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第23話 嫌いではないですが無理なものは無理です(ФωФ)
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カスケード侯爵は無駄に仕事が早く、一昨日クリスハルト侯爵から辞職の申し出を聞くや否や、『クリスハルト侯爵とシュナイダー殿下の了解はとってある』と勝手なことを言ってエヴァを退職させ、自分の娘を代わりの世話係にする手続きを無理矢理進めてしまった。
結果、エヴァの退職は昨日慌ただしく決まり、本日カスケード侯爵令嬢によりエヴァ本人に知らされることになったのだった。
「君をクビにするなんてとんでもない。
俺はクリスハルト侯爵に言われて渋々君の『辞職』を認めたんだ。
……さてはカスケード侯爵がどこかで無理矢理事実をねじ曲げたな。
……はぁ~~~。
なんであの人はこういう厄介なことだけは能力を発揮するのかな。
どちらにせよ、俺の不手際だ。
エヴァ嬢に不快な思いをさせて申し訳なかった。」
シュナイダーはそう言ってまた頭を下げた。
「いえ、シュナイダー様、それよりもクリスハルト様は『しかるべき相手と結婚』と言ってたんですか??(ФωФ)??」
「あぁ、俺も君には双子の世話係をやめて欲しくなかったから、かなり粘ったんだが。
君には決まった婚約者がいると言われてね。
今回のことを機に、結婚させたい、それが君のしあわせのためだと言われてしまうと、無理も言えなくて。」
「…………こんやくしゃ??(ФωФ)??
…………おそろしく嫌な予感しかしませんが、兄上、カルロ様は最近また何か問題を起こしましたか??(ФωФ)??」
「………起こした。
お前が怪我をする少し前、3人の女性と同時に付き合っているのが、3人全員にばれて、その3人に袋叩きにあって、肋骨にヒビが入って騒動になった。
ほとぼりがさめるまで、クリスハルト様のところに、つまりは俺達の元実家に療用という名目でいるつもりらしい。」
「………あの人一応騎士じゃなかったでしたっけ??(ФωФ)??」
「………いくら騎士でも怒り狂った女性3人には敵わないだろう。
クリスハルト様も流石に今回だけは許せないと、必ず『罰』を与えるとおっしゃって、大層お怒りだった。」
「………私は『罰』か!!?(ФωФ)!!?」
「えーっと。
話がまったく見えないんだが。
どういうことか説明してもらえるかな?」
おいてけぼりになっていたシュナイダーは項垂れる二人の兄妹に申し訳なさそうにそう言った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
カルロ・クリスハルトはクリスハルト侯爵の次男で、エヴァよりひとつ年上で、エヴァとアーノルドとカルロは幼馴染みであった。
カルロは双子とは別の意味で問題児であった。
カルロは昔から女の子が大好きで、『女性にもてそうだから』という大層くだらない理由で、15歳の時に貴族の子弟が通う学園ではなく、王立騎士団に入団し、王都で一人暮らしをしていた。
そして女性関係で問題を起こしてはクリスハルト侯爵に泣きつくを繰り返していた。
クリスハルト侯爵も毎回カルロに対して激怒していたが、バカな子ほどかわいいというか、毎回なんだかんだカルロを許してしまっていた。
ランディール伯爵が借金を残して亡くなり、クリスハルト侯爵が借金を肩代わりして、今後をどうするかという話し合いの時、実はカルロとエヴァを結婚させるという案も出ていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「なんで俺がエヴァと結婚しなきゃいけないんですか!!?」
「カルロ、借金の話がなくても、お前とエヴァを結婚させてはどうかという話は昔からあったんだ。」
嫌がるカルロにクリスハルト侯爵がため息をつきながら言った。
「ぜーーーーーったい嫌です!!
そりゃエヴァのことは嫌いじゃないけど、普通借金のかたに結婚するのって薄幸で儚げな美少女じゃないですか!!?
エヴァみたいな神経が金剛石でできているような女じゃない!!
それに俺は金髪で碧眼で、背が小さくて儚げで美人で、可愛らしくて、優しくて、恥ずかしがりやで、でもしっかりしていて俺だけを好きでいてくれて、なんでも俺を立ててくれるような女性と結婚したいんです!!」
「………(ФωФ)」
「エヴァ!!
お前もなんか言いたいことがあるなら顔じゃなくて口で言え!!」
カルロが黙って話を聞いていたエヴァに対して叫んだ。
「……では失礼して(ФωФ)
カルロ様は私が『かっこよくて、優しくて、私だけを好きでいてくれる白馬に乗った王子様と結婚したいの!』って言ったらどう思います?」
「頭がおかしくなったのか?!!
そんなやつこの世に存在するわけないだろ!!
夢みたいなこというのやめて現実を直視しろバカ!!」
「…………(ФωФ)」
「『その言葉そっくりそのままお返しします』だと!?
俺だってな、そんな女いるわけないことなんて分かってるよ!!
だけど夢くらい見せてくれたっていいじゃないか!!」
「……そんなこと言ってませんけど(ФωФ)」
「顔がそう言ってるの!!!
顔っていうか、お前全体が、お前をまとう空気がそう言ってるの!!!」
「……流石カルロ様、私のまとう空気が読めるとは(ФωФ)
無駄に長い付き合いなだけありますね(ФωФ)」
「うわ~~~~~ん!!
お前のそういう嫌味なところが嫌なの!!
お前と結婚なんてぜーーーーったい無理!!」
「……………(ФωФ)」
「『私だって無理ですよ(笑)』だと!!?
俺はな!!王都じゃ結構もてるんだぞ!!」
「……………流石はカルロ様、私のまとう空気を完璧に微塵の狂いもなく読み取ってますね(ФωФ)」
「うわ~~~~~ん!!」
「…………クリスハルト様、これでは流石にカルロが可哀想です。」
床にうずくまって泣き叫ぶカルロの背中をさすりながらアーノルドが言った。
「…………」
クリスハルト侯爵も黙ってしまい、こうして話合いの場は毎回混沌と化した。
結果、エヴァの退職は昨日慌ただしく決まり、本日カスケード侯爵令嬢によりエヴァ本人に知らされることになったのだった。
「君をクビにするなんてとんでもない。
俺はクリスハルト侯爵に言われて渋々君の『辞職』を認めたんだ。
……さてはカスケード侯爵がどこかで無理矢理事実をねじ曲げたな。
……はぁ~~~。
なんであの人はこういう厄介なことだけは能力を発揮するのかな。
どちらにせよ、俺の不手際だ。
エヴァ嬢に不快な思いをさせて申し訳なかった。」
シュナイダーはそう言ってまた頭を下げた。
「いえ、シュナイダー様、それよりもクリスハルト様は『しかるべき相手と結婚』と言ってたんですか??(ФωФ)??」
「あぁ、俺も君には双子の世話係をやめて欲しくなかったから、かなり粘ったんだが。
君には決まった婚約者がいると言われてね。
今回のことを機に、結婚させたい、それが君のしあわせのためだと言われてしまうと、無理も言えなくて。」
「…………こんやくしゃ??(ФωФ)??
…………おそろしく嫌な予感しかしませんが、兄上、カルロ様は最近また何か問題を起こしましたか??(ФωФ)??」
「………起こした。
お前が怪我をする少し前、3人の女性と同時に付き合っているのが、3人全員にばれて、その3人に袋叩きにあって、肋骨にヒビが入って騒動になった。
ほとぼりがさめるまで、クリスハルト様のところに、つまりは俺達の元実家に療用という名目でいるつもりらしい。」
「………あの人一応騎士じゃなかったでしたっけ??(ФωФ)??」
「………いくら騎士でも怒り狂った女性3人には敵わないだろう。
クリスハルト様も流石に今回だけは許せないと、必ず『罰』を与えるとおっしゃって、大層お怒りだった。」
「………私は『罰』か!!?(ФωФ)!!?」
「えーっと。
話がまったく見えないんだが。
どういうことか説明してもらえるかな?」
おいてけぼりになっていたシュナイダーは項垂れる二人の兄妹に申し訳なさそうにそう言った。
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カルロ・クリスハルトはクリスハルト侯爵の次男で、エヴァよりひとつ年上で、エヴァとアーノルドとカルロは幼馴染みであった。
カルロは双子とは別の意味で問題児であった。
カルロは昔から女の子が大好きで、『女性にもてそうだから』という大層くだらない理由で、15歳の時に貴族の子弟が通う学園ではなく、王立騎士団に入団し、王都で一人暮らしをしていた。
そして女性関係で問題を起こしてはクリスハルト侯爵に泣きつくを繰り返していた。
クリスハルト侯爵も毎回カルロに対して激怒していたが、バカな子ほどかわいいというか、毎回なんだかんだカルロを許してしまっていた。
ランディール伯爵が借金を残して亡くなり、クリスハルト侯爵が借金を肩代わりして、今後をどうするかという話し合いの時、実はカルロとエヴァを結婚させるという案も出ていた。
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「なんで俺がエヴァと結婚しなきゃいけないんですか!!?」
「カルロ、借金の話がなくても、お前とエヴァを結婚させてはどうかという話は昔からあったんだ。」
嫌がるカルロにクリスハルト侯爵がため息をつきながら言った。
「ぜーーーーーったい嫌です!!
そりゃエヴァのことは嫌いじゃないけど、普通借金のかたに結婚するのって薄幸で儚げな美少女じゃないですか!!?
エヴァみたいな神経が金剛石でできているような女じゃない!!
それに俺は金髪で碧眼で、背が小さくて儚げで美人で、可愛らしくて、優しくて、恥ずかしがりやで、でもしっかりしていて俺だけを好きでいてくれて、なんでも俺を立ててくれるような女性と結婚したいんです!!」
「………(ФωФ)」
「エヴァ!!
お前もなんか言いたいことがあるなら顔じゃなくて口で言え!!」
カルロが黙って話を聞いていたエヴァに対して叫んだ。
「……では失礼して(ФωФ)
カルロ様は私が『かっこよくて、優しくて、私だけを好きでいてくれる白馬に乗った王子様と結婚したいの!』って言ったらどう思います?」
「頭がおかしくなったのか?!!
そんなやつこの世に存在するわけないだろ!!
夢みたいなこというのやめて現実を直視しろバカ!!」
「…………(ФωФ)」
「『その言葉そっくりそのままお返しします』だと!?
俺だってな、そんな女いるわけないことなんて分かってるよ!!
だけど夢くらい見せてくれたっていいじゃないか!!」
「……そんなこと言ってませんけど(ФωФ)」
「顔がそう言ってるの!!!
顔っていうか、お前全体が、お前をまとう空気がそう言ってるの!!!」
「……流石カルロ様、私のまとう空気が読めるとは(ФωФ)
無駄に長い付き合いなだけありますね(ФωФ)」
「うわ~~~~~ん!!
お前のそういう嫌味なところが嫌なの!!
お前と結婚なんてぜーーーーったい無理!!」
「……………(ФωФ)」
「『私だって無理ですよ(笑)』だと!!?
俺はな!!王都じゃ結構もてるんだぞ!!」
「……………流石はカルロ様、私のまとう空気を完璧に微塵の狂いもなく読み取ってますね(ФωФ)」
「うわ~~~~~ん!!」
「…………クリスハルト様、これでは流石にカルロが可哀想です。」
床にうずくまって泣き叫ぶカルロの背中をさすりながらアーノルドが言った。
「…………」
クリスハルト侯爵も黙ってしまい、こうして話合いの場は毎回混沌と化した。
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