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17-26 大混乱の最中
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勢いよく扉が開かれ、アリアドネとヨゼフは怯えた様子で振り返った。
「え?貴方は……?」
現れたのはカルタン族のリーダーの男である。髪を振り乱し、手には剣を握りしめているその様子に2人は驚いた。
「ど、どうしたのですか?その様子は……」
「一体何があったのです?」
未だに状況があまり把握できていないヨゼフとアリアドネは尋ねた。まだ2人は彼らがカルタン族であり、敵であることに気付いていなかったのだ。
2人の様子から、男はまだ自分の正体に気付かれていないことを悟った。
(これは都合が良い……この2人を人質にとり、あの生意気な城主に見せつけてやれば状況が一転するはず……!)
「ああ、良かった。お客様達……ご無事でしたか!」
リーダーは作り笑いを浮かべ、2人に駆け寄ってきた。
「は、はい。私達は無事ですが……」
戸惑いながらもアリアドネは答える。
「それは良かったです。実は突然眠ってしまったお客様達に困っていたところ、敵が責めてきたので慌ててこちらの倉庫に運ばせて頂いたのです。全てはお客様の安全の為です。ですがここも危険です!すぐに逃げましょう!」
「え?ですが……あの騎士たちはアイゼンシュタットの騎士の方々ですよ?我等の的では無いはずですが……?」
ヨゼフが首を傾げながら尋ねる。
すると……。
「チッ!このクソジジイ!知っていやがったのか?!ああ!敵は俺たちの方だ!お前には今から人質になってもらう!来い!」
そして乱暴にアリアドネの腕を掴んだ。
「キャアッ!!」
痛みと恐怖で叫ぶアリアドネ。
「よせ!アリアドネに何をするのだ!」
ヨゼフが青ざめてリーダーに掴みかかる。
「うるせぇ!!爺!てめぇは邪魔だ!!」
リーダーは剣の鞘でヨゼフの後頭部を強く殴りつけた。
ガッ!!
「う!」
ヨゼフは一度だけ呻くと、床の上に倒れてしまった。
「キャアッ!!ヨゼフさん!」
悲鳴を上げるアリアドネ。
「来い!女っ!」
リーダーはアリアドネの腕を掴んだまま、外へ連れ出していく。
「ヨゼフさん!!ヨゼフさん!目を開けて!」
気を失ったヨゼフの名を叫びながらアリアドネは連れて行かれた――。
****
一方その頃――。
のどかなはずの『ウルス』の村は大混乱に陥っていた。
カルタン族とアイゼンシュタットの騎士たちが敵味方入り乱れた状態で激しい戦闘を繰り広げている。
「どこだ!!アリアドネッ!!」
エルウィンは剣を振るいながら、アリアドネの姿を探し回っていた。
そこへ1人の騎士がエルウィンに駆け寄って来た。
「エルウィン様っ!!スティーブたちを発見しました!!彼らは全員同じ民家に押し込まれていたのです!」
「何?!スティーブ達が見つかっただと?!奴らのことなどどうだっていい!!今はアリアドネだっ!!そんなくだらないことをわざわざ知らせに来たのか?!」
「ええっ?!そ、そんなっ!!」
エルウィンのあまりの発言に驚く騎士。
「アリアドネーッ!!何処だっ!!」
飛んでくる矢を剣で叩き落としたその時――。
「おい!城主!これをみろっ!」
突然大声が混乱の地に響き渡った――。
「え?貴方は……?」
現れたのはカルタン族のリーダーの男である。髪を振り乱し、手には剣を握りしめているその様子に2人は驚いた。
「ど、どうしたのですか?その様子は……」
「一体何があったのです?」
未だに状況があまり把握できていないヨゼフとアリアドネは尋ねた。まだ2人は彼らがカルタン族であり、敵であることに気付いていなかったのだ。
2人の様子から、男はまだ自分の正体に気付かれていないことを悟った。
(これは都合が良い……この2人を人質にとり、あの生意気な城主に見せつけてやれば状況が一転するはず……!)
「ああ、良かった。お客様達……ご無事でしたか!」
リーダーは作り笑いを浮かべ、2人に駆け寄ってきた。
「は、はい。私達は無事ですが……」
戸惑いながらもアリアドネは答える。
「それは良かったです。実は突然眠ってしまったお客様達に困っていたところ、敵が責めてきたので慌ててこちらの倉庫に運ばせて頂いたのです。全てはお客様の安全の為です。ですがここも危険です!すぐに逃げましょう!」
「え?ですが……あの騎士たちはアイゼンシュタットの騎士の方々ですよ?我等の的では無いはずですが……?」
ヨゼフが首を傾げながら尋ねる。
すると……。
「チッ!このクソジジイ!知っていやがったのか?!ああ!敵は俺たちの方だ!お前には今から人質になってもらう!来い!」
そして乱暴にアリアドネの腕を掴んだ。
「キャアッ!!」
痛みと恐怖で叫ぶアリアドネ。
「よせ!アリアドネに何をするのだ!」
ヨゼフが青ざめてリーダーに掴みかかる。
「うるせぇ!!爺!てめぇは邪魔だ!!」
リーダーは剣の鞘でヨゼフの後頭部を強く殴りつけた。
ガッ!!
「う!」
ヨゼフは一度だけ呻くと、床の上に倒れてしまった。
「キャアッ!!ヨゼフさん!」
悲鳴を上げるアリアドネ。
「来い!女っ!」
リーダーはアリアドネの腕を掴んだまま、外へ連れ出していく。
「ヨゼフさん!!ヨゼフさん!目を開けて!」
気を失ったヨゼフの名を叫びながらアリアドネは連れて行かれた――。
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一方その頃――。
のどかなはずの『ウルス』の村は大混乱に陥っていた。
カルタン族とアイゼンシュタットの騎士たちが敵味方入り乱れた状態で激しい戦闘を繰り広げている。
「どこだ!!アリアドネッ!!」
エルウィンは剣を振るいながら、アリアドネの姿を探し回っていた。
そこへ1人の騎士がエルウィンに駆け寄って来た。
「エルウィン様っ!!スティーブたちを発見しました!!彼らは全員同じ民家に押し込まれていたのです!」
「何?!スティーブ達が見つかっただと?!奴らのことなどどうだっていい!!今はアリアドネだっ!!そんなくだらないことをわざわざ知らせに来たのか?!」
「ええっ?!そ、そんなっ!!」
エルウィンのあまりの発言に驚く騎士。
「アリアドネーッ!!何処だっ!!」
飛んでくる矢を剣で叩き落としたその時――。
「おい!城主!これをみろっ!」
突然大声が混乱の地に響き渡った――。
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