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それぞれの末路
12 カイデン公爵の侍従ー(侍従視点)ゲスな男の独り言からはじまりますーその1
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こちらは末路を残酷系で、きつめで書きます。ですから侍従はクズの極みに書いてあります。胸くそ注意!
私はコンラッド・ケリー。男爵家の次男に産まれ、容姿端麗と評判の子供だった。頭もそこそこ良かった私は、カイデン公爵家の侍従として幼い頃から仕込まれていた。
私をカイデン公爵家に推薦してくれたのはアロン伯爵で、人のいいお爺さんだった。私はアロン伯爵の前では特別良い子に振る舞ったもんさ。
私のような末端貴族の次男は容姿が良くて見栄えがいいと、大抵高位貴族に召し抱えられることが決まる。高位貴族達は、侍女や侍従に少しでも見栄えがよく賢い者を採用したがる。それが、自分達のステイタスを決めることになるからだ。
私は幼い頃からカイデン公爵家に通ううちに、身分の違いで生活に雲泥の差があることを思い知った。公爵家の嫡男のキャメロン様は、私と大差ない容姿で頭脳だって特別優秀とは思えない。それなのにあいつは将来、公爵様になり自分がその下でずっと働かなければならない。もやっとした気持ちが心の中に広がった。
豪奢な馬車に贅沢な衣服、部屋はお伽噺のなかの夢の世界のように洗練されて、目に入るもの全てが眩しい。これが全てあいつのものになり、私は男爵の爵位さえ継げない。
ある日、カイデン公爵家の馬車から降り立った私に平民の子がうやうやしくひざまずいた。
ーーこれだよ! 下には下がいるじゃないか? 平民の子や貧民の子になら、なにをしても許される。人間は上を見るからいけないんだよ。そうだろう?
それから私はキャメロン様のふりをするようになった。ムシャクシャしている時には、平民の住む地区に行って憂さ晴らしをしていた。自分より幼い子を殴りつけ、大人を叱り飛ばし良い気分だった。
平民なんて公爵様の顔も知らないし、知っているのは国王陛下と王妃陛下ぐらいだ。しかも、かなり美化され若く描かれた絵姿だけしか見たことがない。卑しい者は高貴な者の目を見てはいけないという古い慣習もあるくらいだ。だから顔もよく見られないし、やりたい放題だ。
そして、年頃になったらもっと楽しいことができるようになった。それは愚かな平民や貧民の女をひっかけることだ。あいつらは、喜んで股を開く。開かない女? そんな奴はいないよ。
「おい。私が誰だかわかっているのか? お前の親兄弟なんて、すぐにでもクビを跳ねさせることができるんだぞ!」
そう言って脅せば充分だった。平民なんて虫けらと同じ。いくらでも罪をでっち上げて、保安局の者に引き渡せる。この世はわりと生きやすくて楽しいなぁ。平民や貧民、賎民がいるおかげで私は女には不自由しないよ。金を払って娼館に行く奴はバカだ。頭を使えばただでいくらでもできるのになぁ~~あっははは!
私はコンラッド・ケリー。男爵家の次男に産まれ、容姿端麗と評判の子供だった。頭もそこそこ良かった私は、カイデン公爵家の侍従として幼い頃から仕込まれていた。
私をカイデン公爵家に推薦してくれたのはアロン伯爵で、人のいいお爺さんだった。私はアロン伯爵の前では特別良い子に振る舞ったもんさ。
私のような末端貴族の次男は容姿が良くて見栄えがいいと、大抵高位貴族に召し抱えられることが決まる。高位貴族達は、侍女や侍従に少しでも見栄えがよく賢い者を採用したがる。それが、自分達のステイタスを決めることになるからだ。
私は幼い頃からカイデン公爵家に通ううちに、身分の違いで生活に雲泥の差があることを思い知った。公爵家の嫡男のキャメロン様は、私と大差ない容姿で頭脳だって特別優秀とは思えない。それなのにあいつは将来、公爵様になり自分がその下でずっと働かなければならない。もやっとした気持ちが心の中に広がった。
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ある日、カイデン公爵家の馬車から降り立った私に平民の子がうやうやしくひざまずいた。
ーーこれだよ! 下には下がいるじゃないか? 平民の子や貧民の子になら、なにをしても許される。人間は上を見るからいけないんだよ。そうだろう?
それから私はキャメロン様のふりをするようになった。ムシャクシャしている時には、平民の住む地区に行って憂さ晴らしをしていた。自分より幼い子を殴りつけ、大人を叱り飛ばし良い気分だった。
平民なんて公爵様の顔も知らないし、知っているのは国王陛下と王妃陛下ぐらいだ。しかも、かなり美化され若く描かれた絵姿だけしか見たことがない。卑しい者は高貴な者の目を見てはいけないという古い慣習もあるくらいだ。だから顔もよく見られないし、やりたい放題だ。
そして、年頃になったらもっと楽しいことができるようになった。それは愚かな平民や貧民の女をひっかけることだ。あいつらは、喜んで股を開く。開かない女? そんな奴はいないよ。
「おい。私が誰だかわかっているのか? お前の親兄弟なんて、すぐにでもクビを跳ねさせることができるんだぞ!」
そう言って脅せば充分だった。平民なんて虫けらと同じ。いくらでも罪をでっち上げて、保安局の者に引き渡せる。この世はわりと生きやすくて楽しいなぁ。平民や貧民、賎民がいるおかげで私は女には不自由しないよ。金を払って娼館に行く奴はバカだ。頭を使えばただでいくらでもできるのになぁ~~あっははは!
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