王子様はもう、あたしがいらないらしい

「リネーゼ、おまえとの婚約を破棄する」
「あら、まあ」

 あたしは苦笑してレオナルドを見た。
 この国の王子として立派な衣装を身にまとい、金色の髪をきらきらさせながら傲慢に笑ってる。
 なんてことだろう、ほんの少しの間で見事に、あたしの好みじゃなくなってしまった。


「レオナルド、あたしがいないと生きられないんじゃなかったの?」
「あの時はそう思った。だが、間違いだった……いや、おまえが全てを失った私につけこみ、判断を狂わせたのだ。おまえのような薄汚い魔女が、私にふさわしいはずがあるものか!」
「ひどい言い方ね。あたしは人と恋なんてしないって、何度も断ったのを覚えていないのね?」
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