狐の記憶に触れるたび、私はあなたに恋をした
人と妖(あやかし)が共に暮らす、文明開化の影に妖しが息づく帝都、椿京。
貧しい書生の娘・時雨 鈴凪(しぐれ すずな)は、ある日突然、九つの尾を持つ妖にして政財界の実力者・朝霞 理玖(あさか りく)のもとへ嫁ぐことになる。
それは表向きの結婚、実際は「契約による花嫁」――ただの取引のはずだった。
しかし、鈴凪は「鈴の娘」と呼ばれる特異な存在。
彼女の鈴は、妖たちの心の声と共鳴し、封じられた記憶を呼び覚ます力を秘めていた。
そして九尾・理玖が心を寄せていたのは、かつての契約者――今はもういない女性。
交わらないはずの過去と現在。
けれど、鈴凪との関りで、少しずつ閉ざされた理玖の心が揺れていく。
これは、亡き人への想いに縛られた狐と、決して「代わり」ではないことを願う少女の、
百年越しに重なる恋の物語。
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