黒浪護忍
舞台は江戸時代の遠州浜松。
かつて、この地には歌舞伎の「青砥稿花紅彩画」、通称「白浪五人男」のモデルにもなった日本左衛門が率いる盗賊団がいた。
それから数十年、彼らに代わる新たな盗賊団が現れる。その名も黒浪一味。しかし、その実態は浜松藩が秘密裏に組織した忍者集団だった。
物語は主人公、唯杏(ゆいあん)の生い立ちから始まる。
ある日、浜松城の西にある古刹西来院の門前に赤子が捨てられていた。その子の手は熟れた杏のような赤みを持ち、指と指の間には水掻きがあった。それはまるで河童の手のようだった。
その手のお陰か泳ぎの得意な子に育つ。河童のような手を持つ小僧がいる。その噂はやがて浜松城にも届く。武頭、松下孝之伸は唯杏を水に特化した忍、水忍として育てることにする。
この松下が、黒浪一味を隠れ蓑とする忍者集団(黒浪護忍)の発案者でもある。
唯杏は、表向きは寺の修行僧(雲水)として、裏では水忍(河童)として生きていくことになる。
忍の連絡は、築山御前の霊廟、月窟廟の油皿の下に挟まれた紙片でとっている。その後、佐鳴湖の小藪の渡しで密命を受け、浜松城下や天竜川、浜名湖周辺で起こる異変に河童(唯杏)は対処することになる。
また僧として地域の困りごと、沼田のあかんべえや天神社の雨乞いなどに関わることになる。
仲間の忍者も登場する。鰻はその名の通りウナギを操る水忍。凧を操る空忍、天狗。浜松は皐月の凧祭りで有名で、物語の随所に凧と凧印が登場する。祭りが舞台になる話では御殿屋台も登場し、巨大な絡繰り武者へと変形する。
華やかな浜松城下の風俗の裏で、人の欲望と悪意が蠢いている。水に潜む忍である河童は、仏に仕える雲水としての心と、密命を果たす忍びとしての宿命の間で揺れながら、人知れず闇に立ち向かっていく。
※ 凧は現在の「浜松まつり」で用いられるデザインで登場させています。
また御殿屋台も現在の物に近い形で登場させています。
それに伴い町名(村名)も現代のものに合わせている箇所があります。
浜松祭りにおける御殿屋台の始まりは明治時代です。
史実とは違う部分がありますので、あくまでフィクションの時代小説としてお楽しみください。
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唯杏は、表向きは寺の修行僧(雲水)として、裏では水忍(河童)として生きていくことになる。
忍の連絡は、築山御前の霊廟、月窟廟の油皿の下に挟まれた紙片でとっている。その後、佐鳴湖の小藪の渡しで密命を受け、浜松城下や天竜川、浜名湖周辺で起こる異変に河童(唯杏)は対処することになる。
また僧として地域の困りごと、沼田のあかんべえや天神社の雨乞いなどに関わることになる。
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華やかな浜松城下の風俗の裏で、人の欲望と悪意が蠢いている。水に潜む忍である河童は、仏に仕える雲水としての心と、密命を果たす忍びとしての宿命の間で揺れながら、人知れず闇に立ち向かっていく。
※ 凧は現在の「浜松まつり」で用いられるデザインで登場させています。
また御殿屋台も現在の物に近い形で登場させています。
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