妹にすべて奪われた令嬢は、妹の結婚式を完璧に準備してから消える

伯爵令嬢シルヴィエッタ・レナクールは、家族のために尽くしてきた長女だった。

けれど、妹ファリネアは彼女の婚約者を奪い、両親は言った。

「最後くらい、姉として祝ってやれ」

妹の結婚式の準備を押しつけられたシルヴィエッタは、泣きもせず、怒りもせず、すべてを完璧に整える。

招待状、席次表、料理、花飾り、楽団、贈答品、支払い記録。
誰もが見惚れるほど美しい式。

そして式当日、彼女は姿を消した。

ただし、それは逃亡ではない。
シルヴィエッタは式場に関わるすべての支払い記録と、妹と元婚約者による不正贈与の証拠を、王都の公証人へ提出していた。

祝福の鐘が鳴るはずだった日。
扉の向こうから入ってきたのは、拍手ではなく、監査官だった。

その一部始終を見ていた公爵オズヴァルト・グランヴェルは、彼女の能力と胆力を高く評価する。

「君は逃げたのではない。席を移しただけだ」

シルヴィエッタは公爵家の式典管理官として働き始める。
かつて誰かのために奪われた席次表を、今度は自分の手で整えるために。
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