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14、偶然偶然偶然偶然偶然……その2

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ーー数日経ったのにが未だに鮮明に思い出される。 

今日は街に出ていたセレスは、数日前のアルフレッドとのを事あるごとに思い出していた。 

ーー朝に目を覚ましても、身支度をしている時でも、食事やお茶をしている時でも、そして、夢の中でさえも…… 

ーーもう、いつになったらのよ。 

「………ふうっ。」


ーー今日もケイトと護衛のハロルドを引き連れて、『偶然』を試みる。 

ーーそう、今日の『偶然』は、街角、
対象は、勿論、アルフレッド。 

今日、彼は視察のために街に来ていた。 

目的は『不審人物』が街に紛れ込んでいないかの確認。 

だから、部下と数人で目立たない服装で行動しているはず。 

ーーそれでもんだよなぁ。


私はをつけて、『に出会える』ように歩くスピードを調節中……だったけど、。 

ーー何なの、この幸運。 

内心戸惑い呆れながらも、それを顔には出さずに優雅に歩き進める。 

すると、こちらが気付くよりも早くアルフレッドの方がセレスに気が付く。 

その瞬間、先程まで真顔で街を警戒していたアルフレッドの表情が打って変わって明るくなっていた。 

『ーーーーーーくっ』 

……アルフレッド様、やっぱりその表情は反則です。 

何とか動揺見せずに優雅に『今気が付きました』と言う感じで微笑んで見せる。 

こちらから近付かずともアルファベットの方から素早く優雅に近付いてきた。 

「ーーセレスティーヌ嬢、偶然ですね」 

「ーーはい。公爵様は……えっと、ですか?」 

最後の部分は、さすがに人に聞かれないように気遣って小声で聞くと、気持ちを察してくれたのか、 
「はい。見回り中です。」 
アルフレッドも同じように濁した言葉を選ぶ。

「まあ。それは、お疲れ様です」

私が気遣うと、相変わらず嬉しそうな笑顔を見せてくれる。

「いえ、セレスティーヌ嬢の顔を見れたので元気になりました」

そう言って胸に手をおいて体を少し傾けて、ぐっと顔だけ距離を詰めてきて、意味ありげに微笑みながらウインクしてきたアルフレッド。
「ーーーっ!!」

ーーもう、この人は……。会うたびに心臓やられて心臓もたないよ。
ホント、のかと思ってしまう。
ーーまあ、だと思うんだけど……。

ーー今、目の前にいるアルフレッドにはじっと見つめられている。

ーーああ。私は今、アルフレッドを見上げているのだろうか。
ーーのか。

ーー少しはしているけど、はどこかと思っている自分がいるのを感じる。

ーーその時、子供たちが騒ぎながら私たちの横を駆け抜けた。
「!」私とアルフレッドは、子供たちのお陰で我に返った。

「……コホンッ」とアルフレッドが咳払いをひとつすると、私も気付かれないように小さく溜め息をつくと、何事もなかったように片手で自分の髪に振れる。

「………ねえ、あの二人って……」
「………どうしてあのお二人が?」
「………が………と一緒にいるのを見たのだけれど……」
「………やっぱり……との関係は嘘では?」
「……………」
「………」
「………」

ーー遠巻きに自分たちのことをが聞こえてくる。でも、どれもこれもを噂する声で、中には私たちのことの方をも増えてきているのが伝わってくる。

「それで、今日は何のご用で街に?」
と、周りの声をそこまで気にしていない公爵は、街にいる理由を聞いてくる。

「あ、はい。美味しいケーキを食べに来たのですが……」
そこでチラッと横目で周りを確認する。まだ見られている私たち。

「……でも、この分だとゆっくり出来なさそうですね」
と、私が苦笑すると、少し考え込んだ公爵。
「?」

「……それでは、
と私に手を差し出してきた。私が戸惑っていると、
「大丈夫ですよ。私を信じてください」
とふわりと微笑む公爵。その笑顔にやられた私は、
「……は、はい」
と、返事して公爵のエスコートの手に自分の手を重ねるしかなかった。

私が自分の手に手を置いたのを見て、さらに嬉しそうになっていた公爵は、そのままゆっくりと私の歩く速度に合わせながら歩きだす。

少し離れた場所にあったとある店の前で立ち止まった。
不思議に思っていると、公爵からその場で待っていてほしいと頼まれて、それに従って護衛と共に待つ。

ーー数分後、お店から出てきた公爵は、を持っていた。
「ここのお店のケーキも美味しいですよ。持って帰ってご家族とどうぞ」
と渡される。すぐにケーキを買ってきてくれたのだとわかる。

「え!? で、でも……」
私が戸惑っていると、
「気にしないで大丈夫です」
と笑って、さっと私の手を取って手の甲にキスを落とすと、「では」と私の返事を待たずにて軽く手を上げて会釈しながら部下と歩いていってしまった。

ーー唖然としていて、我に返った時には公爵はすでに追いかけるのは難しい距離まで離れていた。
またしても公爵にやられたのだった。

ーー帰りの馬車の中、もはやになってしまった公爵に翻弄された自分だけが残されていたのだった。


ーー少しだけ自信がなかったもうひとつのも、結局は簡単だった。

に王宮の近くを馬車で通っていると、
『馬車の車輪が石を踏んだことで、驚いた馬のせいで御者が馬車を止める』
小説では起きたけど、現実でも起きるかと心配していたら起きて、
『馬で通りかかった公爵に心配されて、送ってもらえる』
まで、見事に小説の通りになったのだった。

ーーはホントに凄いと思うしかなかった。
これはなのか。
でも、……そう悩みつつ、帰り際ので悩みも吹っ飛んでしまうのだった。
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