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愛人が来ました
しおりを挟む「ライナス様と離婚して! 私達、愛し合ってるの!」
ライナス様の愛人だという女性が門の前で騒いでいたので、応接室へと通した所、離婚しろと言われました。
「……そう。愛し合ってるなんて、良かったわね。」
はあ……これで何人目かしら?
ライナス様は愛人が何人いらっしゃるのよ!
毎回毎回、門の前で騒がれていい迷惑だわ。
「だから、別れて欲しいって言ってるの! ライナス様と離婚して、とっととこの邸から出て行ってよっ!」
んんん? 何だか聞き捨てならない事を言われたわ。
「それは、どういう意味かしら?」
「言葉の通りよ! この邸は、ライナス様と私の邸になるのだから、あんたが出て行くのは当然でしょ?」
この方は、何を仰っているのでしょう?
「あなた、名前は?」
「名前なんてどうだっていいじゃない! ライナス様と別れてくれるのよね!?」
普通に話すのは困難なようです。
「名前なんてどうだっていいさん、よく聞いてね。私はライナス様とすでに離婚しました。この邸は私の父のものだから、ライナス様には出て行っていただきました。分かったら、もう二度と来ないでください。」
要点だけを分かりやすく話したつもりなのですが……
「じゃあ、ライナス様はどこにいるのよ!? あんたと結婚していたんだから、邸はライナス様のものでしょう? 嘘をつくのはやめて!」
どういう理屈なのでしょう?
ライナス様の居場所なんて知るわけないし、話にならない。
「ライナス様は、きっと愛人の所にいるのではないでしょうか。あなたの他に、4人ほど愛人だと名乗る女性が邸にいらっしゃいましたし。
あなたを愛しているなら、あなたの所にいなければおかしいですけどね。」
「なっ!!?」
彼女の顔は、一瞬で真っ赤になりました。
ライナス様が自分の所に来なかった事が、ものすごく悔しいようです。
「私に何を言っても仕方ないですよ。ライナス様と一緒にいる愛人に、別れるように仰ったらいかがですか?」
愛人は少し考え、
「また来るわ! 逃げないでね!」
と、言い残し帰って行きました。
……もう来ないでよ。
私の名は、レイチェル・テイラー。お父様はソリド・テイラー侯爵です。
1週間程前、3年前に結婚したライナス・コーエン様と離婚しました。
理由は愛人……ではなく、ライナス様は結婚してから1度も私を抱くことがなかったからです。
婚前契約で、結婚して3年間のうちに子供が出来なかった場合は、離婚すると契約をしていたのでスムーズに離婚する事が出来ました。
テイラー侯爵家を継ぐ為の息子を産まなければならない私には、ライナス様と別れるのは必然だったのです。
ライナス様は、私を抱くことがないというよりも、私を抱く事が出来なかったようです。不能という事なのだと思っていました。
だから、ライナス様は女性に興味がないと思っていたのですが……離婚してから、次々に愛人がやって来たのです。
今はもう、怒りを通り越して呆れています。
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