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 私は自分の食欲をコントロールし、目標の華奢な身体を手に入れたことに達成感を感じていたし、それが自信にも繋がった。今までの私は自分に自信が持てなくておどおどしていたと思う。けれどいつまでもマージの影に隠れて守ってもらうばかりじゃダメなんだわ。

 痩せたら身体も軽くなって苦手だったダンスも苦痛ではなくなったし、身体を動かすことが楽しく感じる。

「リネータ様はとても綺麗になりましたね」

 ある日の放課後、学園の廊下でカルヴァン様が声をかけてくださって、嬉しさに飛び上がってしまった。

「ありがとうございます。あの、かなり前のことなのですが、校庭で転んだ時には手を差し伸べてくださってありがとうございます」

 こんなきっかけでもないと、お礼も言えない私が自分でも情けない。

「いや、当然のことをしただけですよ。ところで、もうすぐ学園内でクリスマスパーティがありますよね? エスコートする方は決まっていますか?」

「いいえ。いないです。だから、お兄様に頼もうとか思っておりました。あのぉーー、もし、できたらでいいのですが、エスコートしていただけると嬉しいです」

 震える声で勇気を振り絞って言ってみた。しばしの沈黙。

(図々しかったのかしら。恥ずかしい・・・・・・言わなければ良かった)

「こちらから誘おうと思っていましたのに、ちょっとびっくりしてしまいましたよ。もちろん、喜んで!」

(嬉しい、嬉しい、嬉しい! ダイエットした甲斐があったわ。頑張って良かった)

 




「聞いて!カルヴァン様にクリスマスパーティに誘われましたわ。エスコートしてくださるって」

 親友のマージはきっと一緒になって喜んでくれるはず。

「え? 本当に誘われたのですか?」

「えぇっと、厳密には私の方から先に誘いましたわ。でも、あちらからも誘ってくださるつもりだったみたいですわ」

「あら、だったらカルヴァン様はモニカ・マッキン侯爵令嬢に振られたのね。モニカ様の誕生日パーティでは必ず隣にいて仲睦まじかったと、聞いたことがあるもの」

「え? そうなのですか? 知らなかったわ。あのモニカ様と親しかったのね」

 途端に私の喜びは萎んだ。だってモニカ様は銀髪にアメジストの瞳の目の覚めるような美人なのよ。

「可哀想に。きっとリネータはモニカ様といろいろ比較されてしまうわね。それにしてもいくら傷心でも私の親友で心の傷を癒やそうなんて酷いわ」

「え? どういう意味かしら?」

「きっとカルヴァン様は失恋の痛手を誰でも良いから慰めてくれる女の子を探していたのよ。リネータがたまたま目に留まったのでしょうね。でなければ、あれほどの美形のカルヴァン様がリネータを誘うと思う?」

「・・・・・・」

 カルヴァン様は確かに金髪碧眼の美男子だ。それに比べて私は痩せたけれど、モニカ様の足下にも及ばない。

「かわいそうなリネータ」

 私の頭をそっと撫でた親友は優しい。
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