君だけは固定できない
「M25」
それが、彼女を呼ぶために与えられた番号だった。
国家錬成管理局の特別管理棟。
白い壁に囲まれた部屋で、彼女は自分がいつからここにいるのかさえ知らない。
ある日、新しい担当者として現れたのは、構造を“固定”する力を持つ男――久世律。
「俺は、番号で人を呼ぶことに慣れていない」
彼だけが、忘れられていた彼女の名を呼んだ。
――尊。
白い花が欲しい。
嫌なことには答えたくない。
あの人に会いたい。
小さな「自分で選ぶ」を取り戻すたび、止まっていた尊の世界は少しずつ動き始める。
やがて目覚める、空間と時間に干渉する異質な力。
失われた記憶。
炎の中に消えたノースポールの花畑。
そして、尊が繰り返し呼ぶ謎の名前――「環」。
すべてを固定できる男と、世界からさえ零れ落ちる女。
これは、管理する者とされる者だった二人が、
互いを「選ぶ」までの物語。
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嫌なことには答えたくない。
あの人に会いたい。
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やがて目覚める、空間と時間に干渉する異質な力。
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