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17-16 宿場村『ウルス』にて
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アリアドネとヨゼフが睡眠薬入りのお茶で眠らされ、倉庫に閉じ込められた頃……。
「到着しました。ここがアイゼンシュタット最後の宿場村『ウルス』です」
スティーブが馬車の中にいるミカエルとウリエルに声を掛けた。
「ここがそうなんだね?」
馬車の窓から顔を覗かせたミカエルがスティーブに尋ねた。
「はい、そうです」
目の前に広がるのは、雪解けの残る山林に囲まれた静かな農村であった。
「誰もいないね?何でだろう?」
同じく窓から顔を覗かせたウリエルが首を傾げる。
「確かにそうですね……。他の宿場村では村人たちの姿を見かけたのに……何故誰の姿も見えないのでしょう?」
首を傾げるスティーブに、他の騎士達も騒めく。
「確かにおかしい」
「人っ子一人見かけないとは……」
「何かあったのだろうか?」
「まぁいいよ。とりあえず、家はあることだから、1軒1軒聞き込みをして回ろうよ」
ミカエルの言葉に、スティーブは頷く。
「そうですね。民家はあることですから、取り合えず、聞き込みをしてみましょうか?ではどうぞ馬車を降りて下さい」
「うん!」
「僕も降りる!」
ティーブが馬車のドアを開け、ミカエルに続いてウリエルが馬車から降りると、早速駆け出していった――。
**
スティーブ達が『ウルス』に到着した頃、外で見張りをしていた男が慌てた様子で宿屋に駆けこんできた。
「お、おい!大変だっ!アイゼンシュタットの騎士達がこの村にやってきたぞ!」
宿屋で襲撃の準備をしていたカルタン族の男たちは一斉にその言葉に反応した。
「何だってっ?!ど、どうしてここへ?!」
「まさか、もう俺たちの計画がバレたのか?!」
「そ、そんな馬鹿な……!!」
騒めく男たちに、この宿屋の主のふりをしていたリーダーが声を荒げた。
「落ち着け!お前ら!いいか?いくら何でも俺たちの動きがアイゼンシュタット城の奴らに知られているはずが無いだろう?!大体我らがこの村を占拠したのは2日前だ!村人たちは全員教会に鍵をかけて閉じ込めてあるし、見張りも立ててある!気付かれるはずは無いだろう!」
「それじゃ、一体何で奴らは来たんだよ?!」
見張り番の男が喚くのを別の男が制した。
「そんなことより!怪しまれないように何か手を打つのが先だろう?!」
「ああ、その通りだ。大丈夫だ、俺に任せろ」
リーダーの男はニヤリと笑った――。
****
「よし!皆!馬を繋げたな?!それでは手分けして民家をあたって、聞き込みをするぞ!」
人気のない村にスティーブの声が響き渡る。
『はい!!』
騎士達が一斉に返事をした時……。
「どうされましたか?騎士の方々」
不意に背後から声を掛けられ、スティーブは振り向いた。見るとそこには、前掛けをつけた大柄な男が立っている。
「ああ、丁度良かった。お前はここの村民か?」
男に向き直るとスティーブは尋ねた。
「ええ、そうですが?」
「この村に金の髪の若い女性と老人の連れを見なかったか?我らはその2人を探しているところなのだが?」
「金の髪の若い女性に……ご老人ですか……?いえ、見ておりませんねえ?」
男は首を捻り……少しだけ口角を上げた。
しかし、アリアドネの行方を捜すことで頭がいっぱいだったスティーブは男の笑みに気付くはずも無かった――。
「到着しました。ここがアイゼンシュタット最後の宿場村『ウルス』です」
スティーブが馬車の中にいるミカエルとウリエルに声を掛けた。
「ここがそうなんだね?」
馬車の窓から顔を覗かせたミカエルがスティーブに尋ねた。
「はい、そうです」
目の前に広がるのは、雪解けの残る山林に囲まれた静かな農村であった。
「誰もいないね?何でだろう?」
同じく窓から顔を覗かせたウリエルが首を傾げる。
「確かにそうですね……。他の宿場村では村人たちの姿を見かけたのに……何故誰の姿も見えないのでしょう?」
首を傾げるスティーブに、他の騎士達も騒めく。
「確かにおかしい」
「人っ子一人見かけないとは……」
「何かあったのだろうか?」
「まぁいいよ。とりあえず、家はあることだから、1軒1軒聞き込みをして回ろうよ」
ミカエルの言葉に、スティーブは頷く。
「そうですね。民家はあることですから、取り合えず、聞き込みをしてみましょうか?ではどうぞ馬車を降りて下さい」
「うん!」
「僕も降りる!」
ティーブが馬車のドアを開け、ミカエルに続いてウリエルが馬車から降りると、早速駆け出していった――。
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スティーブ達が『ウルス』に到着した頃、外で見張りをしていた男が慌てた様子で宿屋に駆けこんできた。
「お、おい!大変だっ!アイゼンシュタットの騎士達がこの村にやってきたぞ!」
宿屋で襲撃の準備をしていたカルタン族の男たちは一斉にその言葉に反応した。
「何だってっ?!ど、どうしてここへ?!」
「まさか、もう俺たちの計画がバレたのか?!」
「そ、そんな馬鹿な……!!」
騒めく男たちに、この宿屋の主のふりをしていたリーダーが声を荒げた。
「落ち着け!お前ら!いいか?いくら何でも俺たちの動きがアイゼンシュタット城の奴らに知られているはずが無いだろう?!大体我らがこの村を占拠したのは2日前だ!村人たちは全員教会に鍵をかけて閉じ込めてあるし、見張りも立ててある!気付かれるはずは無いだろう!」
「それじゃ、一体何で奴らは来たんだよ?!」
見張り番の男が喚くのを別の男が制した。
「そんなことより!怪しまれないように何か手を打つのが先だろう?!」
「ああ、その通りだ。大丈夫だ、俺に任せろ」
リーダーの男はニヤリと笑った――。
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「よし!皆!馬を繋げたな?!それでは手分けして民家をあたって、聞き込みをするぞ!」
人気のない村にスティーブの声が響き渡る。
『はい!!』
騎士達が一斉に返事をした時……。
「どうされましたか?騎士の方々」
不意に背後から声を掛けられ、スティーブは振り向いた。見るとそこには、前掛けをつけた大柄な男が立っている。
「ああ、丁度良かった。お前はここの村民か?」
男に向き直るとスティーブは尋ねた。
「ええ、そうですが?」
「この村に金の髪の若い女性と老人の連れを見なかったか?我らはその2人を探しているところなのだが?」
「金の髪の若い女性に……ご老人ですか……?いえ、見ておりませんねえ?」
男は首を捻り……少しだけ口角を上げた。
しかし、アリアドネの行方を捜すことで頭がいっぱいだったスティーブは男の笑みに気付くはずも無かった――。
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