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人は資源ごみだけで生きるにあらず
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「スキル資源ごみ……」
「鈴木さんの元の世界の資源ごみのゴミ箱を漁ることができます」
……なにそのみみっちい、というか、汚いスキル……。
「あの、でも世界中の資源ごみのゴミ箱を漁ることができますから……! ドイツのでもウルグアイのでも……」
わー。すごいわー。全世界ゴミ箱紀行。というか、女神アナスタシア意外と地球通である。
ドイツの資源ごみ……どんなんだろう。そしてなぜドイツの次に出てくるのがウルグアイ?
「あの、スクリーンに画像が出ますから、それで選ぶだけです」
そう言って幼女が両手をぽわっと広げる。あやとりをしている時のような手の形だ。つられて私も同じように手を動かすと、中にぽわっと光る小さなスクリーンが現れた。
おおおおおお?!
すごい。ファンタジー感満載だ。
「ただ……」
幼女が上目遣いで私を見る。あ、あるんですね、なんか制限が。
「こちらに持ち込めるものに制限があるんです」
資源ごみスキルを使うことで物資を地球からこちらの世界に持ち込むことができるけれど、この世界の技術レベルから激しく外れるものはそもそもスクリーンに現れない──つまりプラごみは対象外。化繊もだめ。合成染料も厳密に言えばいけないのだろうけれど、そこは「まあ、あの、そのあたりは……」と目が泳いでいた。
こちらの世界の人が手にした時に簡単に「異世界のものだ!」とならないのであれば持ち込める、ということなのかな。
微妙に役に立つのか立たないのかわからないスキルだな。
この世界にはないようなオーパーツを資源ごみのゴミ箱から見つけ出してどうのこうのっていうのはできないわけですね。
「そっか……私のスキルはゴミ箱あさり……」
つぶやくと小さい女神が再びえっくえっくと泣き始めた。いや、泣かないで。ちょっとこの先のことを知りたいのですよ。起きちゃったことは仕方ないから今後のことを考えましょうよ!
泣きじゃくるアナスタシアをなだめ、色々と聞き出した。私が降り立つ世界は魔法のある世界──なので、普通の人が持っている程度の魔力を与えてもらうことはできる、ということだ。これはちょっとホッとした。けど、それで仕事になるようなレベルの魔力や魔法は難しいらしい。あくまでも平均値のもの。
ふむふむ。
前世も平均的な人間だったし、大丈夫だよ。おばちゃん、亀の甲より年の功って言うし!
「資源ごみ」は転生者、転移者のみに与えられる特殊スキルなんだね。なんかすごく微妙なスキルだけど。
「あの……若返らせることもできます」
おお、それはちょっと嬉しいかもしれない。流石に40を超えてから夜更かしがキツくなってきていたしな。
「それじゃ、こちらの世界の成年年齢にしますね。子供だとそれはそれで生きにくいと思うので。平民ですけど身分も作りますし、背景も作っておきますから……!」
意外としっかりしているんじゃないかな、この小さい女神さま。
「本当はこの年齢じゃないですから!」
考えていることがわかるらしくて、むん!と胸を張られた。かわいい。
うんうん、召喚ミスのペナルティで小さくなっちゃってるだけだもんねー。
ちなみに成人年齢は16歳だという。若いなあ。私の感覚では子供なんだけどな。
「あと、魔法ですけど、一般的には生活魔法を持っている人が多いです。火をつけるとか、水を出すとか」
あー。水、いいね! 母の若い頃とか、海外旅行に行くと水道水に当たって下痢になるとか普通にあったらしいし、綺麗な飲料水が常に確保できるってなにげにいい能力だと思うよ。
「水って、温度も変えられる?」
「えっと……?」
「つまり液体の状態の水だったら温度が違うものが出せると嬉しいんだけど……」
ダメ元で言ってみるとアナスタシアは首を傾げた。
「珍しいことを聞きますね……」
うん。お風呂に入れるかなっと思ったんだよね。40度ぐらいのお湯が200リットルぐらい出ると、お風呂が簡単に張れるよね!
素直にそう言うと、アナスタシアはちょっと引いた。普通は生活魔法の「水」って洗面器一杯ぐらいの水を出すのが普通なんだという。3リットルぐらいか……。意外と少ない。
「あ、あの……ちょっとおまけできます」
話し合いの結果、生活魔法「水」温度は5度から100度。量は10リットルほどを付与してもらうことで合意した。あ、これは嬉しい。どこにいてもお茶が飲めるし、綺麗な水があるということは病気になる可能性が低いということだ。
「あ、あと……」
本当におずおず、という感じでアナスタシアが付け加えた。
「鈴木さんのアパートから、いくつかこちらに持ってこれるものがあります……」
「え……!」
「あ、あの、技術レベルがあんまり違うものは無理ですけど……」
ああ、資源ごみと同じルールなんだな。
「鈴木さんの元の世界の資源ごみのゴミ箱を漁ることができます」
……なにそのみみっちい、というか、汚いスキル……。
「あの、でも世界中の資源ごみのゴミ箱を漁ることができますから……! ドイツのでもウルグアイのでも……」
わー。すごいわー。全世界ゴミ箱紀行。というか、女神アナスタシア意外と地球通である。
ドイツの資源ごみ……どんなんだろう。そしてなぜドイツの次に出てくるのがウルグアイ?
「あの、スクリーンに画像が出ますから、それで選ぶだけです」
そう言って幼女が両手をぽわっと広げる。あやとりをしている時のような手の形だ。つられて私も同じように手を動かすと、中にぽわっと光る小さなスクリーンが現れた。
おおおおおお?!
すごい。ファンタジー感満載だ。
「ただ……」
幼女が上目遣いで私を見る。あ、あるんですね、なんか制限が。
「こちらに持ち込めるものに制限があるんです」
資源ごみスキルを使うことで物資を地球からこちらの世界に持ち込むことができるけれど、この世界の技術レベルから激しく外れるものはそもそもスクリーンに現れない──つまりプラごみは対象外。化繊もだめ。合成染料も厳密に言えばいけないのだろうけれど、そこは「まあ、あの、そのあたりは……」と目が泳いでいた。
こちらの世界の人が手にした時に簡単に「異世界のものだ!」とならないのであれば持ち込める、ということなのかな。
微妙に役に立つのか立たないのかわからないスキルだな。
この世界にはないようなオーパーツを資源ごみのゴミ箱から見つけ出してどうのこうのっていうのはできないわけですね。
「そっか……私のスキルはゴミ箱あさり……」
つぶやくと小さい女神が再びえっくえっくと泣き始めた。いや、泣かないで。ちょっとこの先のことを知りたいのですよ。起きちゃったことは仕方ないから今後のことを考えましょうよ!
泣きじゃくるアナスタシアをなだめ、色々と聞き出した。私が降り立つ世界は魔法のある世界──なので、普通の人が持っている程度の魔力を与えてもらうことはできる、ということだ。これはちょっとホッとした。けど、それで仕事になるようなレベルの魔力や魔法は難しいらしい。あくまでも平均値のもの。
ふむふむ。
前世も平均的な人間だったし、大丈夫だよ。おばちゃん、亀の甲より年の功って言うし!
「資源ごみ」は転生者、転移者のみに与えられる特殊スキルなんだね。なんかすごく微妙なスキルだけど。
「あの……若返らせることもできます」
おお、それはちょっと嬉しいかもしれない。流石に40を超えてから夜更かしがキツくなってきていたしな。
「それじゃ、こちらの世界の成年年齢にしますね。子供だとそれはそれで生きにくいと思うので。平民ですけど身分も作りますし、背景も作っておきますから……!」
意外としっかりしているんじゃないかな、この小さい女神さま。
「本当はこの年齢じゃないですから!」
考えていることがわかるらしくて、むん!と胸を張られた。かわいい。
うんうん、召喚ミスのペナルティで小さくなっちゃってるだけだもんねー。
ちなみに成人年齢は16歳だという。若いなあ。私の感覚では子供なんだけどな。
「あと、魔法ですけど、一般的には生活魔法を持っている人が多いです。火をつけるとか、水を出すとか」
あー。水、いいね! 母の若い頃とか、海外旅行に行くと水道水に当たって下痢になるとか普通にあったらしいし、綺麗な飲料水が常に確保できるってなにげにいい能力だと思うよ。
「水って、温度も変えられる?」
「えっと……?」
「つまり液体の状態の水だったら温度が違うものが出せると嬉しいんだけど……」
ダメ元で言ってみるとアナスタシアは首を傾げた。
「珍しいことを聞きますね……」
うん。お風呂に入れるかなっと思ったんだよね。40度ぐらいのお湯が200リットルぐらい出ると、お風呂が簡単に張れるよね!
素直にそう言うと、アナスタシアはちょっと引いた。普通は生活魔法の「水」って洗面器一杯ぐらいの水を出すのが普通なんだという。3リットルぐらいか……。意外と少ない。
「あ、あの……ちょっとおまけできます」
話し合いの結果、生活魔法「水」温度は5度から100度。量は10リットルほどを付与してもらうことで合意した。あ、これは嬉しい。どこにいてもお茶が飲めるし、綺麗な水があるということは病気になる可能性が低いということだ。
「あ、あと……」
本当におずおず、という感じでアナスタシアが付け加えた。
「鈴木さんのアパートから、いくつかこちらに持ってこれるものがあります……」
「え……!」
「あ、あの、技術レベルがあんまり違うものは無理ですけど……」
ああ、資源ごみと同じルールなんだな。
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