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17.可哀想なお姉様…〜妹視点〜③

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罪を認めて反省した姉が屋敷に戻ってくると両親は怒りを抑えることなくぶつける。
それは当然の行為で私も初めて姉に酷い言葉を投げつけた。

私をずっと騙していた。魅了を使って仕組んでおきながら助けるふりして、ずっとずっと陰では笑っていたんだ。


 酷いわ、お姉様。
 自分が優位に立つために私を貶めていたのね。
 可愛がっていたのは踏み台にしているのを誤魔化すためだった?
 
 そんな人だったなんてっ!


湧き上がる怒り、こんなに人を憎めるなんて

憧れは軽蔑へと変わる。

なんで今まででこんな姉を尊敬していたのだろうか。私が馬鹿だったから?いいえ違うわ、姉が巧妙だっただけ。

その証拠に両親もガイアロス様も私と同じように今は姉に憎しみを向けている。

自分だけではないということに私はほっとする。
一人だけ目立つのは苦手だ。
皆と同じだと安心できる、それは誰からも非難されないということだから。



罪を犯した姉はすぐにガイアロス様から婚約を破棄された。

当然だと思ったけれど、私はその先のことなんて考えてもいなかった。だが父は彼に私を『新たな婚約者としてはどうか』と勧めてくれた。

 えっ、私が…彼の婚約者?!
 そんなこといきなり言われても……。

とても驚いたし恥ずかしかったし、…なにより嬉しかった。

父が新たな婚約を申し出てくれたことではなく、彼がそれを否定しないでくれたことが。


永遠の秘密はもういらない。
お姉様は彼に相応しくないし、もう婚約者でもない。


彼に落ち度はなく、婚約解消の原因はお姉様のほうににある。それならば家と家との繋がりを求めて結ばれるの私でもいいはずだ。

家のことや我が家に婿入するはずだった彼の将来のことを考えれば、それが最善だろう。
だから父だってああ言ったのだ。

 それなら私が彼を支えていきたいわ。
 間違っていないわよね…?

誰も私とガイアロス様が結ばれることに反対していない。

私の想いとみなの望みが一致しているのならば…。


それから私は積極的に彼との距離を埋めるべく努力をした。一生懸命話したし、姉への怒りに我を忘れそうになる彼に寄り添い続けた。

『ガイアロス様、姉へのお怒りを我慢しないでください。私も同じ思いですから気持ちはよく分かります。私ならいくらでも話を聞きますから』
『……迷惑を掛けて申し訳ない。だがルーシー嬢がシシリアのことを黙って聞いてくれるから、私は救われているのかな…。はっ…はは…、情けない。自分の感情に振り回されて』
『いいのです、頼ってください。私だってあなたの側にいると、姉に裏切られた心の傷が忘れられるから。お互いに同じ傷を負う者同士助け合いましょう。……ずっとそばに居させてくれませんか?』
『…ああ、そうだな』

彼は私を新たな婚約者としてくれた。
選んでくれたのだ。


姉がガイアロス様のことを愛していたことは知っている。そしてきっと今も愛していることも。

でもこうなったのは私のせいではなく、罪を犯したから愛する人を失ったのだ。

 後悔していますか…?
 でも反省しても元には戻らないものもあるのですよ。 
 可哀想なお姉様…。
 

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