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17-17 罠 その2
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「さぁさぁ、騎士の皆さん。寒い中馬を駆けていらしたのですから、まずはお茶でも飲んで温まって小休止されて下さい」
宿屋の主人になりすましたカルタン族のリーダーに誘われて、スティーブ達騎士団はぞろぞろと中へ入っていった。
実はあの後、男は強引にスティーブ達に食堂でお茶をご馳走するので飲んでいって下さいと誘い込んだのだった。
他の騎士達と共にテーブル席に着席するとスティーブは男に声を掛けた。
「それでは主人。先程も話したが俺たちは人を探している。のんびりしている暇は無いのだから茶を飲んだらすぐに発つからな?」
「ええ、分かっておりますとも。けれど、騎士団の方達がわざわざ探しに来られるとは……余程重要なお方なのでしょうな?」
「ああ、まぁな……詳しいことは話せないが、重要人物だ」
スティーブはため息をついた。
「それは心配ですね。それではすぐにお茶を用意してきますので、お待ち下さい」
男はそれだけ告げると、足早に厨房へ向かった。
「おい!お前ら、今の話聞いたか?」
リーダーは厨房へ入ると、待機していた仲間たちに興奮気味に声を掛けた。
「ああ、聞いた。まさかアイゼンシュタットの騎士たちが10人もやってくるとは思わなかったが、どうやらあの女を探しに来たようだな」
「しかもあの騎士、重要人物と言ってたぞ?ようやく俺たちにツキが回ってきたようだ」
「恐らくあの女は相当身分が高いのだろう。300万レニーも持ち歩いているし、騎士たちが探しに来るぐらいなのだから」
男たちは次から次へと自分の考えを述べていく。それを聞いていたリーダーが声を掛けた。
「よし、計画変更だ!あの女と爺は奴隷商人に売るのをやめる!人質として連れ回し……アイゼンシュタット城を攻めることにするぞ!」
その言葉に男たちは一斉に頷く。
「よし、ではまず手始めに……奴らには眠っていて貰うか……そして全員人質になって貰おう」
リーダーはニヤリと不敵な笑みを浮かべた――。
****
カルタン族の男たちが集まって、話をしている頃……。
「そう言えば、スティーブ様。ミカエル様とウリエル様はどうされたのでしょう?馬車を降りられてすぐに行方が分からなくなりましたが」
1人の騎士が尋ねてきた。
「そう言えばそうだな……。だが、マティアスとカインがあの2人についているから多分大丈夫じゃないか?」
「ええ、そうですね。あの2人に任せておけば大丈夫でしょう」
別の騎士が頷く。
「それにしても、この宿場村は随分ひと気が無いな。何かあったのだろうか?」
スティーブが首を傾げた時――。
「お待たせ致しました、皆さん」
男がお茶を運んでくると、全員の前に置いていく。
「ほう……これは随分変わった香りだな?」
目の前に茶を置かれたスティーブは男に声を掛けた。
「ええ。こちらは私が特別に調合したお茶なのですよ。とても美味しいですし、淹れたてを飲むのが一番美味しく飲めるのです。どうぞ、熱いうちにお飲み下さい」
「そうだな。では頂くことにしよう」
そしてこれが罠だとは知らず、スティーブ達は全員同時にお茶を飲み干した――。
宿屋の主人になりすましたカルタン族のリーダーに誘われて、スティーブ達騎士団はぞろぞろと中へ入っていった。
実はあの後、男は強引にスティーブ達に食堂でお茶をご馳走するので飲んでいって下さいと誘い込んだのだった。
他の騎士達と共にテーブル席に着席するとスティーブは男に声を掛けた。
「それでは主人。先程も話したが俺たちは人を探している。のんびりしている暇は無いのだから茶を飲んだらすぐに発つからな?」
「ええ、分かっておりますとも。けれど、騎士団の方達がわざわざ探しに来られるとは……余程重要なお方なのでしょうな?」
「ああ、まぁな……詳しいことは話せないが、重要人物だ」
スティーブはため息をついた。
「それは心配ですね。それではすぐにお茶を用意してきますので、お待ち下さい」
男はそれだけ告げると、足早に厨房へ向かった。
「おい!お前ら、今の話聞いたか?」
リーダーは厨房へ入ると、待機していた仲間たちに興奮気味に声を掛けた。
「ああ、聞いた。まさかアイゼンシュタットの騎士たちが10人もやってくるとは思わなかったが、どうやらあの女を探しに来たようだな」
「しかもあの騎士、重要人物と言ってたぞ?ようやく俺たちにツキが回ってきたようだ」
「恐らくあの女は相当身分が高いのだろう。300万レニーも持ち歩いているし、騎士たちが探しに来るぐらいなのだから」
男たちは次から次へと自分の考えを述べていく。それを聞いていたリーダーが声を掛けた。
「よし、計画変更だ!あの女と爺は奴隷商人に売るのをやめる!人質として連れ回し……アイゼンシュタット城を攻めることにするぞ!」
その言葉に男たちは一斉に頷く。
「よし、ではまず手始めに……奴らには眠っていて貰うか……そして全員人質になって貰おう」
リーダーはニヤリと不敵な笑みを浮かべた――。
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カルタン族の男たちが集まって、話をしている頃……。
「そう言えば、スティーブ様。ミカエル様とウリエル様はどうされたのでしょう?馬車を降りられてすぐに行方が分からなくなりましたが」
1人の騎士が尋ねてきた。
「そう言えばそうだな……。だが、マティアスとカインがあの2人についているから多分大丈夫じゃないか?」
「ええ、そうですね。あの2人に任せておけば大丈夫でしょう」
別の騎士が頷く。
「それにしても、この宿場村は随分ひと気が無いな。何かあったのだろうか?」
スティーブが首を傾げた時――。
「お待たせ致しました、皆さん」
男がお茶を運んでくると、全員の前に置いていく。
「ほう……これは随分変わった香りだな?」
目の前に茶を置かれたスティーブは男に声を掛けた。
「ええ。こちらは私が特別に調合したお茶なのですよ。とても美味しいですし、淹れたてを飲むのが一番美味しく飲めるのです。どうぞ、熱いうちにお飲み下さい」
「そうだな。では頂くことにしよう」
そしてこれが罠だとは知らず、スティーブ達は全員同時にお茶を飲み干した――。
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