148 / 179
第148話
しおりを挟む
【王国歴1000年春の月73日・ダンジョン4階】
チュンチュンチュンチュン!
俺は昨日アオイと同じテントで寝た。
アオイを見ると、目を開けて俺を見ていた。
「ちょっとびっくりした」
「気にしなくていいのよ。さあ、食事にしましょう。恥ずかしがり屋のヒメは、しばらく起きないでしょうね」
「そうなのか?」
「ここ最近の恥ずかし疲れで起きられないと思うわ」
俺達は阿吽の呼吸で焚火を起こし、アオイが簡単なスープを作ってパンを火で温める。
食事自体はストレージから出して食べられるが、焚火をすると落ち着くのだ。
最近、アオイやヒメとたくさん話が出来ている。
「う~ん!いい匂い」
ヒメがテントから顔を出す。
「……」
「おはよう」
「おはよう、ヒメ、もう少しで出来るわ」
ヒメが引っ込んだ。
寝起きだった為か髪がぼさぼさだった。
ヒメが5分してテントから出てくるが、髪がセットされていた。
セーフゾーンの中にある水場で顔を洗って戻って来る。
「出来たわ」
アオイがスープとパンを俺とヒメに配った。
「うん、いい匂いがするぞ」
ベーコンは日本にあるベーコン風味ではなく本物のベーコンだ。
スープに溶け込んだうまみと風味がスープの味を引き上げている。
更に、パンはハードタイプで茶色く、麦のうまみが強い。
パン好きが好みそうなパンだ。
「3人になって会話が多くなったよな」
「ハヤト君、あまり話さないよね?」
「ハヤトはカムイと同じカテゴリーよ」
「いや、あそこまで無口じゃないだろ!」
「ハヤト、あなたはカムイの弟キャラよ」
「セイコウコウボウも混ざっているかも」
「いや、セイコウコウボウは違うだろ?あんなじゃない!」
「え、でも、休みを無視してダンジョンに行こうとしたり、危ないのに一人でダンジョンに行ったり、行っちゃ駄目なダークフィールドに近づいてファルナを困らせてるよ?」
「あ、あれは緊急事態で火急的な状況だったんだ」
「ハヤト、行動が読めない策士みたいな動きは、気分で動くセイコウコウボウに似ているのよ。どっちも子供のように急に動き出すわね」
そう言ってアオイは俺の頭を撫でた。
でも、今回は俺を馬鹿にしている感じがしない。
「ハヤト君はパーティーを組んだ方がいいと思う」
「危なっかしく見えるわね。戦闘じゃなくて奇抜な行動の事よ」
「アオイ、ヒメ、これからもパーティーを組んでくれないか?今まで弱かったけど、レベル100になって、レベルリセットが無ければこれからもパーティーを組みたい」
「あら、結婚でもいいのよ。それとも、私とヒメを奴隷のように飼う?そういうの好きよね?」
アオイは俺をからかうような目で俺を撫で続けたけど、どこか本気で言っているようにも聞こえた。
ヒメは俺から目を逸らして髪をいじっていた。
変な空気になったぞ。
大人の対応で話題を変えよう。
俺は子供じゃないからな。
「今日は5階に行きたいよな」
「そうしましょう。ハヤトはすぐレベル100になると思うわ」
俺達は3人で、ダンジョンの5階に向かった。
グオオオオオオオ!
「ガードオーク5体か」
「余裕ね」
アオイが素早く飛び込んでガードオークにアーツ攻撃を放ち1体を倒した。
更に2体目も連撃で倒す。
アオイの敏捷は異様に高い。
俺より速いな。
俺は後ろから追いついて刀の連撃を食らわせる。
刀のコンボスキルのおかげで1発目が105%ダメージ、2発目が110%ダメージと、最大150%までダメージが増加していく。
ま、150%になる前に倒れるんだけどな。
ガードオークが倒れた。
おし!レベルが上がった!
残る2体をアオイと俺で1体ずつ倒す。
戦いが終わるとヒメが言った。
「私、何もしてない」
「ヒメのLVはまだ55だろ?俺は86でアオイは72だ」
「それに、この階にいる魔物はすべて魔導士に強いわ。戦う事でプレイヤースキル、魂が鍛えられるのだけれど、ヒメはもう2つソウルスキルを覚えているわね。支援寄りの能力なのだから後ろにいてMPを温存するのが正解なのよ」
「ヒメ、あまりゲームはやらない方か?ヒーラーは後ろにいるのが基本だ。いつものようにライトは温存して進もう」
「分かったけど、ハヤト君は攻撃を受けないよね?」
「分からないだろ?」
「ハヤトはよほどのことが無い限り攻撃を受けないわね。ドリルと闘って、ドリルが弱く感じたはずよ。ドリルは強いわ。ドリルとハヤトのレベルは同じだったのだけれど、強いドリルが弱いと感じるほど、ハヤトのプレイヤースキル、いえ、魂と言った方がいいわね。魂が成長しているわ。今はハヤトのレベルを上げましょう。もし、レベルリセットがあっても、大丈夫よ。私が育てるのだからすぐにレベルは上がるわ」
「カムイやセイコウコウボウも同じような事を言っていたけど、レベルリセットは魂を鍛える為にやっているのか?」
「そうね、そうだと思うわ。それと、トレイン娘を復活させる為にレベルリセットで能力値が吸われているのだと思うわ」
「レベルリセットはトレイン娘を復活させる為、ならやる気が出るな」
「え?待って!じゃあ、本当のハイブリッドはもっと強いのかな?」
「その可能性は高いわね。ハヤトはハイブリッドなだけでなく、トレイン娘を助ける試練を受けているわ。その影響が無くなるのだから、真のハイブリッドにレベルリセットは不要なのだと思うわ」
「ハイブリッドが完成して、ハヤト君のプレイヤースキルが合わさって、ハヤト君がソウルスキルを覚えたら、凄い事になるんじゃない?」
「今からそれをやろうとしているわ。ヒメ、回復とソウルスキルには期待しているわね」
「うん」
ヒメは短く言って頷いた。
アオイの説得能力が高い。
本当に人をよく見ているよな。
だからよく見える目を手に入れたのか。
チュンチュンチュンチュン!
俺は昨日アオイと同じテントで寝た。
アオイを見ると、目を開けて俺を見ていた。
「ちょっとびっくりした」
「気にしなくていいのよ。さあ、食事にしましょう。恥ずかしがり屋のヒメは、しばらく起きないでしょうね」
「そうなのか?」
「ここ最近の恥ずかし疲れで起きられないと思うわ」
俺達は阿吽の呼吸で焚火を起こし、アオイが簡単なスープを作ってパンを火で温める。
食事自体はストレージから出して食べられるが、焚火をすると落ち着くのだ。
最近、アオイやヒメとたくさん話が出来ている。
「う~ん!いい匂い」
ヒメがテントから顔を出す。
「……」
「おはよう」
「おはよう、ヒメ、もう少しで出来るわ」
ヒメが引っ込んだ。
寝起きだった為か髪がぼさぼさだった。
ヒメが5分してテントから出てくるが、髪がセットされていた。
セーフゾーンの中にある水場で顔を洗って戻って来る。
「出来たわ」
アオイがスープとパンを俺とヒメに配った。
「うん、いい匂いがするぞ」
ベーコンは日本にあるベーコン風味ではなく本物のベーコンだ。
スープに溶け込んだうまみと風味がスープの味を引き上げている。
更に、パンはハードタイプで茶色く、麦のうまみが強い。
パン好きが好みそうなパンだ。
「3人になって会話が多くなったよな」
「ハヤト君、あまり話さないよね?」
「ハヤトはカムイと同じカテゴリーよ」
「いや、あそこまで無口じゃないだろ!」
「ハヤト、あなたはカムイの弟キャラよ」
「セイコウコウボウも混ざっているかも」
「いや、セイコウコウボウは違うだろ?あんなじゃない!」
「え、でも、休みを無視してダンジョンに行こうとしたり、危ないのに一人でダンジョンに行ったり、行っちゃ駄目なダークフィールドに近づいてファルナを困らせてるよ?」
「あ、あれは緊急事態で火急的な状況だったんだ」
「ハヤト、行動が読めない策士みたいな動きは、気分で動くセイコウコウボウに似ているのよ。どっちも子供のように急に動き出すわね」
そう言ってアオイは俺の頭を撫でた。
でも、今回は俺を馬鹿にしている感じがしない。
「ハヤト君はパーティーを組んだ方がいいと思う」
「危なっかしく見えるわね。戦闘じゃなくて奇抜な行動の事よ」
「アオイ、ヒメ、これからもパーティーを組んでくれないか?今まで弱かったけど、レベル100になって、レベルリセットが無ければこれからもパーティーを組みたい」
「あら、結婚でもいいのよ。それとも、私とヒメを奴隷のように飼う?そういうの好きよね?」
アオイは俺をからかうような目で俺を撫で続けたけど、どこか本気で言っているようにも聞こえた。
ヒメは俺から目を逸らして髪をいじっていた。
変な空気になったぞ。
大人の対応で話題を変えよう。
俺は子供じゃないからな。
「今日は5階に行きたいよな」
「そうしましょう。ハヤトはすぐレベル100になると思うわ」
俺達は3人で、ダンジョンの5階に向かった。
グオオオオオオオ!
「ガードオーク5体か」
「余裕ね」
アオイが素早く飛び込んでガードオークにアーツ攻撃を放ち1体を倒した。
更に2体目も連撃で倒す。
アオイの敏捷は異様に高い。
俺より速いな。
俺は後ろから追いついて刀の連撃を食らわせる。
刀のコンボスキルのおかげで1発目が105%ダメージ、2発目が110%ダメージと、最大150%までダメージが増加していく。
ま、150%になる前に倒れるんだけどな。
ガードオークが倒れた。
おし!レベルが上がった!
残る2体をアオイと俺で1体ずつ倒す。
戦いが終わるとヒメが言った。
「私、何もしてない」
「ヒメのLVはまだ55だろ?俺は86でアオイは72だ」
「それに、この階にいる魔物はすべて魔導士に強いわ。戦う事でプレイヤースキル、魂が鍛えられるのだけれど、ヒメはもう2つソウルスキルを覚えているわね。支援寄りの能力なのだから後ろにいてMPを温存するのが正解なのよ」
「ヒメ、あまりゲームはやらない方か?ヒーラーは後ろにいるのが基本だ。いつものようにライトは温存して進もう」
「分かったけど、ハヤト君は攻撃を受けないよね?」
「分からないだろ?」
「ハヤトはよほどのことが無い限り攻撃を受けないわね。ドリルと闘って、ドリルが弱く感じたはずよ。ドリルは強いわ。ドリルとハヤトのレベルは同じだったのだけれど、強いドリルが弱いと感じるほど、ハヤトのプレイヤースキル、いえ、魂と言った方がいいわね。魂が成長しているわ。今はハヤトのレベルを上げましょう。もし、レベルリセットがあっても、大丈夫よ。私が育てるのだからすぐにレベルは上がるわ」
「カムイやセイコウコウボウも同じような事を言っていたけど、レベルリセットは魂を鍛える為にやっているのか?」
「そうね、そうだと思うわ。それと、トレイン娘を復活させる為にレベルリセットで能力値が吸われているのだと思うわ」
「レベルリセットはトレイン娘を復活させる為、ならやる気が出るな」
「え?待って!じゃあ、本当のハイブリッドはもっと強いのかな?」
「その可能性は高いわね。ハヤトはハイブリッドなだけでなく、トレイン娘を助ける試練を受けているわ。その影響が無くなるのだから、真のハイブリッドにレベルリセットは不要なのだと思うわ」
「ハイブリッドが完成して、ハヤト君のプレイヤースキルが合わさって、ハヤト君がソウルスキルを覚えたら、凄い事になるんじゃない?」
「今からそれをやろうとしているわ。ヒメ、回復とソウルスキルには期待しているわね」
「うん」
ヒメは短く言って頷いた。
アオイの説得能力が高い。
本当に人をよく見ているよな。
だからよく見える目を手に入れたのか。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
2,622
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる