月がきれいだった

あまりにも月が綺麗だったので、もっとよく見たかっただけだったのに


小さい時から、星より太陽より、月が好きだった⋯⋯

月をもっとよく見るために、外へ出てみた雨傘上がりの宵の口
地面に映る月の端を踏んだら、私はサラサラと爪先から崩れて消えた

目覚めると、湯に浮いていた

──寝湯で見た夢だったのかな

安心するのもつかの間、女湯で男性に取り囲まれる
何がどうなったのか、さっぱりわからない

知らない世界で、贄の月の水環媛と呼ばれるけど、どしたらいいの?
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