聖女カナリアは俯かない。

 王国歴1832年、6月。
 国王即位三十周年記念の夜会で、類稀なる歌の才能を秘めた王立楽団の歌姫カナリアは、暴漢に襲われてしまう。
 相手はこの国の第二王子にして、楽団の指揮者、レットー殿下だった。
 婚約者のオリバーは第二王子の側近。
 彼の将来を想い、カナリアは世を捨て、女神神殿へと助けを求める。
 一般社会にいられなくなった人々を受け入れる神殿に入ったとき、女神の奇跡は起こった。
 カナリアはその歌の才を認められ、聖女の一人として歌声で人々を救うことを、女神に命じられたのだ。
 そして明らかになる第二王子の犯行の数々。
 聖女は自分以外にも被害に遭った人々のため、王国を相手に神殿の協力を得て立ち向かうことを決意する。
 一万文字程度の短編です。
 
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