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♡パパ活少女の秘密の囁き♡

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 大阪行きの深夜バスを待合室で待っていると、10代後半と思しき青年が歌を歌い始めた。

 待合室には僕を含めて7人いる。歌う青年、疲れ果てたサラリーマン、パパ活してそうな少女、同じ体型の老夫婦、どこにでもいるおじさん、そして僕。

 最初は皆何が起こったのだ、と言う表情で青年を見た。決して好意的な目ではなかった。僕を含めて。

 その影響もあるだろう、青年の頬が赤い。緊張している。声も少し震えている。歌手志望だろうか。大阪のレコード会社のオーディション前の度胸試しだろうか。

 重い空気に包まれる中、青年は歌い続けた。曲は知らなかったが、穏やかな曲で、歌も上手だった。するとなんと、同じ体型の老夫婦の夫が荷物からウクレレを取り出し、歌に合わせて弾き始めた。そして妻の方はハモリ始めた。

 青年の顔に笑みが溢れる。待合室の空気もそれに同調する。後半に入ると緊張も解けたみたいで、のびのびと堂々と歌っていた。

 終わると待合室が拍手で包まれた。

「すごい上手ね。私たちもこの歌よく歌うんです、お店で」

 同じ体型の夫婦の妻が言った。聞くと2人は大阪でスナックをしているらしい。

「いえいえ、ハモリもとても上手でした。ウクレレも」

 同じ体型の夫婦は微笑んだ。同じ顔に見えた。

「歌手なのかい?」

 どこにでもいるおじさんが聞いた。

「いえ、目指してる所です。明日大阪でオーディションがあるんです。その前に度胸試しで…」

 予想が当たっていた。

「元気もらったよ」

 疲れ果てたサラリーマンが言った。

 僕も何か声をかけようかと思案していたら、パパ活少女が立ち上がり、青年の耳元で何かを囁いた。青年は驚いた顔で、また頬を赤らめた。僕にはその囁きが聞こえていた。

「お礼に後でバスで抜いてあげる♡」

 落ちろ青年、クソが。
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