桔梗の花を手折るとき
珍しく都内が白く染まるほどに雪が降った年のある日、長月ヒバナは一本の電話を受けた。恋人である神無キキョウが交通事故に遭ったという。手術を終え命は取り留めたが、目を覚ました彼は記憶を失っていた。恋人の形をした別人。せめて逆であればどんなに良かったか。例え姿かたちが醜い野獣になったとしても変わらずに愛せただろう。しかし、人格が変わってしまった場合は? 彼はこうじゃなかった。目を輝かせて、眩しく微笑む人だった。
これは、彼の死体だ。
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