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可愛いストーブの時間 表紙

可愛いストーブの時間

 流行を追うより流行を作りなさい、……私が弟子たちによく言っていたことです。そして当の私は趣味で小説を書き、世に送り出すのは実用書やビジネス書の類ばかり。珍しく新聞のコラムを書く依頼を引き受けたことがあり、まあ短期間で止めてしまいました。話題性が高いもの(世間が喜ぶ情報、流行ですね)には触れず、誰も知らないような情報について私見を述べていました。とても評判が良く、問い合わせも多く、……私はと言えば、止め時を探っていました。  私は非専業で「訳あり」の物書きです。  今回アルファポリスで披露する『可愛いストーブの時間』および『可愛いストーブの時間 数学の悪魔』はタイムマシンの物語です。この優秀すぎるギミックから発展が予想される綾は何一つ作中に記述されていません。ひたすらに純度の高い読書体験を提供するために存在する作品です。あたりまえですが時間移動は理論的に成立しない現象です。そんなものを扱う価値は低いと私は考えます。時間移動とは異なる手段でタイムマシンを稼働させなければなりません。科学の本質、数学の限界、物理学の新視点、矛盾を回避し丁寧にそれらを深追いすると理論上作成可能なタイムマシンの姿が浮かび上がります。  『可愛いストーブの時間』では、タイムマシンユーザーにすぎない未来少女が2026年に不時着するところから物語が始まります。少女が数日間同居することを受け入れた三人家族は驚きと混乱にさらされる日々を体験することになります。少女が語る未来の世界の事情、大きく進歩した科学理論、採用されている科学技術、中学三年生の長男はそういったエピソードに惹かれます。強い興味を抱きます。開発陣だけが知っているタイムマシンについての正確な詳細情報、……少女にはそれを語ることが出来ません。それでも未来の話題は長男にとって十分に魅力的だったわけです。少女には不満がありました。一家の誰もタイムマシンを積極的に活用しようとしません。これでは居候させてもらっていることへのお礼もままなりません。少女の促しもあり、父親と長男はタイムマシンを利用しました。回数は多くありませんでしたが、それなりに得るものがありました。やがて別れのときが訪れます。少女は未来に帰らなければなりません。一時的な四人家族の生活の終焉です。三人は寂しさを感じつつ、少女を見送ります。  期間を空けず『可愛いストーブの時間 数学の悪魔』を投稿します。タイムマシン理論を含む未来の様々な事情が記述されています。両作品を通し、みなさんが刺激的かつ新感覚の読書体験を味わえることを願います。
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