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サナリアの悪夢8
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深夜、殆どの者が寝静まった真夜中に、ようやく止まったガルゴにローブで包まれ、抱きしめられながらサナリアは事の詳細を話し始めた。
「私は、リリィは熊ベースの複数種の動物や魔物とのキメラたって聞いてたんです。クイブ師匠に。だから私は、ずっと熊のキメラばかりを探していた。」
「・・・・あのクソジジィ。」
「保護した当初は、孤独な子供が違法魔道で作られた子供に縋らない様にとの配慮だったのでしょうけど、大人になってからまで隠していた師匠の考えは分かりません。貴方にしかけた魔術は追跡機能までは着けていなかったんです。それが、偶然見つかってみればリリィは貴方で、私は貴方がリリィだって気が着く前に、もう大分心が引かれていました。」
ガルゴが『へぇ?』と機嫌よく相槌を打ちながらサナリアを抱きしめ直す。
「それが、ガルゴはリリィで、でも貴方は『魔道士』を探してはいても、何人も恋人を作っていた。と、いう事は、リリィにとって『魔道士』は親みたいな気持ちを持っているだけなんだと思った。貴方は私と仲良くなりたいと言ったけれど、好きだと言ってくれたけれど、私があなたの探し求めている『魔道士』だと知ったらその気持ちも消えてしまうのではないかと思いました。」
「ぅんなワケ有るかよ。」
「あの時の私には貴方の気持ちがどの位本気かなんて、分かりませんでした。でも、発情期過ぎても抱いてくれたから、もしかしたら私が件の魔道士だと分かっても、少しは恋しいと思って貰えるのではないかと思いました。本来の私の予定では、パレードの後に約束してたデートで名乗り出るつもりだったんです。あ・・・あわよくば体で誘惑して、なし崩しにしてでも付き合う方向に持っていけないかと。」
己の考えの必死さを改めて自覚したサナリアの頬が羞恥で赤く染まる。
「だからこんなヤラシイボディチェーン着て来たのか。」
ガルゴが言いながらサナリアのボディチェーンを手の平でなぞった。
キャラキャラとローブの下でチェーンと宝石が音を立てて、サナリアの瞳が艶やかに揺らめいた。
「一夜限りの最後の逢瀬になるとしても、縋ってでも今夜は抱いてもらうつもりでした。だから必死で煽りました。」
確かに、昨日からサナリアは日ごろの不愛想な態度と裏腹に、やたら可愛かった。
それは、もうガルゴが夜が待ちきれないと一人浮かれる程に。
「どうしても、今夜だけは一人になりたくなかった。」
サナリアがガルゴの胸に頬を押し付ける。
「・・・ん?」
感の良いガルゴは、微かに変わったサナリアの態度の違いを見逃さなかった。
サナリアの肩を抱く腕に少し力を籠める。
「今夜だけは、一人寝をしたく無かった。私、酷いですよね。グイネバルドの中には今夜を一人孤独に過ごす人だっているのに。自分だけ逃げた。」
「サナリア?」
ガルゴが腕の中のサナリアの顔を覗き込むと、サナリアは泣いてる様な顔で笑っていた。
「フィナーレの花火は序章に過ぎない。私は今年のウロボロスのパレードのフィナーレの為に、悪夢を作ったんです。」
「サナリア。それは・・・」
一体どういう事かと問う前に、先ずクラリとした酩酊が来た。
サナリアがおずおずと両腕を伸ばし、ガルゴの頭を抱きしめる。
「もう直ぐ、本物のパレードのフィナーレが始まります。」
そうしてグイネバルド全住民が、一斉に眠りについた。
「私は、リリィは熊ベースの複数種の動物や魔物とのキメラたって聞いてたんです。クイブ師匠に。だから私は、ずっと熊のキメラばかりを探していた。」
「・・・・あのクソジジィ。」
「保護した当初は、孤独な子供が違法魔道で作られた子供に縋らない様にとの配慮だったのでしょうけど、大人になってからまで隠していた師匠の考えは分かりません。貴方にしかけた魔術は追跡機能までは着けていなかったんです。それが、偶然見つかってみればリリィは貴方で、私は貴方がリリィだって気が着く前に、もう大分心が引かれていました。」
ガルゴが『へぇ?』と機嫌よく相槌を打ちながらサナリアを抱きしめ直す。
「それが、ガルゴはリリィで、でも貴方は『魔道士』を探してはいても、何人も恋人を作っていた。と、いう事は、リリィにとって『魔道士』は親みたいな気持ちを持っているだけなんだと思った。貴方は私と仲良くなりたいと言ったけれど、好きだと言ってくれたけれど、私があなたの探し求めている『魔道士』だと知ったらその気持ちも消えてしまうのではないかと思いました。」
「ぅんなワケ有るかよ。」
「あの時の私には貴方の気持ちがどの位本気かなんて、分かりませんでした。でも、発情期過ぎても抱いてくれたから、もしかしたら私が件の魔道士だと分かっても、少しは恋しいと思って貰えるのではないかと思いました。本来の私の予定では、パレードの後に約束してたデートで名乗り出るつもりだったんです。あ・・・あわよくば体で誘惑して、なし崩しにしてでも付き合う方向に持っていけないかと。」
己の考えの必死さを改めて自覚したサナリアの頬が羞恥で赤く染まる。
「だからこんなヤラシイボディチェーン着て来たのか。」
ガルゴが言いながらサナリアのボディチェーンを手の平でなぞった。
キャラキャラとローブの下でチェーンと宝石が音を立てて、サナリアの瞳が艶やかに揺らめいた。
「一夜限りの最後の逢瀬になるとしても、縋ってでも今夜は抱いてもらうつもりでした。だから必死で煽りました。」
確かに、昨日からサナリアは日ごろの不愛想な態度と裏腹に、やたら可愛かった。
それは、もうガルゴが夜が待ちきれないと一人浮かれる程に。
「どうしても、今夜だけは一人になりたくなかった。」
サナリアがガルゴの胸に頬を押し付ける。
「・・・ん?」
感の良いガルゴは、微かに変わったサナリアの態度の違いを見逃さなかった。
サナリアの肩を抱く腕に少し力を籠める。
「今夜だけは、一人寝をしたく無かった。私、酷いですよね。グイネバルドの中には今夜を一人孤独に過ごす人だっているのに。自分だけ逃げた。」
「サナリア?」
ガルゴが腕の中のサナリアの顔を覗き込むと、サナリアは泣いてる様な顔で笑っていた。
「フィナーレの花火は序章に過ぎない。私は今年のウロボロスのパレードのフィナーレの為に、悪夢を作ったんです。」
「サナリア。それは・・・」
一体どういう事かと問う前に、先ずクラリとした酩酊が来た。
サナリアがおずおずと両腕を伸ばし、ガルゴの頭を抱きしめる。
「もう直ぐ、本物のパレードのフィナーレが始まります。」
そうしてグイネバルド全住民が、一斉に眠りについた。
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