幻影の翅 ( つばさ )
大好きだった母が、心理カウンセラーとして関わり合う人の心に寄り添う葛藤のなかで
自らが心身を病み、不測の最期を迎える結果となった。母と同じ職業の父を持つ 佐野 成未 は母の死から十年以上を経ても、人が人であるが故に抱える「心」に対する漠然とした絶望感を拭えぬまま日々を暮らしていた。春の訪れとともに、成未と周囲の人々は突然、日常とはかけ離れた奇異な事柄に相対する事となる。発端は、記憶の全てを喪った名前を持たない男の出現であった。彼が身に付けていたジーンズのポケットに、たった一つの手掛かりが遺されていた。それはハガキの半分ほどの小さな、色褪せた古い挿絵の切れはしであったー
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