道草食ってスキル獲得

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那覇ダンジョン奪還作戦2

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 ヘルワーム…赤黒い巨大な体をしたミミズ型の魔獣。体の大半は常に地中に潜っており、いつでも地中に逃げ込めるようにしている。

 範囲麻痺《パラライズエリア》の効果が切れ、ヘルワームが動けるようになった。

「まずは小手調べだな。」

【猛毒《ヴェノム》】を発動し、毒を無数の弾へと姿を変え、ヘルワームへ飛ばす。直接的なダメージはあまりなさそうだが、毒は体内へと送り込めた。

 これで後は時間を稼ぐだけ。勝手にやられてくれるはずだ。ただし…こいつは毒系統の魔獣でなければだが…

 ヘルワームが口を膨らませずに何かを吐き出す。慌てて回避すると先ほどまで草介が居た場所は溶けていた。

「やっぱり毒使いじゃねえか。相性最悪だな。」

 見た目から予想はしていたが、案の定毒を使う魔獣だったか…格上への唯一の対抗手段、毒での状態異常ダメージという手段が取れなくなってしまった。

「まあ、やれるだけやってみますか。」

 動き自体はそこまで早くない。近づくと攻撃を食らう危険性もあるが、奴を倒すにはそれしかない。

 ヘルワームの攻撃を掻い潜り、接近する。隙を狙って刀を振り抜くが、液状の何かに護られており、刃がヘルワームを引き裂くさくことはなかった。

 これは——体液?ぬるぬるしてて刃が滑りやがる。これじゃあ刀は通じない。

「ハハ、俺じゃこいつに勝てないじゃん。」

 毒も通じない。刀も通じない。最後の手段は【爆破《ボム》】だが、あのスキルは見た目と名前の割に威力が低い。到底ヘルワームを倒せるようなスキルじゃない。詰みだ。

 あいつらが逃げ切る時間くらい稼いでやるかな。


 それからは一方的だった。ヘルワームが放つ毒液を回避しながら、距離を取るが引き離すことが出来ない。次第に動き回ったことで飛び散ったヘルワームの体液に足を取られ、転倒してしまう。

 ——しまっ———

 足を取られた次の瞬間、ヘルワームの突進が草介の体に直撃する。草介は近くの建物へ弾き飛ばされてしまう。

 やられた。完全に骨を数本やっている。体中血塗れだし、ここまでかな…

 目を開けるとこちらに向かって飛んでくる毒液が見える。このまま動けなければ直撃だ。

「へへへ…どうせ死ぬなら試してみるか。」

 大地を溶かすほどの毒液。そんなものを受けて人間が無事でいられる訳がない。そう思っていたから今まで実行しなかった。だが、俺には【毒耐性Ⅹ】がある。もしかしたら耐え切れるかも知れない。

 放たれた毒液へと手を伸ばし、その身で受け止める。その瞬間、【猛毒《ヴェノム》】を発動し、ヘルワームの毒に自身の毒を混ぜ合わせる。

「ほら、お返しだ。」

 ヘルワームの毒と草介の毒が完璧に混ぜ合わさり、矢のような形状に変わる。
 毒の矢はヘルワームへと跳ね返り、その頭を貫いた。

「なんとか…倒せたな。」

 毒を受け止めた右手の鎧は溶けてなくなっており、皮膚も火傷の跡の様に爛れている。
 そんな満身創痍の状態ながらも、なんとかヘルワームに勝利することが出来た。そう思っていた。

 地面がひび割れ、新たに2匹のヘルワームが姿を表す。

「ハハ、流石に無理だわ。」

 諦め、眼を閉じかけたその時、銀色の髪を靡かせた女性が視界に入る。

「よく頑張ったね。そこで休んでていいよ~」

 誰だ…俺を助けに来てくれたのか…寒いなぁ…もう、意識が…

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