『無価値な置物』と捨てられた宮廷調香師~絶望の匂いしか知らない私が、盲目の辺境伯様に「君こそが光の香りだ」と抱きしめられるまで~
「お前が部屋にいるだけで、吐き気がするほど臭うんだ。消えてくれ、無価値な置物め」
宮廷調香師のエルゼは、婚約者である王太子カイルから、あまりにも無慈悲な言葉で婚約破棄を言い渡される。 エルゼには、人の負の感情や国の歪みを「匂い」として吸着し、自らの香りに閉じ込めて浄化する力があった。 しかし、その身代わりの代償として彼女自身から漂う「泥の匂い」を、王太子は「不潔な悪臭」だと蔑み、華やかな香りを放つ義妹へと乗り換えたのだ。
着の身着のままで王都を追放されたエルゼ。 行き着いた先は、戦場での呪いにより視力と安らぎを失い、「腐臭が漂う」と恐れられる辺境伯ジークヴァルトの離宮だった。
「私の鼻はもう死んでいる。……君の匂いなど、どうせ分かりはしない」
孤独な二人が出会ったとき、エルゼの作る「祈りの香」が、彼の閉ざされた世界に光を灯していく。
一方、エルゼという『浄化の盾』を失った王宮では、抑え込まれていた瘴気が噴出し、かつてない地獄の悪臭が漂い始めていた――。
「今さら戻れと言われても、もう私の香りは、あなたのためには漂いません」
これは、自分の価値を信じられなかった少女が、盲目の英雄に愛され、最高の幸せを見つけるまでの物語。
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