。
「ソル、ルーナ、力を貸してね」
「ああ」
「もちろん!」
「それでは、始めます!」
宝石の上に手を翳して、魔力を集める。目を閉じて、どんなアミュレットにしたいのかを想像する。さっきソルとルーナと話し合っていたから、すぐに想像出来た。そうなるように願いながら、宝石に魔力を込める――……。
「――そこまで!」
ソルの言葉に、魔力を注ぐのを止める。これでアミュレットは完成だ。
「……すごいな、今のは複数の魔法を込めたのか」
「ソルとルーナのおかげです」
「ソルもルーナもお手伝いしただけー!」
ルーナが耳を動かしながらそう言った。私は「手伝ってくれてありがとう」とルーナを撫でると、ソルがちらちらと私を見ていることに気付き、ソルにも「ありがとう」と声を掛けて頭を撫でた。
そしてディアに連絡を取る。アミュレットが出来上がったから、後で渡すね、と。ディアは「楽しみにしているわ」と答えてくれた。
「……ところで、こっちの宝石はなにに使うんだい?」
「あ、あの、レイチェル様。レイチェル様はどの色の宝石がお好きでしょうか?」
「え?」
「イヤリングのお礼に……」
レイチェル様は目を大きく見開いてから、頬を赤く染めた。私が首を傾げると、レイチェル様は視線を彷徨わせて、「じゃ、じゃあ、そのエメラルドで……」と宝石を指した。私は「わかりました!」とエメラルドに魔力を込める。アミュレットの作り方は手慣れたものになりつつあるわ。
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