【完結】夜空と暁と

ゆい

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本編

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長期休み後半に、ギルフォードに1日開けてほしいと頼んだ。
宣言通りにギルフォードから色々アピールされた。
2人で出掛けた時は、さり気なくエスコートをしてくれるし、表情が普段より甘い。
好きというオーラが溢れ出していて、反対に慣れていない僕は戸惑うほどであった。
だから、真剣に考えて、返事をしたい。
ギルフォードが家に来たら、そのまま魔の森の家に飛んだ。


「卒業したら、ここを拠点にして、あちこちに旅をしようと思っているんだ。」

将来のこと、過去のこと、僕の気持ちを話した。前世の話はしなかった。
ギルフォードは口を挟まず、聞いてくれた。

「ギルフォードと同じ気持ちを持つことは難しい。それに自分で言うのなんだけど、かなり面倒くさい性格をしていると思う。そんな僕でもいいの?」

「アルサスだからいいんだよ。少しずつお互いのことを知っていこう。」

「うん。ありがとう。これからよろしくお願いします。」

「こちらこそありがとう。大切にします。」

ギルフォードは、僕の手を取り、手の甲にキスをした。
僕は顔を真っ赤にしたのは言うまでもない。


そのあとは2人で野菜を収穫したり、昼食を作って食べながら、今後の話をした。

「私の両親にアルサスを紹介したいんだが、アルサスは大丈夫か?」

「大丈夫だと、思う。ご両親はどんな感じの人達なの?」

「2人とも普段は穏和だけど、厳しいところもある。領民思いで、愛情深い。私は尊敬できる親だと思うよ。」

「反対とかはされない?」

「それはない。結婚前提で付き合いたい人がいると伝えてあるし、今は返事待ちのことも話したが、『良い方向に行くといいね』と言ってくれた。」

「あ、あと、お会いする時にメガネを外して、髪を上げていた方がいい?」

「できたら、アルサスの素顔も性格も知ってもらいたい。その前に私に素顔を見せて欲しいな。」

「うん。」

メガネを外し、前髪を耳にかける。

「どう?母様に似ているとは思うけど、母様ほど美人でないと思うし、髪や目の色はどちらにも似ていないから。昔は、父様にも母様にも似ていないから、養子じゃないかって言われていて。」

「……。」

「ギルフォード?」

「あっ、いや。んっ。造形は夫人に似ているけど、目元は公爵に似ている。目の色は、夜空の色だね。深い青色で、神秘的に見えるよ。」

「ほ、褒めすぎだよ。」

「養子なんて言った人は、見る目がないね。こんなにお二人に似ているのに。本当にアルサスの目は吸い込まれそうだ。」

ギルフォードは僕の顔を両手で挟み、じっと目を見る。顔を動かせないから、僕もギルフォードの目を見る。

「ギルフォードは、中心が黄色で外側に向かって赤くなっている。朝焼けの空の色だ。とても綺麗だ。」

人の瞳なんてマジマジと見たことはなかった。
こんなにも綺麗なものだと知らなかった。
段々と瞳が近づく。軽く唇が重なった。

「えっ。」

「アルサスが綺麗って言うから、嬉しくて。」

と、嬉しそうに言うギルフォード。

「ま、まだ早いでしょ!付き合い始めたばっかだよ。まだ心の準備もしていないのに!」

顔を真っ赤にして文句を言うが、嬉しそうに文句を聞いているギルフォードには、響いていないと思った。

それから家に戻り、両親に報告した。母様は喜んでくれたが、父様は何だか寂しそうにしていた。
これが娘を持った男親なのかと思ったら、ちょっとだけ笑えた。
でも、2人はギルフォードを迎え入れてくれた。



ギルフォードのご両親とは、その3日後にお会いした。きちんと正装をして行った。
出迎えてくれたギルフォードが、正装姿の僕を見て、『綺麗だ。』『誰にも見せたくない。』なんて言い出して、少し驚いた。
誰にも公平で誠実なのに、僕に独占欲を見せるとは思わなくて、少しだけ嬉しかった。
ご両親ともに歓迎をしてくれた。
手土産に渡したチーズケーキとクッキーは喜んでくれた。
何故かギルフォードが僕の料理は美味いとご両親に自慢していたけど。
応接室に通され、色々な話をした。
婚約式と結婚式の話にもなった。
僕の希望は、卒業後に婚約式、2、3年後に結婚式をしたいと伝えた。
ギルフォードが騎士として一人前になってから、結婚をしたい、と。

「結婚までの間はアルサスちゃんはどうするの?」

「卒業したら、旅に出ようと思っていたんですが、事情が変わって、城の農産科に勤めることになりました。仕事内容が国中を回って有用な植物を探すことになりまして。」

「砂糖のせい?」

「陛下のせいでしょ。」

と、砂糖の経緯から説明した。父様に頑張ってもらった結果、折衷案として、国中を旅しながら、新種や稀少なもの、薬にできそうなものを探したり、保全したりすることになった。

「でも、見ただけではわからないよね?」

「そこは、鑑定魔法で。採取しても、収納魔法があるし。魔法師になるよりは僕向きだから、陛下に頑張って交渉してくれた父様には、感謝しているよ。」

「魔法師も国には大事なお仕事よ?」

「知っています。でも、幼い頃から世界中を見て歩きたい夢があったから、その為に勉強して、魔法を磨いた。だからこそ誰にも邪魔されたくないんです。これが僕なんです。それでお二人がギルフォードに相応しくないと判断されるのなら、僕はそれを受け入れます。」

「父上、母上。アルサスは信念を貫きます。私の見つけた人は素敵でしょう?」

「ちょっ、ギルフォード!」

「確かに。夢を叶える為に努力をする姿勢は素晴らしい。」

「反対にギルには勿体無いくらいだわ。アルサスちゃん、ギルの思いを受け入れてくれてありがとう。2人の結婚が待ち遠しいわ。」

「婚約は卒業後でなくても、もう秋にはしたらどうかな?」

「それがいいわ!あなた、マグドレン殿に手紙を書きましょう!」

「そうだな。早速書くか!」

と、2人は部屋から出て行った。


「これは、認めてくれたのかな?」

「寧ろ、ノリノリだな。」

「なら、良かった。…のかな?」

「両親にアルサスを取られそうな勢いだけど。」

「しかし、緊張した。」

「お疲れ様でした。でも、城勤めになるなんて聞いていないよ。」

「昨日決まったから、今日伝えようと思って。」

「時間が合えば、一緒に帰りたいし、休みの日は、どこか出掛けないな。」

「そうだね。卒業したら、みんなには会う機会が無くなると思っていたから、嬉しいんだ。」

「色々急に決めてしまったけど、アルサスの歩調に合わせて関係を確かなものにしたい。ゆっくりでもいい。私達の絆をしっかり結ぼう。」

「ギルフォード、ありがとう。」




長期休みも終わり、秋晴れの日に僕とギルフォードは婚約した。みんな祝ってくれた。
それから、騎士と文官試験があり、ギルフォードとダミアンは無事に合格を果たし、卒業後は城勤めが決まった。
僕が農産科の仕事することに決まった話をしたら、みんなはびっくりしていた。ダミアンは、文官試験を受けずに決まったことには、羨ましがった。
ジークに1学年下の婚約者ができた。
みんなに紹介してくれて、時々グループのお茶会に参加してくれた。
アランは、卒業後直ぐに結婚式を挙げる。
ローランドは、卒業してからの秋に結婚式をする予定。
みんな卒業後の進路が着々と決まっていった。



あと卒業まで1ヶ月をきった頃から、ピンクの子がギルフォードにやたら接触をしてくるようになった。
もちろん、ギルフォードは相手にしない。

ギルフォードと僕の婚約は公表はしたが、マグドレン公爵次男=僕という図式は浸透しない。
そのせいか、僕の容姿を見て、ギルフォードから奪えると思う輩は少なくなかった。
そして、更に強引にでも割り込もうとするのがピンクの子だった。

そんな昼休み。今日はアランとローランドで食堂で昼食をいただいていた。残り3人は後から合流予定だ。

「ギルフォードも大変だよな。」

と、ローランドが言う。

「なんで?」

「ギルフォードは公爵家だけど、三男だったから、見向きもされていなかったけど、城勤め、しかも騎士になることが決まったら、急に扱いが変わるんだよ。いい迷惑じゃないか。」

「ダミアンもそうだよね?」

「ダミアンは家柄的に代々城勤めだから、そんなでもないよ。騎士の方が文官より人気があるんだ。新採の発表が出てから、婚約者のいない人なんて申し込みが殺到しているはずだよ。」

「ふーん、そうなんだ。僕は世間的にはどうみられているの?」

「アルサスは、深窓の令息。箱入り令息。そして、誰も素顔を知らない、釣り書きは全て断られるってところ。ちなみに学園では、見た目で田舎の下級貴族に見られている。」

「世間は見た目だけみているからね。でも、アルサスは所作もお手本になるくらい綺麗だし、顔立ちは夫人に似ていると思うから、多分美人だ。」

「僕もそれは思っていた。一度だけでいいから、きちんと顔を見たい。」

「うぅ、あまり期待しないで。この格好に慣れたから、今更気恥ずかしくて。」

「ギルフォードは見たことはあるよね。」

「あるよ。でも、ギルフォードは人前では顔を出さないでって言っていた。」

「なんか惚気がきた。」

「アルサスが惚気た。」

「えっ、どこが惚気なの?」

「なんか天然でお母さんは心配だよ。」

「お兄ちゃんも心配だよ。」

「アランのお母さんはわかるけど、ローランドは弟の方がしっくりくるよ。」

「アルサスは末っ子だから、自動的にお兄ちゃんなんですぅ。」

「なにそれ。」

バシャッ。

他愛もない会話をしながら食事をしていると、後ろから頭に水を掛けられた。

「ごめんなさぁい。」

「アルサス、大丈夫?!」

いきなりのことで頭が追いつかない。

「人にぶつかって、トレイから水がこぼれちゃいました。」

振り向くとピンクの子と取り巻き達だった。
アランがハンカチで拭こうとしてくれた。

「上級生に対してそんな謝り方で許されると思っているのか!」

ローランドが怒ってくれている。
周りは何事かと野次馬が多いが、ニヤニヤして成り行きを見ているものもいる。

「ユーリが謝っているんだから、許してやれよ。」
「たかが、下級貴族の癖に。」

取り巻き達は文句を言い出す。
とても謝っている態度に見えないが。
ピンクの子はニヤニヤしているし。

「何かあったのか?」

と、ギルフォード達が来た。

「あれ、アルサス濡れているじゃん!」

ダミアンの声にギルフォードが僕に駆け寄って、ハンカチを取り出して、アランと拭いてくれた。

「アルサス、拭きづらいから、メガネ外すよ。」

と、メガネを外され、丁寧に拭いてくれる。
ギルフォードは拭きながら、ローランドの説明を聞いていた。
拭き終わって、ピンクの子たちを見て、

「とても謝罪する態度ではないね。家から抗議をさせてもらうよ。」

「私も大事な婚約者にこのような事をされたんだ。私の方からも抗議させてもらう。」

「そ、そんな。」

「公爵家から抗議されたら、父に何言われるかわからないよ。」

「僕はきちんと謝りましたよ!許してくれない心の狭いこの人には、ギルフォード様なんて勿体無いよ!」

「そうですよ!ギルフォード様の公爵家の威光を傘に被って、抗議だなんて!」

「何を言っているの?アルサスは公爵子息だよ。さっきも下級貴族って言っていたけど、何か勘違いしていない?」

「「「はぁ?」」」

僕は悪い笑顔をしながら、

「マグドレン公爵家の次男アルサスです。上級貴族として君達の振る舞いに対して、是非とも各家に伝えさせていただきます。みんな、空気悪いから、違う場所で食事しよう。」

と、6人は食堂を出て、談話室に行った。
談話室には何もないから、収納魔法から作り溜めていたご飯を出して、みんなに振る舞った。

「このパン、フワフワで甘い。」

「このハンバーグ?ってもの、柔らかくて、肉汁がたっぷりだ。」

「エビって初めて食べたけど、プリプリしていて美味しい。」

「アルサスの養子になりたい!」

「ギルフォードはいつもこんな美味しいもの食べているの?」

「もちろん、いつも美味しくいただいている。しかし、アルサスの素顔がバレてしまった。午後から、煩くなるな。」

「アルサス、めちゃくちゃ綺麗で私もびっくりした。」

「僕って、綺麗なの?」

「何言ってんだ?アルサスはそこら辺の美人より格段にレベルが違うよ?」

「僕、顔の美醜がよくわからない。」

「僕は、どんな風に見える?」

「ローランドは、目がクリクリしていて、人懐っこそう。」

「私は?」

「アランは、目鼻口のバランスがよく、整っている。でも、優しそう。」

「俺は?」

「ダミアンは、意志の強そうな目をしていて、それでいて、誠実そう。」

「私は?」

「ジークは、威厳があって、でも優しい目をしているから、誰からも頼られそう。」

「私は?」

「ギルフォードは、朝焼けの瞳が綺麗。顔は整っている。」

「ギルフォードだけ、綺麗って言った。」

「無自覚での発言。」

「惚気か?」

「惚気だね。」

「無自覚過ぎて心配が絶えない。」

「「「「ギルフォード頑張れ!」」」」










「ダミアンはいつも養子入りを希望するけど、なんで?」

「子供になれば、無条件で美味しいもの食べれるから。それにアルサスは尊敬しているけど、恋愛感情ないし。」

「なるほど?」

























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