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 クミンさんの忍耐力には驚かされました。
 一週間もの間、ほぼクローゼットの中で生活しているのですから……。

 旦那様には朝から夜までソラシさんの付きっきりで勉強を行っていますのでクローゼットから出てきた瞬間に試合終了です。
 はっきり言って私たちがやっている行為はやりすぎな気もします。

 ですが私と使用人は、あくまでクミンさんがいないことを前提に何気ない日常生活を送っていただけです。
 まさか愛人が部屋にいるなんて考えられませんからね。

 さて、そろそろ最終行動に移しましょう。


 下の部屋で、レミファさんと紅茶を飲みながら相談をしています。レミファさんとは小さい頃からの付き合いですが、その可愛い顔を分けてほしいです。
 一緒にお風呂に入ろうと言ったときだけは毎回拒否されてしまいます。いやらしい気持ちで誘っているわけではないんですけれどね。半分くらいですけど。

 私の着替えのときもすぐに出て行ってしまいますし、きっと彼女はそういう関係を特に気にしているのかと思います。

「私の気は済みましたし、そろそろ最終作戦に移行しようかと思うのですが……」

 レミファさんは首を傾げています。

「うーん……でも、ルフナ様に対してあれほど酷い発言や行動を起こしていたわけですし……。このまま離婚させたら多額の慰謝料と重罰だけで終わっちゃうじゃないですか。使用人として仕えているアタシに対して口説いてきたり身体触ってこようともした男ですよ?」

 一週間の間に、レミファさんも被害者になっていたのです。
 彼女のお風呂へ入る時間帯に覗きに行ったり、脱いだ下着を鑑賞したりと、旦那様は卑劣な行為を繰り返していました。私だって見たことないんですけれど……という強い嫉妬心がありましたが、そこは黙っておきます。

 更に『愛人になれ』と口説かれもしたそうです。

「未然に防げなかったので、レミファさんには申し訳なく思っています。だからこそ、これ以上一緒にいてはいけないと思うので、そろそろ終わりにしようかと思っているわけですが……」
「貴族としての誇りも名誉も無視した行動がどうしても許せないのです……ああいうゲスな男にはもっと罰を与えた方が……」

 これから離婚するとはいっても、旦那様が周りの方々にまで悪印象を与えてしまっていることには申し訳なく思います。
 私としてはレミファさんもソラシさんも長い付き合いですし、一時的な使用人とはいえ家族のようなものだと思っています。だからこそレミファさんの意見も考えたいのです。

 さて、どうしたらいいでしょうかね。
 と、思っている矢先に二階からソラシさんの怒声が聞こえてきました。

『何をやっているのだ!?』

 これは勉強に対しての指導ではないことはすぐにわかりました。

「すみません、すぐに上へ向かいます」
「アタシも同行します! きっとクミン関係でしょうから!」

 紅茶はそのままにして二人で階段を駆け上がりました。

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