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第二章・レイナ嬢の思惑。1

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 翌朝。目を覚ますとレイヴァン様の姿はなかった。私が眠ってすぐに本殿のお戻りになったのだろう。いつものことだ。
 私とする事を済ませると何もなかったかのようにすぐに戻られる。朝を一緒に迎えた事は今までなかった。私は、隣を見ながらため息を吐く。
 彼の目的は、やはり私を孕ませるためだろう。しかし……。
 自分のおでこを触る。まだ微かに覚えているキスの感触。そう思うのに気持ちはモヤモヤする。あれは……夢?
 レイヴァン様が優しくおでこにキスして、おやすみと言ってくれたような気がした。
 気のせいかもしれないけど確かに感じた。すると誰かがノックをしてきた。返事をすると入ってきたのは私専属の侍女のビビアンとルルだった。
「おはようございます、エルザ様。入浴の準備が出来ております」
「そう。ありがとう」
 私は、少し照れながらもベッドから降りると入浴をするためバスローブを羽織った。
 そして入浴にした後は朝食を食べてからアカデミーに向かった。馬車から降りると、広い敷地内に入っていく。校舎も立派で豪華な造りになっている。緑も多く、自然が豊かだ。
 一人で歩いて行くと、周り生徒達はこちらをチラチラと見て陰口を叩いていた。
きっと昨日の事をまだ言っているのだろう。いい気はしなかったが、言い返したところで私が悪者扱いされるだけ。
 無視して校舎の中に入り廊下を歩いていると、レイヴァン様とレイナ様が仲睦まし歩いている姿を見かけた。胸がズキッと痛む。
 本気じゃないと分かっていても不安だ。もし、本気になったら? このまま捨てられたら? 私の頭の中はそればかり考えてしまう。
 辛くなり、そのまま背を向けて別の階段から行こうとした、その時だった。ドンッと誰かとぶつかってしまう。勢いで尻餅をついてしまった。いたたっ……。
「す、すみません」
 私は謝りながら上を見上げると、ぶつかった相手はセイン様だった。
 セイン・アルセント。私とレイヴァン様とは同い年で皇帝陛下の弟の嫡男。
 大公爵家の次期跡継ぎであり小大公。レイヴァン様とはイトコに当たる関係性だ。
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