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倉庫兼雑貨屋
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エレンさんと一緒に入った倉庫でタライをもう一つ購入する。今は一つしかないから野菜を洗うのも靴下を洗うのも一つのタライで済ませなくてはならない。それはちょっと……ね。
将来的にはもう少し増やしたいけれど自分の商品が市場で売れるかどうかわからないから様子を見ながらだ。
小麦粉もあった。普段はメンストンさんの家で買えば良いけど特別な日の菓子やパンには隣村のトムソンさんの「日向畑」の小麦粉がいいという。
なんでかと思ったらこの世界の小麦畑は必ずしも小麦だけが植わっているわけではないという衝撃の事実を「知識」が教えてくれた。蕎麦とか大麦とか燕麦とか混ざってても大体無視して育てるし、そもそも小麦の種自体が質が均等じゃない。
アレルギーとか考えたら怖すぎるよ!
なるほど、どこの畑かがブランド化するわけだ。 メンデルの法則以前の社会っぽいもんね。
でもどこで小麦粉が入手できるかわかったのは良かった。
あと料理用の鉄板を買いたくて相談したんだけれど今のところ手が届かないことがわかった。
村を去るときにお金を用立ててもらうためにホワイトさんには色々買ってもらったらしく、すり鉢だとか蒸留器も見せられた。
はー。
これ、買い戻すまでは薬師の仕事とか無理じゃないですか。
こちらは頑張ってできるだけ早く買い戻しますと言ったらエレンさんに苦笑された。
不良債権なんだろうね。
こめんなさい。
マーマレードが出来たら持ってきますから……。
そういうわけで、ドロップ・スピンドルといくつか細々したものを購入。かごだとか。
ドロップ・スピンドルは糸を紡ぐのに使うもの。紡ぎ車みたいに大きくないしお安い。コマみたい。
まあ、効率は紡ぎ車より悪いわけだけど。でもポケットに入れて歩けるのはいいと思う。
後でメンストンさんから羊毛を少し分けてもらうつもりだ。
当然のことながら農産物はメンストンさんの家に行ったほうが種類も多いし安く分けてもらえる。
でもこの村で作っていない農産物はホワイトさんが隣町の市から買ってきたりするらしい。
木製のボタンや骨製のボタンなんかも、市で買ってきてくれるということで、お願いした。貝ボタンも裁縫箱に入っているけど、あれは祖母の形見みたいなものだし、売り物に使う気にはなれない。
「それにしても、マージョは、いい人いないの?」
エレンさんは私が一人で暮らすつもりだと聞くと随分心配してくれた。
若い女一人での暮らしは随分危なっかしく見えるらしい。母がまだ子供の私とこの村にやってきたときも相当目を引いたらしいけど……。
「まあ、でもマージョのお母さんは、どう見てもお偉いさんと関係がありそうだったからね……」
言外に「でもマージョは関係が切れちゃったんでしょう」と探られている感じがする。
はああ。
なんか一気に疲れるよ。
考えておきます~とヘラヘラ答えておいた。
ホワイトさんの家から一度我が家に帰ったら、見知らぬ男が豚の囲いのあたりをうろついていた。相当背の高い男で我が物顔に豚小屋の戸を開けて中を覗き込んだりしている。
だれ?!
怖っ!
思わずそばに転がっていた棒を握りしめちゃったよ。
将来的にはもう少し増やしたいけれど自分の商品が市場で売れるかどうかわからないから様子を見ながらだ。
小麦粉もあった。普段はメンストンさんの家で買えば良いけど特別な日の菓子やパンには隣村のトムソンさんの「日向畑」の小麦粉がいいという。
なんでかと思ったらこの世界の小麦畑は必ずしも小麦だけが植わっているわけではないという衝撃の事実を「知識」が教えてくれた。蕎麦とか大麦とか燕麦とか混ざってても大体無視して育てるし、そもそも小麦の種自体が質が均等じゃない。
アレルギーとか考えたら怖すぎるよ!
なるほど、どこの畑かがブランド化するわけだ。 メンデルの法則以前の社会っぽいもんね。
でもどこで小麦粉が入手できるかわかったのは良かった。
あと料理用の鉄板を買いたくて相談したんだけれど今のところ手が届かないことがわかった。
村を去るときにお金を用立ててもらうためにホワイトさんには色々買ってもらったらしく、すり鉢だとか蒸留器も見せられた。
はー。
これ、買い戻すまでは薬師の仕事とか無理じゃないですか。
こちらは頑張ってできるだけ早く買い戻しますと言ったらエレンさんに苦笑された。
不良債権なんだろうね。
こめんなさい。
マーマレードが出来たら持ってきますから……。
そういうわけで、ドロップ・スピンドルといくつか細々したものを購入。かごだとか。
ドロップ・スピンドルは糸を紡ぐのに使うもの。紡ぎ車みたいに大きくないしお安い。コマみたい。
まあ、効率は紡ぎ車より悪いわけだけど。でもポケットに入れて歩けるのはいいと思う。
後でメンストンさんから羊毛を少し分けてもらうつもりだ。
当然のことながら農産物はメンストンさんの家に行ったほうが種類も多いし安く分けてもらえる。
でもこの村で作っていない農産物はホワイトさんが隣町の市から買ってきたりするらしい。
木製のボタンや骨製のボタンなんかも、市で買ってきてくれるということで、お願いした。貝ボタンも裁縫箱に入っているけど、あれは祖母の形見みたいなものだし、売り物に使う気にはなれない。
「それにしても、マージョは、いい人いないの?」
エレンさんは私が一人で暮らすつもりだと聞くと随分心配してくれた。
若い女一人での暮らしは随分危なっかしく見えるらしい。母がまだ子供の私とこの村にやってきたときも相当目を引いたらしいけど……。
「まあ、でもマージョのお母さんは、どう見てもお偉いさんと関係がありそうだったからね……」
言外に「でもマージョは関係が切れちゃったんでしょう」と探られている感じがする。
はああ。
なんか一気に疲れるよ。
考えておきます~とヘラヘラ答えておいた。
ホワイトさんの家から一度我が家に帰ったら、見知らぬ男が豚の囲いのあたりをうろついていた。相当背の高い男で我が物顔に豚小屋の戸を開けて中を覗き込んだりしている。
だれ?!
怖っ!
思わずそばに転がっていた棒を握りしめちゃったよ。
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